まず、こんな素晴らしいスピンオフが3冊も刊行されたことに本気で感謝したい。アニメ本編を鑑賞して、もっとマミさんの活躍が見たかったなあーとか、マミさんは杏子とどんな関係だったんだろうとか、どんな気持ちで戦ってたのかなあーとか、(マミさん関連で)モンモンモヤモヤしていた気持ちが最高の形で一気にむくわれた感じがします。
なんかね、もう正直云って泣きましたよ。杏子が、ずっとマミさんに言いたくて言えなかった言葉を伝えたときのやりとりとか、マミさんがほむほむへ伝えた伝言とか・・・・切なすぎてホロッとしてしまいました・・・。
はじめから誰もが納得するようなハッピーエンドが来るはずが無いことはわかってました。が、しかし巴マミという少女にとってのハッピーエンドが、いびつな形でも成就されたことは、下巻を読む限り間違いありません。“この”時間軸のマミさんが選んだ最後の選択肢は、まどか神が出現する“前”の世界の、魔法少女が救われることができるただひとつの方法だったのかもしれないと思いました。。
それにしても、まどか様の救済っぷりは今回も冴えわたってましたな・・・。魔女になっても神になっても、苦しんでいる誰かを救いたいという気持ちが一点も曇ることがないその心の強さが眩しすぎます。マミさんの懺悔と告白をすべて受け入れ、彼女を否定せず優しく受け止めることができたのは、やはりまどかの並外れた心の広さがあってこそなのでしょう。もう、感動しすぎて、今更私がどうこう感想言ってもなんだかな〜って感じなんですけど、とりあえず下巻の内容をば。相変わらず、死ぬほどネタバレしてます・・・。
さやかを目の前で失って、魔法少女のシステムを知らされ呆然としていたマミさん。その脳裏には、両親を失い魔法少女になってからの様々な出来事がよぎります。魔法の力で一人でも多くの命を救うと決心したこと。それを否定する魔法少女もいたこと。杏子と友達になれて嬉しかったこと。杏子と道をたがえて悲しかったこと・・・。
そして、自分とずっと一緒に頑張ってくれるとようやく思えた子を、心が通じ合った瞬間に永遠に無くしてしまったこと。マミさんは正義の味方として一心不乱に戦い続けてきたのに、戦えば戦うほどいろんなものを失っていったんだなあと思わされました。
アニメでまどかが魔法少女になることを決意して『マミさんは、もう一人ぼっちじゃないです』と言った時に、それまでのお姉さん言葉が崩れてタメ口になった上に感涙までしちゃうような、尋常じゃない喜び方をした理由が、今まで以上によくわかった気がします。マミさんの隠していた弱い部分を、いつもドストライクで完璧に決めてくるまどかさんマジ主人公。
一方、不穏な気配に気づき、さやかとマミさんを探そうとする杏子の前に、ほむらが無駄だとばかりに立ち塞がります。『彼女は魔法少女の真実に耐えられるほど強くない』と、以前の経験談からか淡々と語るほむらに『ろくにアイツを知らないくせに適当なこと言いやがって』と杏子は激昂します。おおっと、ここでさりげに自分の方がもっとマミさんのこと知ってるんですけど宣言入ってきましたよ。
ほむらと杏子の白熱するマミ論が見ものです。
『まるでアイツと組んだ事あるような口ぶりじゃないか』という杏子の疑問に『そうかもね』と軽く返すほむらですが、『ふん・・・マミの口からアンタの話題なんか出たことないよ?』と、ますます怪しまれます。って、この『マミの口から〜』のセリフを言われた瞬間のほむほむの、ものすごく悲しげな表情が凄いイイんですけどおおおー!!そうだよね!一緒に戦って、自分の戦いぶりをほめてくれたこともあったもんね!!とか僅か一コマでいろいろな妄想が咲き乱れました(何。
