2009年06月06日

『残酷な天使のテーゼ』<高橋洋子>

『残酷な天使のテーゼ』(1995/10/25)キングレコード

作詞: 及川眠子 作曲: 佐藤英敏 編曲: 大森俊之
歌:高橋洋子

アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』OP主題歌。
90年代を代表するアニメソングにして、いまなお熱烈な支持を受け続けている伝説的作品。この主題化は、エヴァすら見たことの無い、普通の一般人ですら曲をソラんじられるという、驚異的知名度も誇っています(*ソース→私)。

ドラマチックな曲展開と、エヴァの内容と深く関わる詞、ヲタ心をくすぐる絶妙な言葉の羅列。それらをすべて踏まえて発せられる、気高く美しい高橋洋子さんの歌声は、聞く者の魂の奥深くに怒涛のように流れ込んで参ります。

高橋さんは、当初『FLY ME TO THE MOON』を歌う担当として、大森俊之氏にオファーを受けたそうですが、その後色々あってこの主題歌を任されることになったようです。及川眠子先生の超歌詞に最初は戸惑ったそうですが、何度も歌ううちに歌詞の奥深さに改めて気づかれたらしいです。レコーディング時に、エヴァの内容について全く知らされてなかったというのは有名な話ですね。何の気なく歌っていたら、みるみる大ヒットになってしまい、その時、歌手としての責任の重さみたいなものも感じられたようです。

14年を経た現在の、高橋さんのこの曲に関する思い入れが、インタビューで語られていました。

“私は、この曲のその根底にあるのは、母心、母の祈りのようなものだと思うんですよね。愛しい者に対して、翼を持って更に羽ばたけ、と。そして、私はどんな時でもあなたを見守っているよって。シンジ君への想いですよね。(中略)想ってるよって言ってあげたいじゃないですか。道が逸れそうになったら、そっちじゃないよと言ってあげたい。そんな想いで歌いました”

今の高橋さんは、シンジを見守る母のような視点で歌っていらっしゃるとのこと。エヴァは、そうした“母性”に関するテーマと根っこの部分で非常に深く関わってきていると思うので、高橋さんの意見はなんだか心の底にストンと落ちてきました。納得。

また、残酷な天使のテーゼは、すべての伏線が詰まっているOP映像と“驚異的なシンクロ率”を果たしていたようにも思います。曲に合わせて、次から次へと意味ありげな画像がパパパパと並べられていく・・・というOPは当時の私の目には、非常に斬新なものとしてうつりました。この主題歌OP映像奇跡的なコラボレーションをすることで、エヴァはほんの僅かな時間の中で、強烈なメッセージを我々に印象付けることに成功したのだとも思えます。



ちなみに、エヴァが社会現象になってた頃『残酷な天使のテーゼは、間奏で色んな天使の名前を読み上げている』というが、私の周りでは、まことしとやかに囁かれており、当時とても素直だったろむろむさんは、ヘッドフォンをかまして何度もエンドレスリピートしてたもんですよ。もちろん、何回やっても“フィリーアー”しか聞こえなかったという・・・ま、そんなことをかましちゃうくらい、この曲には不思議な魅力があったってことですNE。

ちなみに、エヴァ最終話で、『僕はここにいてもいいんだ!!』→『おめでとう!』のシーンでバックに流れている残酷な天使のテーゼのピアノアレンジは “Good,or Don’t Be.”というタイトルでサントラに収録されているので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。シンプルなのに、何故か耳について離れない、非常に気になるアレンジです。

2、FLY ME TO THE MOON(歌:Claire)
同、ED主題歌。バート・ハワードによって1954年に作られ、その発表後、様々なアーティストがアレンジを行い、1962年に作編曲家ジョー・ハーネルが行ったアレンジが現在最も良く知られているFLY ME TO THE MOONの原型となりました。エヴァのEDでは、話の回によって全く異なるアレンジのFLY ME〜が流されており、話題になりました。

ClaireのFLY ME〜は非常に正統派で、美しく耳馴染みの良いものに仕上がっていると思います。激しい内容のアニメのEDにこうした良曲をサラッ流すところが、ある意味流石だな・・・と思わされるところでもありました。

さて、エヴァンゲリオンという作品については、この10年の間、様々なところでもう語られまくってきたように思います。

エヴァは、不安定で、もやもやとした世間の風潮や、その曖昧の中を漂わざるをえないような時代の潮流に、これ以上ないぐらいのグッドタイミングで飛び込んできて、またたく間に社会の中に浸透していきました。天使、使徒、死海文書、命の樹・・・などなど、ヲタの心をくすぐる難解な設定伏線を散りばめ、更に当時注目を集めつつあった精神分析や、心理学的要素を盛り込み、そしてそれをロボットアニメというベースで魅せた目新しさに、(ヲタ・非ヲタに関わらず)多くの若者達が夢中になりました。また90年代中頃から普及してきたインターネットは、最終話に関する視聴者たちの討論を大いに助け、それが結局はアニメ終了後の爆ヒットを呼び起こしました。

例ににも漏れず、ろむろむさんも当時、エヴァにおそろしいハマリ方をををを。いやー、でも90年代にややヲタっぽい思春期を過ごしていた人なら、その頃のヲタワールドを、エヴァの洗礼無しに通過することは非常に難しかったのではないでしょうか。まあ、今となってはガイナックス先生の商魂たくましい10年間の足跡を呆れ果てて眺めるしかないんですけど。。林原さんも、とあるインタビューでエヴァを取り巻く展開になにげに冷たい視線を浴びせてましたね。しかし、それでも当時のエヴァンゲリオンには、抗えない魔力のようなものがありました。陳腐ですが、戦後の希望に満ちた時代を経て、徐々に色んなものが歪み始めた空虚な時代が、エヴァという魔物を引き寄せたように思えてなりません。

それはともかく、どうやら近日中に、エヴァが(テレ東以外で)何度目かの再放送をかますらしいので、まだ見たことの無い人、10年前を懐かしみたい人は是非とも見るべきであると思われまする。





<関連レビュー>
NEON GENESIS EVANGELION ADDITION



この記事へのコメント
また、書かせていただきます。残酷な天使のテーゼ、もうCD捨てちゃいましたが、太鼓の達人にもあるし、ラジオとかつけてたら、結構かかるんですね。そしてテレビでやる、アニソンの歌のコーナーで、歌わない時って無いですよね(笑) 菅野洋子さんの顔とか知らなくて、なんのイメージも無いまま、アニメの逃げちゃダメだの世界観だけで、この歌を当時リピート再生していました。この歌と魂のフルランがセット扱いらしいけど、私は、フライミーツゥーザムーンの方が、どことなく、エヴァの世界観に似合うような気がします。ミサトとかアスカとかレイとか、心に傷を負ってるみたいな女性達の雰囲気が漂っていて…ちなみに、この歌、宇多田ヒカルのウェイト&シーリスクってCDにも収録されていて、のちにヒッキーは、エヴァの映画の主題歌担当してますね。エヴァ好きだったんでしょうね。私を月まで連れてって…巨大化した綾波レイって夜の中の満月みたいな感じしたなぁって確かに想います。そういえば、こないだの映画で完結みたいでしたね。シンジ君、なんか、マリって子と、くっついたみたいでしたね。私は、ずっとアスカだと想っていたので、見当違いでした。ケンスケって、そんな空気今まであったかしら? レイは、渚カヲル君って感じしないでもなかったんですけどね。シンジ君の大学生活も観たいですね。アニメで全24話で、してくんないかな(笑)
Posted by ルナ at 2023年07月11日 14:21