2008年11月03日

『Plenty of grit/REVOLUTION』<林原めぐみ>

『Plenty of grit』 (2008/7/23) キングレコード
作詞 - MEGUMI、作曲 - 佐藤英敏、編曲 - 大平勉、コーラスアレンジ - 奥井雅美、
歌 - 林原めぐみ

アニメ『スレイヤーズREVOLUTION』OP主題歌。

ジワジワとテンションを上げてゆくイントロを経て、懐かしい林原さんの歌声が(スレイヤーズヲタ)の心に鋭く切り込みをかけてきます。そして、曲の奥からはリナやガウリィたちが強大な敵を相手に一歩も引かず戦っているイメージが浮かび上がって参ります。林原さん曰く『10曲近くあろうかと思われる佐藤さんの曲のみのデモ・テープの中から、イントロ部分に“スレイヤーズ”というタイトルが見えるものに絞り込んで、この曲を選びました』とのこと。林原さんの中にある“スレイヤーズ”が最も突き動かされたのが、この楽曲だったんでしょうね。

また、『“スレイヤーズ”のファンの人が1度聴いただけで、あ!“TV”のスレイヤーズだって思ってもらえるようなかたちを目指しました』とおっしゃっていることから、過去に林原さんが手がけた数多くのスレイヤーズ楽曲作品を下敷きに、歌詞やサウンド、コーラスアレンジまで徹底的にこだわりまくったようです。それだけに過去のスレイヤーズの空気感は見事な迄に再現されていると思います。

“強がってる その脆さもひっくるめて愛したい 涙の跡消せない痛みも”

私はこの歌詞にスレイヤーズ最終巻で、一つの大きな事件が終わった後のリナとガウリィの姿を幻視しました。リナは確かに魔力も精神力も桁外れに高く、性格も自由奔放で多少破綻していますが、困っている人を放っておけないような人の良さがあり、仲間を大切に思える優しさがあります。そしてその性格ゆえに、自分の弱音や辛さを隠そうとします。最終巻では、そうやって自分の中に閉じ込めようとしていた哀しみをガウリィに見破られ、その心情を吐露するのです。そんなリナの脆さや、あえてそれを出そうとしないところも彼女の素晴らしい魅力として受け止めたいというガウリィ(と読者)の気持ちが、この詞にはのっかっているんじゃないかと勝手に思いました。

ラストは“いつだって今ここがはじまり”という、力強い言葉で締めくくられています。スレイヤーズ→NEXT→TRYと繋がり、10年の間隔を置いた今、再び“スレイヤーズ”の世界がはじまる・・・という熱い期待を煮えたぎらせてくださいますねえ〜。そしてこれがED曲の最初の言葉“終わりはしない〜”に繋がっていくのでございます。流石は林原さん!見事に計算された作詞ですねえ。


『REVOLUTION』
作詞 - MEGUMI、作曲・編曲 - たかはしごう
歌 - 林原めぐみ

アニメ『スレイヤーズREVOLUTION』ED主題歌。OPが昔のスレイヤーズをバリバリ意識して作られていたのに対して、こちらは現在の新しいスレイヤーズ像を模索しつつ作られた作品のようです。改めて聴くと、やはりこちらのほうが“今風”というか、逆に新鮮さを感じます。アニメのタイトルに沿って『REVOLUTION』という曲名にしたのも、ストレートでインパクトがあります。個人的にはOPよりも惹きつけられるものがあるんですけど、何故かしら。昔を振り返るというのも大好きですけど、やはりスレイヤーズは前進あるのみ!って感じで、新時代に突っ切ったもののほうが勢いがあって好きなのかもしれません。

“まだまだ行こう 終わりはしない 一緒に行こう 覚悟決めてね”

ああ〜、励まされれますわあああ!!やっぱりリナに励まされてると思うと一味違います。更に、ここでの歌声は爽快なまでに伸びやかで、柔らかい風のような仕上がりとなっております(何。いや“覚悟決めてね”とか、リナが悪戯っぽくウインクしているような気がしませんか?林原さんも『エンディング・テーマは(略)、リナの表情や、マントや、髪や、動いているリナたちが見える曲を選びました』とおっしゃっておられることから、キャラのイメージが反映された詞を作るように心がけたようですので、それも納得できます。

ちなみに2:43〜から始まる間奏は、林原さんのブツブツ呟くような無数の声が近くから遠くから交じり合いつつ聴こえてきて、締めくくりに“等しく滅びを与えんことを!! ”という台詞だけがハッキリと聴こえるという仕様になっております。等しく滅びを・・・は御馴染みの竜破斬(ドラグスレイヴ)の呪文なんですけど、実はこの部分は竜破斬の呪文を逆回転して再生したものらしいんですよね〜。スレイヤーズの世界では「力ある言葉(カオスワード)」を詠唱することで、呪文が発動するんですけど、逆再生部分での、何を云っているのかわからないけどカッコよくてちょい不気味なところが、いかにも“カオスワード”って雰囲気が出ていて面白いな〜と思いました。

“スレイヤーズ”に狂ったようにハマっていた10〜13年前。目を閉じれば昨日のことのように、あの熱狂の日々を思い出します。小説を揃え、神坂先生に手紙を出し、操作性の微妙なゲームを楽しみ、アニメを繰り返し鑑賞し、関連本を集め、林原めぐみさんを以前にも増して超信仰する・・・。そんな我が青春の日々も遠くなりて久しい今日この頃、大した前置きも無くテレビアニメ第四期が唐突にはじまりました。キャストもスタッフも当時と同じ、かつ林原さんが主題歌をつとめるということで、否が応にも期待は高まりまくりました。そして遂にはじまるテレビアニメ!!