ところ変わって、魔女さやかを探していたマミさんですが、ほむらを振り切り先回りしていた杏子に通せんぼされます。マミさんはやはり、魔女さやかと一緒に死ぬ覚悟を固めていました。さやかを魔女にしてしまったのは自分の責任であり、いつか自分も魔女になるなってしまうというなら、今ここで死んでしまったほうがマシだという考えに囚われてしまったようです。しかし杏子は『今のあたしには、アンタをこのまま放っておくことなんか、絶対にできやしないんだからさ!』と漢気満開の台詞と共に、力ずくでもマミさんを止めるため、全力で戦いを挑みます。
ここからのマミVS杏子の全開バトルがチョー熱いです。
激しい戦いの中で、杏子とマミさんはありのままの気持ちを言葉に変えて応酬します。もうこっからは完全に杏子とマミさん二人だけの世界に突入ですよ。ぶっちゃけ告白合戦にしか思えませんなああ。あえて杏子を責め立てるようなドSなマミさんとか、バトルで押されながらもマミさんの魔力や怪我を心配しまくる杏子とか、マミさんに縛り上げられた杏子が、先に裏切ったのは自分であり、わがままでマミさんに甘えてばかりだったことを素直に謝ったりとか、いい感じのレアシーンがどんどん入ってきます。
杏子を思い切って倒したマミさんですが、さやかの結界に入る前に倒れ込んでしまいます。杏子との戦いで、マミさんは魔力をほとんど使い果たしてしまっていたのでした。『こんな私だから、いつも独りぼっちで終わっちゃうんだ』と思い、杏子と一緒にいた頃のことを回想します。
杏子に友達が出来て嬉しいと伝えたときに、マミさんは友達とはちょっと違うと返され、友達じゃなく、杏子が一人前の魔法少女になるためだけの利害的な関係だったのか(=一人前になったら去ってしまうのか)・・・とガッカリしたマミさんは、せめて少しでも長い間一緒にいられるように、杏子がなかなか追いつけないような絵にかいたような魔法少女になろうと決めたのでした。
うっわああああああ!!!!!元々、正義の味方気質のあったマミさんですが、今のような強くて華麗で優雅な魔法少女を演じるようになった大きなきっかけは杏子がいたからだったんですなああああああ!!!おいおいおい、この二人の関係めちゃめちゃ深すぎGJ!!
そんなこんなで寂しさに疲れ果て、魔力も尽き、もはや魔女になるしかない・・・と諦めかけた瞬間、さきほど倒したはずの杏子が再び姿を現します。実は杏子が家族を失った時に、無意識に封印してしまった『幻覚&幻惑』の能力がわずかに戻っており、その幻覚をかけることでマミの攻撃をさけていたのでした。
倒れたままのマミは、昔のように反省会をしようと提案し、自分の隠していた気持ちを独白します。杏子にとっての自分はただの先輩だったかもしれないが、本当はずっと友達になりたかった。でも歩み寄る勇気を持てず、最後には争うことでしか繋がりを持てなくなってしまった・・・。
そう謝りながら、最後は“魔法少女の友達を作って、これからは協力してみんなを守るように”と遺言のように優しく諭します。その上で、自分のソウルジェムを砕いて、殺してほしいと嘆願するマミでしたが、杏子はそれを強く拒絶します。『何も救えない私なんか生きている意味がないんだから!』と叫ぶマミですが、『救われてるヤツならここにいるんだよ!』と杏子は叫び返し、そしてついに、昔マミさんに伝えることが出来なかった言葉をかけるのです。
『だってアンタは、あたしにとっての巴マミってヤツは・・・最後の・・・家族なんだ』
どわああああああああ!!!!ものすごい爆弾発言キマシタワー!!しかもお姉さんみたいに思ってたとか何それ蝶最高!!つまりこれって、先輩とか友達とかそんなチャチなもんじゃねえ、もっと素晴らしい絆の片鱗を味わっていたぜ・・・ってことですよね(何)!!ってかそれマジで昔に言っとけよお前えええええ!!!
