2008年04月11日

『コッペリアの柩』<ALI PROJECT>

『コッペリアの柩』(2001/5/23)ビクターエンタテイメント
作詞:宝野アリカ 作曲:片倉三起也
歌:ALI PROJECT

アニメ“NOIR”OP主題歌。

アリ・プロジェクトの作品の中でもかなり知名度の高い曲だと思います。奇妙な迄の浮遊感に満ちた曲調と、美しくも妖しい色香を漂わせるアリカ様の歌声が、私たちを耽美な幻惑の世界へとゆるやかに連れ去って行ってくれます。やっぱアリプロは、砂の城の上で踊るような危うさがあってこそですよね(何。

勿論、アニメ主題歌ということもあり、アリカさまもその辺りを完全に意識して作詞と歌に挑まれたようです。直接的な表現はあんまりないんですけど、NOIRのイメージ(というか魂)が、音楽の中に荒々しく息づいているのを真に迫って感じることが出来ます。ピポパポという謎の効果音や、狂ったように鳴り響くバイオリンなどは、NOIRという物語に時折垣間見える、無機質な残酷さを表しているようでもあります。

アリカ様によると、“コッペリア”とは、ホフマン作の『砂男』という物語に出てくる自動人形のことらしいです。闇に閉じ込められた人形が、死の影から光を探す・・・というイメージを、“再生”というテーマに絡めて作ったのが、この“コッペリアの柩”であるそうです。

加えて、その“人形”を、もがき苦しみながらも、失った記憶を探そうとする“霧香”重ねてみたようです。う〜む、激しく納得。ちなみにこの曲は、アリカ様の鼻歌を片倉さんが曲にしたためたものであります。

妄想百合的にはサビ直前の詞1番・2番・3番がなかなか・・・。

“あなたが見えない この眼は見えない”→“あなたに会えない ここでは会えない”→“それでも触れたい この手で掴みたい”→“我ら護る唯一の愛”・・・・、この一連の流れが、霧香&ミレイユの愛の遍歴(*NOIRの物語とも言う)にピッタシでないですか!?

物語で言うなら21話『無明の朝』で、ミレイユの前から消えようとした霧香の気持ちとか、23話『残花有情』で、霧香がいなくなり、抜け殻みたいになってメソメソ泣いていたミレイユの気持ちとか、その後、離れる前よりも更に強く結びついた二人の絆なんかを思い出すと、歌詞とのかなりのシンクロ率に驚いてしまうと思います。・・・ちょっとこじつけてる気がしなくもないですが、闇の中で生きていた二人が、それでも光に焦がれ、僅かな光の差すほうへ向かっていこうとするシーンなどを見ると、まさにアリカ様の予感的中という感じが致します。

2、Apre Le Noir
フランス語タイトル。NOIRの後?暗闇のその後?
コッペリアの柩とはうって変わった、大変優しい愛の歌です。

ソッと奏でられる美しいピアノの旋律と、少女性爆発モードのアリカ様ボイスに、本気で聞き惚れてしまいます。そしてコッペリアよりも格段にミレイユ&霧香妄想欲をかきたてる超歌詞にも注目。歌詞を読みながら、最終話後の二人を想像するだけで鼻血悶絶でございますよ。最後にジュテームとかフランス人(?)が囁いてるのとか、ベタだけどすごくいいですね。もっともっと深く、本当の私を見つめて・・・と懇願しているのは、果たしてどちらなのでしょうか・・・。


<NOIR簡単あらすじ>
記憶を無くしているが、卓越した暗殺技術を持つ謎めいた少女・霧香と、幼い頃の悲劇を引き摺りながら殺し屋家業を続けるミレイユ。霧香の失われた記憶を取り戻す手助けをする見返りとして、すべてが明らかになった時に霧香を殺すという約束のもと、“NOIR”という殺し屋タッグを結成した二人は、殺し屋としての依頼を華麗にこなしつつ、自分達の命を狙う存在との戦いに挑む。負け=死という過酷なゲームの先にある真実とは!?

ろむろむの最も愛する百合アニメはご存知、“神無月の巫女”でありますが、実はこの“NOIR”は人生2番目に愛する百合アニメだったり致します。最初は、主人公がキツそうだし、なんか暗そうだし・・・って感じで適当に見てたんですけど、ホントすいません。ここまでドストライクな百合を見せていただけるなんて思ってもいませんでした。