・・・あああああ、本当にこんなこと云いたくないんですけど、云いたくないんですけど、何なんですかこれ!?私もう3話目ぐらいから、残り話数をまともに見れるか自分との勝負状態になってしまいました。それをなんとか押し留めつつ、朦朧とした意識の中で全話視聴してみたり。つーか今回、アニメ誌の記事とかもほとんどなかったですね。広報にまったく力が入っていないというか。『え、スレイヤーズの新作アニメ?やってたのそんなの?』という人とか、意外と多いんではないでしょうか。その昔、スレイヤーズは世間にメディアミックスの成功例として迎えられた作品でしたが、そのカケラも本作で見受けられなかったのが残念です。

物語としては、シリアスパートとギャグパートの噛み合わせが微妙で、何もかもが中途半端だったというイメージ。どうでもいいけどサントラぐらい新しいのを作ってください。いや、もうこれ以上語ると、何もかもボロクソに云ってしまいそうなのでやめときます。声優さんは総じてやる気満々だった。そして、スレイヤーズは10年ぶりにアニメ化されて、林原さんが主題歌を歌った。もう、それだけで充分じゃないですか(ホントに?)。どうやら今後、もう1クール新作アニメが放映されるようなので、心に残った微かな希望をそこに全力で傾けていきたいと思います。



<拍手お返事>
>10月17日・18日・20日・21日×1 ありがとうございます!

>10月22日×1 酸欠様
こちらこそ、お久しぶりです!!いやー、もう書こう書こうと思いつつ、静留さんへの愛ゆえか、なかなか上手くまとめられなかったんですけど、ようやくレヌーすることができてホッとしております。静留ヲタとしての渾身の力を叩き込んでみましたが、楽しんで読んでいただけたなら幸いです!!
>一日千秋の思いで待っておりました
>ただ一言「管理人様GJ!」 
マジですか!!ホントお待たせいたしました。そこまで褒めていただけると、ありがたいやら申し訳ないやら。。いや、でも私も嬉しいですううう!!多少苦しくてもレビューした甲斐があったというものです。読んでいただいて本当にありがとうございます★★★アニメが終わって4年ぐらい経つのに、静留さんへの愛はなかなか粘り強く私の心を支配しているようです。静留ソング特集・・・もうちょっとやりたいな〜と思っていますが、今までので「ふう・・・あらかた言いたい事は言い尽くせたか」とか微満足しているのですが、東南からいい風が吹いたらやってみます!

>10月23日×1×1・10月25日×1 ありがとうございます!

>10月26日×1 mino様
>片恋艶花への愛の溢れっぷりにマジ拍手
おおお、mino様、お久しぶりでございます!!愛・・・そう愛のみによって書き散らしてみました。脇キャラなのにこのキャラの立ちかた、そしてキャラソンの見事な完成度・・・。やはり静留様はすごいキャラだったんだな〜と改めて思いました。それにゾッコンなろむろむもかなりいい感じに病気ってるかもしれませんけど。神無月拍手にも言及、ありがとうごじゃいまふ!!

>10月27日×1×1・10月30日×1 ありがとうございます!


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この記事へのコメント
4
新作スレイヤーズ 後半の13話はなかなか面白いと
思いますよ あのキャラがゲスト出演したりで
(前半がだれた感じだったという評価にあまりフォローは)
 できませんが

ただ宣伝面がいまいちだったり、後半の13話が
地上で放映されなかったりと扱いがよくなかったのは同意
新作はED「砂時計」のほうが全体的にいい
新作OP「Front breaking」はサビに入るまでは
いいんですがね

今後のアニメ主題歌の行く末はどうなるだろうね
最近だと「Only my railgun」のヒットがあったものの
今後アニメ主題歌が大売れしにくくなる
「アニメ主題歌冬の時代」が来るかもなんて
思ったりしてますが
Posted by ザウ at 2009年11月26日 12:59
はじめまして、ザウ様。こんばんはでございます!!

まずはスレイヤーズですが、今改めて自分のレビューを読み返してみると、結構トゲトゲしく怒りまくってて、この時の私ってば意外と煮えくり返ってたんだな〜とか冷静に思いました(何。やはり小説→無印→NEXT→TRYのコンボを真正面から辿ってきた自分としては、過剰な期待をかけてしまってたのかもしれませんね。ザウ様おススメ(!?)の13話も是非鑑賞したいと思います!

曲に関してですが、砂時計とFront breakingの意見がすごい勢いで私と同じでビックリしました。Front breakingは心惹きつけるイントロに対して、メロとサビが微妙に弱いと思いました。サビとか、ちょっと天真爛漫さを全面に出しすぎな感じでしたし・・・。対して砂時計は、どちらかというとスレイヤーズ(というか、めぐさん)王道路線ですが、切なげな雰囲気も良いですし、手堅く安心して聞ける曲になっていると思いました。

アニソンに関してですが、ここ最近は結構停滞なムードが漂っているような感じがしますね。10年ぐらい前にも『どうしよう・・・アニソン・・・何も無い・・・』という時期がありましたが、まあまだ今の方がマシな気がしなくもないです。主題歌はともかく、挿入歌に全力を注いでるようなアニメもチラホラ見かけますし、同人音楽からジワジワ上がってくる勢力も見過ごせませんね。ただ、最近のアニメが1クール盛り上がったら、アアッという間に忘れられるように、アニソンの寿命(?)みたいなものも、存外、短命になってきてるような気がします。らきすたやハルヒもさることながら、マクロスも今は劇場版で盛り返してますが、アニメが終わってからしばらくしたら、あのたくさんの曲がハイスピードでスーッと抜けていったように思えますしね。何にせよ、アニソンヲタとしては目を離せないところであります。

コメント有難う御座いました!!
Posted by ろむろむ at 2009年11月27日 00:03