そして、もしも家族をみんな無くした日にマミさんに見つけてもらっていなかったら、自分は魔女になっていたかもしれないと続けます。『何もかも失って絶望に飲み込まれそうになった時、アンタのことを思い出した。本当の家族とは違うけど、本当の姉みたいに優しくしてくれた人がいる。だからあたしは、独りぼっちになったわけじゃないんだって』
だからそういうことは は や く 言 え !!この言葉を聞いたときのマミさんの救われたような表情がこの巻で一番のMAXです(私的に)。
杏子はどこからか取り出したグリーフシードで、マミのソウルジェムの濁りをとってあげます。長い間の誤解がようやく雪解けした杏子はスッキリした表情で、マミに休むように言いつつ、さやかを一人迎えに行こうとします。それでも不安そうなマミさんは、杏子にお願いをします。
『家族はお互いを心配させたりしないものよ。もう二度といなくなったりしないって・・・約束して』
ででででたああああああ!!!マミさんの口からも家族宣言ですよハアハア。マミさんを安心させるために、自分の髪をしばっていたリボンと十字架をマミさんに預け、大事なもんだから必ず返してもらうために戻ってくる。だからそれまで希望を捨てないように・・・と笑いかけます。もう・・・ここの杏子のカッコよさが神がかっててヤバすぎる件・・・。頼もしいわ優しいわカッコいいわで非の打ちどころがNEEEEって感じですね。。
そして一人、魔女さやかの元にたどりついた杏子は、彼女を討ち取ります。
その後、マミさんは自分の部屋で目を覚まします。まどかに無事を安心され、ほむらがここまで運んできたらしいのですが、まどかは何故か、さやかは魔女に倒されてしまい、すんでのところでマミさんだけが助かったと思い込んでいました。そして、まどかを家に返した後、ほむらは意を決したように“共にワルプルギスの夜を倒すために協力してほしい”と切り出すのでした。
しかし、さやかと共に必ず戻ってくると約束した杏子の姿がないことにマミさんは戸惑いを隠せず、二人がいないと駄目だとでも言うように協力をためらいます。しかし、ほむらは二人が無事でいるとは思えないと正直に伝えます。杏子は本当はグリーフシードの予備などは持っておらず、マミさんは“ソウルジェムが浄化された”という幻覚を見せられていただけではないのか?・・・と。
おそらく杏子はマミを安心させた後(マミの残り時間が少ないため)さやかを救うことを諦め、速攻で倒し、さやかのグリーフシードを使って、マミのソウルジェムを今度こそ本当に浄化したとゆーことだったのでしょう。戸惑うマミさんでしたが、すべてを見ていたQさんのゲロカス解説で、杏子とさやかが完全に脱落してしまったことが確定してしまいます。
Qさん最初は、ベテラン魔法少女3人が同じ土地に集まって魔女狩りをし過ぎたから、初心者のさやかが脱落したんだとか言ってたくせに、やっぱ訂正→実は杏子もマミもほむらも、さやかの為に出来るだけ魔女を倒さずに手柄を譲り合ってましたわ。そういえば。とか言い出しやがります。そして、その行動のせいでグリーフシードの予備を持てなかった杏子は力尽きてしまったのでした・・・。
『ワルプルギスの夜なんてホントはどうでもよかったんだ。ただ仲直りのきっかけが欲しかっただけなんだ』と、Qさんに言い残し、必ずマミさんのところへ帰ると誓ったのが、杏子の最後の言葉だったようです。。。ちょ・・・ここまで来てマミさんを地獄の果てまで突き落としてくれるとは・・・・さすがですね・・。
もう本当に自分の命を終わらせてほしいと混乱するマミさんでしたが、ほむらは無力な自分を自覚してでも生きていく方がいいと諭し、交わした約束があるなら今こそかなえる時だから、共に戦って欲しいと願います。まどかとの約束の話を口に出してでも、マミさんを説得しようと試みるほむらちゃんが熱いですが、このルートでマミさんとわかりあえたような絆的なエピソードがないので今更説得力がないような・・・。せめて、杏子についていって、マミさんを一緒に助けでもすればよかったかもしれませんが。。