NOIRは、エル・カザドとかとは違って、百合描写は凄く遠まわしなのです。

ベットで眠る霧香を見て微かに笑うミレイユとか、ミレイユに名前を呼ばれただけで照れ嬉しそうにする霧香とか、海を見て綺麗ねと呟くミレイユを熱い視線で(?)見つめる霧香とか・・・そういう想像力を喚起させるような上手い百合シーンを挙げろと云われたら枚挙に暇がありません。たとえベットが二つあっても、一つのベットで二人は眠っちゃう☆という潔さこそが、このアニメの全てです(えええ。さすが、少女革命ウテナで“奇跡を信じて願いは叶う(わない)”な泥沼百合ストーリーを見せてくれた脚本家さんなだけのことはあります。

霧香役・桑島法子さんのコメントも空気読みすぎで素晴らしいものがありました。

『スタジオにいると、本当にミレイユに恋する霧香になりきって、ボーッと三石さんのお芝居に聞きほれてしまったり(はぁとはぁと)』

また、アニメ後半は、アクション的にも百合的にも物語的にも、もう大盛り上がり大会でございましたよ(私の中では。アルテナさんとかクロエたんとか、その他雑魚敵とかいっぱい出てきますけど、あくまでミレイユと霧香の物語ってところからは一歩も外れないところが凄いのです。命がけで撃ち合ったりしたと思ったら、命を張ってお互いを助けたり、“自分にはあなたが必要だ”ということを握り締める手と、見詰め合う瞳で語ったり・・・なんつーか『ふたりは殺し屋』で子供向けアニメなんかも作れたりし(ません。

ちなみに、このNOIRという作品は、全話を観てもらわないと、本当の意味で百合を感じることが出来ない仕組みになっております。つまり、一つでも欠けてたらとんでもなく足りない×2、二人の絆って感じの話なのです。これから見る方は、大変でしょうが1話から全話ぶっとおしで見ていただきたいです。最終話にたどり着く頃には、あなたに素晴らしい百合奇跡が舞い降りてくることでしょう。

とりあえず、子犬系霧香が可愛すぎるってことと、ミレイユの不器用な優しさがたまらんっつーことと、このカップルはマジヤバいということがわかっていただければ、それでもう充分かと。梶浦先生のサントラもマジ素晴らしいので、機会があれば是非に!!




<拍手お返事>
>3月30日×1  ありがとうございます!
>4月8日×1 ありがとうございます!


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この記事へのコメント
熱いっす。ひたすら熱いっす。
ノワール、其はいにしえよりの定めの名、ですな。
この二人の絆ってすごいですよね。
アクションも見事ながら、相手を助けたいと思う気持ちが
行動にでたり。
真のノワールさん(笑)(クロエ)がやきもちを焼く
くらいに、本当のパートナーではなかった二人が
いつの間にか真のパートナー(ノワール)になっていた
くらいに。
霧香を遠ざけようとしたミレイユ。
ミレイユのもとを去る決意をした霧香。
あのあついラブレターは本当に心にしみましたよね。
そしてニヤニヤしてしまった私(笑)
最後に響いた二つの銃声。あれが今でも悲しく胸に残っています。
Posted by ユリミテ at 2008年04月11日 21:23
いやあ〜、久々の百合アニメ系主題歌レビューってことで、異様に力が入ってしまいました
外見、性格から体型まで(?)、すべてが正反対のミレイユと霧香が、少しずつお互いに惹かれあっていき、最後には鬼固い絆で結ばれる・・・あああ、ほんと良い百合作品でしたね。。赤い糸ならぬ黒い糸で繋がる二人に乾杯ってもんです。

>相手を助けたいと思う気持ちが行動にでたり。

これは、本当にそうですね!
恩人でありずっと慕っていたクロード叔父さんよりも、霧香を選んだミレイユ。そして、自分に憧れ、心の底から好意を見せてくれたクロエよりも、ミレイユを選んだ霧香。自分に関わる大切な人を捨ててでも、ただ守り抜きたい人。それがミレイユと霧香にとっては、お互いなんだろうなああ〜と思います。

クロエは可哀想でしたが、あのヤキモチ告白はすごくグッときました。『パリで暮らすあなたとミレイユは、とても・・・とても・・・!私だったのに!!私のはずだった!!』あああ、名言過ぎます。。

ラブレターも悶絶ですね。ミレイユを落とすとは・・・恐るべき霧香レターです。ってか、手紙で告白とか、そんな古風なところも素敵。。

あのラストですが、実は私は“死んでない派”だったりします。もしかしたら、いつか訪れる(未来に鳴り響く)終わりの音かな〜とも思いますけど、やっぱり死んでないに一票したいですね〜。フィルム・ノワールの定石で行くと、死んでそうなんですけど、ああ、それでも(略。

でも、心に残る幕切れだったことは私も同意です。闇の終わりなのか、全ての終わりなのか、それとも過去との決別なのか・・・すべては視聴者にゆだねられたという訳なのでしょうね。
Posted by ろむろむ at 2008年04月12日 11:38