我ながら何なんだろう・・・この気合の入り方は・・・。
ということで、前に書いてから2年ぐらい経ちそうなので、何作品か追加した改訂版を上げてみました。
やっぱり百合心中はたまらんわあ〜・・・(待。***以下、爆裂長いです***
“此の世のなごり、夜もなごり、死にに行く身をたとふれば、あだしが原の道の霜、一足づつに消えてゆく”
この世で添えぬふたりなら、あの世で夫婦になったらよろし!!次に生まれたら蓮のうてなに二人連れしたらよろし!!ということで、アニメや漫画小説で、時折女の子同士が“実らぬ想いの果て”や“すべてを懸けた使命”の為に命を落としてしまう展開が(たまに)あると思いますが、今回はそんな通称“百合心中”と呼ばれる(!?)ものについて考えてみたいと思います。
まあ、心中というものは、どう考えても現実では絶対に取って欲しくない悲惨な選択肢でしか有り得ませんので、これは“フィクション”という夢と妄想の物語の中でこそ最も輝きを放つ行為であると思います(*ただし、愛と幸福の絶頂状態にある恋人達が、自らの意思で共に死を選ぶという選択を、心の底で認めている自分もいるのですが・・・長くなるのでここでは割愛)。
江戸時代に浄瑠璃の『曾根崎心中』が爆ヒットして、その後心中モノが流行したという歴史もありますし(これは心中ブームにまで発展してしまいましたが)、もしかしたら日本人の心には、愛やら情に激しく身を焦がした二人が、すべてを捨てて二人だけの世界に旅立ってしまう・・・という悲劇性に、哀しさや美しさ、憧れを感じてしまう感性が隠れているのかもしれませんね。“死”をもってしか、自分達を縛る世界から逃げ出せなかった。それほどまでに、諦められない恋をしていた・・・。こうしたややロマンを含んだ物語的要素が、私達の心に何らかのシンパシーを感じさせるのではないでしょうか。ま、江戸時代とは打って変わって身分違いの恋とかは割りとなりを潜めている今日この頃ですが、やはりここは一筋縄ではいかない恋愛として“百合”に焦点を当てていくとしましょう。
最近の百合姫や、他の百合作品を見ていると“女の子同士なのにこんなの・・・(悩)”みたいな展開はかなり減ってきた感があり、最初から最後まで“好き好き好き!!”で突っ走ってる潔い作品が多く見られます。素晴らしいことだと思います。が、まあそれはそれとして、やはり同性同士という最初の障壁にぶつかり、それをいかにして乗り越えるのかというのは、百合物語を楽しむ上で大きなポイントであります。
その方法&結末の一つとして“百合心中”に行き当たるものがあるのですが、そうした純粋な恋愛逃避行的結末の他には、地球を救うためとか、愛憎の果てとか、使命と愛情の間で板ばさみの末とか、百合心中に至るまでのシチュエーションは作品によって多種多様でございます。というわけで、今回はその中から、私の心の琴線に触れたキャラ&ストーリーを勝手に妄想紹介したいと思います。
注*死んだ後に不思議なパワァで甦ってる可能性もありますが、その辺はご自分の目でお確かめください。ネタバレ猛注意!!
其の一『ウラヌス×ネプチューン』(セーラームーンS、他)
百合好きで知らない人はまずモグリ。全国の良い子のお友達を妖しい魅力で惑わした、罪深い外部系セーラー戦士たちも、耽美な百合心中を魅せてくれはりました。衝撃の110話では、ウラヌスの後追い心中が拝めます。『ずるいじゃないか。自分だけの世界へ行くなんて』と、倒れ伏したネプチューンに自嘲気味の声で語りかけ、ためらうことなく自分の命と引き換えにタリスマンを出現させるウラヌス・・・ああああ、もう完璧ですな。この二人はどちらかというと“地球を崩壊から救う”という使命に殉じた感もありますが、それは揺らぐことの無い、互いへの愛情があればこそ果たされた行為なのだと思います。むしろみちるなんかは、“セーラー戦士としての使命<<<はるか”っつー潔い思考回路してましたしね!!ヒャッホウ!!しかも198話では同時消滅までやらかしてくれました。『あなたとならば、耐えていける。地獄の炎に焼かれても』と呟くみちるもたまりませんが、身体が消えかかっているにも関わらず、最期に必死でお互いの手に触れようとするシーンとか、もうビデオテープが焼き切れるかっつーぐらい見まくりましたですよ。なにこの美しい死に様・・・まさに夢のようです。
其の二『なつき×静留』(舞HIME)
