作詞:宝野アリカ 作曲:片倉三起也 歌:ALI PROJECT
二期になってから格段に面白さが上がりまくったアニメこと『コードギアス反逆のルルーシュR2』後期ED主題歌。読み方は“わがろうたしあくのはな”。アリカ様的ニュアンスで云えば“私の愛しい悪の華”って感じの意味みたいです。
もうアリプロがコードギアスの歌をやることはないのかな〜?とか半分諦めていた分、喜びも倍増で御座います。アリカ様もその辺気になっていたらしく、“またALI PROJECTで担当できてとても嬉しかった”と述べておられました。つーか、フローもレンヂも、アリカ様の強烈なインパクトの前には木っ端なお侍もいいとこですよね。コードギアスは、フツーの爽やかな曲もまぁいいですけど、やっぱりカルトで悪魔じみた曲の方が、物語を鮮やかに彩ることができると思います。作品自体が割と殺伐としていて、まっとうな正義をみせるアニメではないですし。
とにかく、曲のはじまり方からしても、凄まじい高さの暗黒度です。加えてこの独特な曲調は、地獄にも天国にも行けず、その狭間に在る“煉獄”の中で悩み苦しむ魂を幻視させるような不安定で怪しげなものとなっております。。
“勇侠青春謳”は、数多の困難を越えて、理想と野望の為に突き進む・・・という雰囲気の歌詞でしたが、“わが臈たし〜”はそれから一転、戦いと絶望の中、悪鬼羅刹となって、自分の信じるものの為に突き進む・・・、という感じがします。って、それって物の見事にルルーシュその人を指してますよね!今回、曲の構想を練るプロデューサーとの話し合いの中で、ルルーシュの変貌=悪の面への開花をテーマに“正義の為に悪にならざるを得なかった”話(歌詞)を書こうという方向になっていったらしいですので、ルルーシュの善と悪、目的と手段など、相反する要素が混じりこんだものになっているのでしょう。正義の中の悪と云っても、悪は悪なので、その辺は、アリカ様の思う理想的な悪を美化して描き出したようですね。
歌詞を読めばわかりますが、この歌はそうやって悪と正義がない交ぜになったような君(ルルーシュ)を見守る、悪の女王様みたいなものの視点で語られています。とはいえ、アリカ様はここで別段マリアンヌを意識した訳ではないようなので、むしろ美しく悪徳を咲かせる存在に、母のような惜しみない愛を贈るような、大いなる“悪”の女神をイメージしたのかな〜とか思ったりします。
アリカ様は、オリジナル楽曲と、作品有りきの楽曲をはっきりと分けており、後者の場合は“アリプロとして耳につく楽曲”+“作品に即した歌詞”+“作品のイメージに合わせたもの”を組み合わせて作っておられているようです。勇侠〜の時は、元々作ってあった楽曲の中から、コードギアスの主題に最も合ったものを選んだそうですが、今回の曲は、ストーリーをしっかりと把握した上で作られたものですので、更に奥深い物語世界を投影したものになっているように思います。
“ただ清廉潔白なものだけが正義なのではなくて、もっとドロドロしたものの中にメッセージを見つける事ができる光であったりとか、そういうものをしたためたいなと思って”
これはアリカ様のお言葉ですが、これがアリプロというユニットからのメッセージだと思うと、なんだか如何にも説得力がありますね。あんま見た目や雰囲気ばっかに惑わされんなよと、もっと本質を見ろと。コードギアスという物語の逆説的な部分とも通じるものがあるかもしれませんね。
2、麤皮
読み方は“あらがわ”。禁断の森で、美しい金色の牝鹿と出会い、神にも等しいその存在に弓を向けた王子の物語。起承転結を持った物語仕立ての歌詞に、不思議な迄に心が囚われます。高貴な人の生き方、その愚かしさと素晴らしさについて謳ったもののようです。コードギアスとは、直接繋がりを持たせた曲ではないらしいですが、過ちや後悔を悔いながら、その身が朽ち果てるまですべて背負い続ける覚悟に至る王子の姿は、ルルーシュに重なるものがあると思います(スザクも。
<関連>
*勇侠青春謳レヌー