ほむらが去った後、ひとりでぽつんと考えにふけるマミさんの前に、さきほど帰ったはずのまどかが現れます。
実はまどかは杏子と友達になっており、マミさんやさやかのこと、魔法少女になる覚悟など、色んなことを話していたのでした。そしてまどかはみんなと仲良くなりたいと言いながら、仲良くする勇気が持てなかったことを顧みて、『大切な友達の為に魔法少女になる』ことを宣言するのでした。
まどかを失いたくないと反対するマミさんに、まどかは言います。
魔法少女になりたいのはさやかちゃんの為だけじゃない。自分は、マミさんに普通の女の子に戻ってほしい。自分がマミさんの分も魔法少女を頑張る代わりに、マミさんには普通の女の子としての日常を取り戻してほしい・・・と。
もう、主人公補正とはいえ、まどかさんすさまじいです。マミさんが、もうこれ以上魔女(魔法少女だったもの)を殺したくないという気持ちを心の底から理解して、マミさんの救いがそこにしかないことを的確に見抜いたのですから。まどかの胸にすがりついて泣くマミさんに『大丈夫です、もういいんです』と、優しくなぐさめるまどかの慈愛の心に全私がノックアウトです。
そうして、まどかは魔法少女・さやかを完全復活させ、魔法少女となりました。その後、まどか・ほむら・さやかの3人でワルプルギスの夜に挑むこととなったようです。色々吹っ切れたさやかちゃんは、ほむほむにもざっくばらんに明るく接してます。なんと・・・こんな最後にほむさやが・・・。ほむほむと仲良くするさやかの図を(ゲーム以外で)あまり見ることがなかったのでなんか新鮮ですね。
そして・・・。
そしてマミさんは、まどかが魔法少女になったあと、ほむらに言付けを残し自らの手でソウルジェムを砕いてしまったのでした。この遺言というか、マミさん最後のメッセージがあまりにも切なすぎて泣けました。杏子のリボンと十字架を大切そうに抱いて、夢見るような安らかな顔でひとり旅立っていったマミさん。
エピローグは、その死の間際に見たんだろうと思われるマミさんの夢だったんでしょう。いや、もしかしたら、この時間軸のマミさんがたどりついた、幸せに包まれた死後の世界だったのかもしれません。すでに杏子が遊びに来ていて、“もうすぐ”さやかや他のみんなも来る・・・とも言っていますしね。さやか達よりも先に両親も帰ってきて、きっとこれから、マミさんがずっと笑っていられるような、みんなと一緒の楽しい時間が始まるんだろうな・・・という予感を漂わせて、マミさんと杏子の物語は静かに幕を下ろします。
こんな結末にはなってしまったけれど、この世界のマミさんも杏子も決して不幸ではなかったと思います。マミさんのことを心から想ってくれる人たちがたくさんいたことに気づけたこと。そして、一度だめになってしまった絆を、もう一度結び直すことが出来たこと。それが出来ただけでも、この時間軸には大きな意味があったんだな・・・と思いました。
あまりにもマミさんと杏子が素晴らしすぎて、信じられないぐらい長文になってしまいました。百聞は一見にしかず。まあとにかく、まどか☆マギカファンの脳天を直撃するすごい漫画なので是非とも読んでみてください。それと、私は漫画レビューを書く才能がまっったく無いことに、先程気づきました。ということで、読みにくい文章にここまでおつきあいいただきありがとうございました。まあ、とにかく買ったらいいです。ハノカゲ先生は神。
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