これを選ばずに、何を選ぶってかああああアアアア!!ということで、当ブログで頭沸くほど語りまくった殿堂入りの百合心中キャラでございます。ぶっちゃけモチーフが安珍清姫ってとこからして、もう、心中モード全開ですよね。何故あのシーンでなつきが静留と一緒に消滅することを選んだのか。静留の一途な気持ちに応えるためか、HIMEとしてのけじめをつけるためか、舞衣を最後の一人に残すためか・・・はっきりとした理由はわかりませんが、その前のシーンで『私はおそらく生き残れない』と舞衣に語りかけていることから、なつきは自分の命を賭けて静留の全てを“受け”止めるしかないという覚悟を決めていたのだと思います。その行動原理が全てなつきに繋がってしまうなつき至上主義の静留さんにしてみれば“うちはなつきが欲しい、それ以外は何もいらん”が心中によって完全に昇華されたわけであって、消滅寸前に『嬉しい・・・』と呟いた静留の、あのとろける様な幸せそうな表情がすべてを物語っていますよね。また、PSゲーム版の心中っぷりも見事すぎて圧巻でした。とあるルートでは、自らの敗北により死んでしまったなつきを見て絶望。死んでしまったなつきを隠れ家へ運び、その隣で服毒し、建物に火を放って後追い完遂しちゃいます。静留様の凄まじいまでのなつきへの愛情は“心中”においてもモノホンだったのでございます。
其の三『ナディ×エリス』(エル・カザド)
いやああああ、まさかこのアニメで百合心中が拝めるとは思ってもみませんでした。『もうこれしか方法・・・ないから』と、エリスに懇願され、泣きながらその胸を打ち抜いた後、フラフラの身体で近づき『でも、淋しい思いだけはさせないよ』と、エリスに一番近い場所で息絶えるとか・・・ホガアアアアアア(悶絶。良い・・・良過ぎるよおおお!!いやー、賞金首と賞金稼ぎというところから始まって、24話かけて少しずつ積み上げてきた二人の関係が、こういう結末を迎えられるほどまでに熟成していたんだなあああとか、そういう部分でも感動しちゃいますね(え?おかしい?)。二人の愛情とか信頼がMAX高まってきたところで、心中展開を持ってくるところとか、殊更にたまりません。『遺言があったら・・・どうぞ?』『大好きだよ・・ナディ』の流れとか、最高に神がかってて死ねました。
其の四『千歌音×姫子』(神無月の巫女)
云わずと知れた伝説の百合カップルの登場でございます。特に漫画版は、百合心中の名に相応しい結末を迎えていたような気がします。『いらないっ!千歌音ちゃんの居ない世界なんていらないよっ!!』終盤の姫子はマジ最強の神無月の巫女(何。姫子は、神様が次の世界と輪廻転生を用意しているにも関わらず、大好きな千歌音ちゃんをひとりぼっちにさせない為に、転生を蹴ってでも千歌音ちゃんと一緒に居ることを選ぶのです。ぶっ壊れた世界は、神無月の巫女の力で完全に元通りになりますが、千歌音ちゃんと姫子の存在は最初からなかったことになっています(*アニメ版だと千歌音ちゃんだけが居なくなってる)。つまり、転生を超えた二人は、月の社で二人っきりで永遠にラブラブ状態になるっつーことです。“月には誰も知らない社がある・・・そこで二人は永遠の夢を見る”この〆の結び文句とか、たまりませんね。マコちゃんやソウマやドリルのいる世界からは完全にその存在を消し去り、出会いと別れを繰り返してきた悲劇の宿命に二人だけの終止符を打ち、二人だけの世界で永遠の愛を完成させる・・・まさに百合心中ではございませんか!!そう考えるとラストのおまけ3ページが大変な蛇足になってくるんですけど、それもまた一つの世界ということで。
其の五『桂×サクヤ、桂×鳥月』(アカイイト)
ゲームで百合で心中つったら、やっぱ真っ先にこの作品を挙げてしまいますね。サクヤルートの『満開の花』EDは、並みの心中とは一線を画す至高の心中EDでした。ただ二人で死ぬというだけでなく、今の肉体を越え種族を捨てることで、すべてが天に還るその時まで、魂はずっと寄り添い続けることができる・・・ってあああそういう方法があったかアアア!!もう目から鱗ポロポロですよ。これは素晴らしすぎる心中方法。ルート的にはBAD・ENDですが、個人的には超BEST・ENDに相違ないです。つーかもう、寿命差人妖カップルの永遠は此処にあります!鳥月ルートは『赤い維斗』EDですね。『あなたと結んだ絆は、この程度でではほどけやしないよ』と云いつつ自らの命を絶つとか!!しかも意識が途切れる寸前の主人公自身が見た最後の光景が、好きな人が今まさに死なんとするところとか、なんつーダークネス!!この病んだ感じの後追いっぷりがSUGEEEE!!
其の六『杏子×さやか』(魔法少女まどか☆マギカ)
久しぶりにアニメで、しかも人気作品で、百合心中がでたあああああ!!!!今まで百合にあんま関心のなかった層も一撃必殺で堕としにかかった、すごい心中っぷりでした。幼馴染への一途な恋心が届かないことを知った絶望から、人間としての心を失い、さやかは魔女になってしまいます。どんなに純粋な想いでも、届かないものがある・・・ということを知っていた杏子だからこそ、さやかが追い詰められて壊れていくことを見過ごすことはできなかったのでしょう。そして、最後の言葉すら届かないとわかった時、杏子は自分の命を懸けて、彼女の孤独な魂に終わりの果てまで寄り添い続けることを決意するのです。杏子さんマジでカッコよすぎる。心中自爆時の猛烈な爆発っぷりは、杏子の想いの大きさに比例したに違いないと勝手に妄想しました。ほんまさやかちゃんは幸せモンやでえ〜(何。杏子の最期の台詞“ひとりぼっちは 寂しいもんな いいよ 一緒にいてやるよ さやか”は、百合心中史(?)に残る名言だと思いまする。
其の七『カスミ×シズク』(いばらの王 -King of Thorn-)
これまた双子百合で、すごいの来てたあああアアァ!!劇場版いばらの王のラストに、まさかのっ、まさかの百合心中ウウウウ!!!コミック版とはまったく異なるストーリー展開&結末に、マジ驚愕。ただ、初見では意味不明かもしれませんので、重要ポイントを簡単に解説します。“最愛の妹カスミ(本物)を失ったシズクは、夢を現実にするような謎の力でカスミ(偽者)を作り、自分との幸せな記憶だけを譲り渡し、カスミ(本物)の代わりに生きることを偽者に仮託する。そしてシズク自身は、いばらの城の中でカスミ(本物)の幻想と一緒に終わらない夢を見る”という話です。・・・うーん、正直難解な話なのですが、つまりシズクは、妹の喪失に耐えられず、幸せな百合姉妹としての夢を見続けるために、外部からのすべてを遮断した無敵のいばら城を作り上げたとゆーことです。たぶん。そして、その夢が終わるときに最愛の妹の幻想と、共に、シズクは永遠の眠りに付くのであります。妹が姉を慕う以上に、姉も妹を想っていたということですな。まあいいからとりあえず見てくれろ!
其の八『佐藤聖×久保栞』(マリア様がみてる)
実際には心中してませんけど、もしも栞が聖と一緒に逃げ出すことを選んでいたら、もしも蓉子の第六感が鈍っていたら(?)、心中は有り得たかも知れない展開だった・・・と思います。聖本人も回想しながら、そう云ってましたしね。お嬢様女子高に馴染めない孤高の一匹狼と、清楚で控えめで優しい美少女が、ゆっくりと愛を育んでいくが、どうしようもない状況にジリジリと追い詰められ、遂には手に手を取り合って逃げ出そうとするという、古典ながらファイアーな展開と、ツンツンに尖がってるくせにストレート純情一直線な聖様を堪能すべしです。*ついでに、本編で祐巳たちが振り回されたマリみて劇中小説“いばらの森”は、完全な百合心中モノでしたのでこれも要チェック。
其の九『黄泉×神楽』(喰霊)
相手を愛するが故に、相手に殺されることを望み、その手段がどんなものであってもその願いを成就させる・・・。私はそれも一つの心中だと思います。愛するものに殺されることで、自分の中の想いや誓いを、自分の心の中で永遠に完結させることができるなら、そして自分という存在を相手の中にずっと刻み付けておけるなら、それは文字通りの“心中”となるのではないのでしょうか?最終話、戦いの最後の瞬間に明らかな隙を見せ、神楽の手で終わることを望んだ黄泉。刃に身体を貫かれながらも『強くなったね』と、優しく神楽の頭を撫でるシーンは、黄泉の神楽への愛情が揺ぎ無いものであったことを示していたと思います。“神楽を守り、神楽を危険に晒すものを消し去りたい”という誓いが、自らの死によって達成されたことは皮肉ですが、黄泉にとっては満願成就の瞬間だったことでしょう。
其の十『澪×繭』(零〜紅い蝶〜)
上記の喰零の論法から行くと、この二人も百合心中っぽいかな〜とか思ってみたり。澪にそんな気は無くても、繭にはアリアリというか。一緒に生まれたのに、別々に生きて死んでいくなんて耐えられない・・・と思いつめていた繭の気持ちは、いつの間にか、大好きな澪の手ですべてを終わらせて欲しいという願望に変容してしまった訳なのです。“ずっと一緒だよね”という約束が完全に喪われてしまう前に、繭はどうしても“ソレ”を澪に行わせなければならなかった。そして“ソレ”によって、繭は隠していた澪への想いを、彼女の心に溶け合わせることに成功した。空へ舞い落ちる繭のラストの台詞を聞くと、繭は自分の信じていた幸せを手に入れることができたんだなああ・・っと感慨深く思います。でも、やっぱし澪がかわいそ過ぎるかも・・・ですね。
→長すぎるので後半へ続く