2007年05月12日

『pastel pure』<ALI PROJECT>

『pastel pure』 (2004/8/25) フロンティアワークス

作詞:今野緒雪 作曲:片倉三起也 歌:ALI PROJECT

アニメ『マリア様がみてる』OP主題歌。

(あらすじ)
お嬢様学校『私立リリアン女学園』には先輩が後輩を(手取り足取り)指導する『姉妹(スール)システム』という制度が存在している。主人公は、リリアン女学園に通う、ごく普通のお嬢様・福沢祐巳。ふとしたきっかけで、超お嬢様・小笠原祥子姉妹の契りを結ぶように迫られ、困惑する祐巳だったが・・・!?個性的な友人や先輩に囲まれ、友情と友愛と愛情に揺れ動く少女達の青春群像劇がここに!!

マリア様がみてる・・・通称マリ見て。原作は今野緒雪氏のコバルト小説。世間的には『百合ブーム』の先駆けとして捕らえられているみたいです。

さて、この主題歌を担当しているのは、ドス黒ハード系から、ゴスゴス系、軍歌〜メルヘンなど幅広いジャンルを網羅し、その圧倒的な世界観が今や爆受け引っ張り凧。15年以上のキャリアは伊達じゃねえ僕らのALI PROJECTで御座います。

『清く・正しく・美しく』という、(一見現在のALI PROJECTとは対極にありそうな)マリみて世界基準を完璧に守っている楽曲&歌唱に、まずは注目してみましょう!

メロディはあくまで、美しく穏やかに。歌声は、幼子をそっと寝かしつける“子守唄”のように、どこまでも優しく。。この優美な旋律は、聴く人の心を深い愛で包み込むマリア様のお慈悲の如く・・・。

やー、私は中高とプロテスタント系の学校に通ってたんですけど、毎日、賛美歌を歌っていたあの頃を思い出してしまいました。それは『pastel pure』が、メロディに大きな抑揚を付けず、流れるように歌う“賛美歌的な形式”を持つ歌だからかもしれません。

リリアン女学園は『カトリック系学校』という設定がありますので(*だから聖母マリア信仰が強い)、そのことをしっかりと意識し、楽曲の中に見事なまでに反映させた片倉さんの手腕に乾杯×3。

そしてボーカル、宝野アリカ様の神々しさすら感じさせる歌声!
アリカ様は、『聖』『俗』、そして『清』『性』といった、あらゆる意味で相反するものをその内に秘め、飼いならしているアーティストだと思うのですが、今回はその中から『聖』と『清』のみを浮かび上がらせて歌唱に挑まれているように感じました。

それがどんなテーマであれ、求められているものに実直に答えることが出来るのは、ひとえにアリカ様の特異な才能があればこそであると思います。

肝心の歌詞もマリみてワールドが素晴らしく爆裂しております。原作者の今野氏が直々に作詞ということで、それも大いに納得。私は、一巻の6〜7ページ(プロローグ)をベースに、祐巳たちの成長を絡めているような歌詞・・・という印象的を受けました。

歌詞中の一人称は『私たち』となっているので、この曲の主人公は祐巳だとは限りません。由乃や志摩子など他キャラを当てはめても、違和感を感じさせない作りになっているのですねえ。

たとえ穏やかな日々に暗雲が立ち込めようとも、重い雲の上に青い空が広がっていることを知っている私たちなら、きっと乗り越えていくことが出来る・・・。だから胸を張って背すじを伸ばして歩いていこう・・・。

歌詞内容は大体こんな感じです。儚そうに見えて、その実結構たくましい『少女像』が描かれているように感じました。基本的にマリみては年中、何かにつけて少女達がもめまくってるような物語ですから、少女がたくましく成長するお話・・・という捕らえ方も、あながち間違いではないかと思います。。

その他、CDにはバージョン違いの3作品が収録されているので、簡単に紹介してみます。

1曲目『ボーカルバージョン』
宝野アリカ様の美しい歌唱をめいいっぱい感じ取れるver。

2曲目『ピアノ&ギターバージョン』
ピアノとギターで奏でられる演奏。全体の曲調に柔らかさがプラスされています。

3曲目『lyric reading by 福沢祐巳(植田佳奈)』
フルートを主旋律に置いた演奏をバックに、主人公・福沢祐巳が歌詞を音読しています。ポエム魂ここに極まれり。



実は・・・白状いたしますと、私はこの『マリア様がみてる』という作品から『百合』の雰囲気を感じたことはそんなにありません(えええー。友情百合、友愛百合・・・みたいなものなら、何となく感じるのですが、やっぱり『マリみて』はガールズラブとは根本的に何かが違う作品であるような気がします。聖様サイドストーリーの『白き花びら』は、確かにそれを目指した作品でありましたけど、だからといってマリみて本編がその流れを組んでいるようには思えません。

大人が聞いたら一笑に付して終わるような小さな事柄でも、思春期の少女にとっては『生きるか死ぬか』級の大問題!!・・・だったりするのはよくある事。小さな事件に胸を躍らせたり、落ち込んだり。ちょっとした行き違いで気まずくなった友達のことを考えて一日中悩んだり・・・。

マリみては、そうした少女達の一瞬の心の動き(輝き)を、『お嬢様学校のガールズライフ』という、フワフワとした非日常世界の中で精製し、書き留めた作品だと思うのです。(だからこそ、単純に『百合作品』と呼ぶことに違和感を覚えるのかもしれないです)

個人的に百合を感じないのはともかく、それでもマリみては、ヲタの持つ『(二次創作を)見たい・読みたい・書きたい』という三大欲を思いっきりかきたてる、不思議な魅力を備えた作品であるとも思います。

私も99年頃にマリみてを読み始めた頃、まず最初に起こした行動はマリ見ての絵やSSをネットサーフィンで探すことでした。その頃は10〜20件ぐらいのファンサイトがあったように思います。やっとの思いで見つけた“マリみて4コマ”や“聖蓉SS”を感動のあまりプリントアウトしまくったことも今となっては良き思い出です(何。

その後、2002年(前後)あたりで、大手ニュースサイトっぽいところに熱烈に取り上げられてから、知名度が突然急上昇。ファンサイトも爆発的に増え、あれよあれよという間にアニメ化(2004年)までされてしまいました。アニメは・・・アニメは・・・ですねぇ、残念ながらイマイチだったような気が致しました。。一期は目当ての『白き花びら』まで観続けるのが精一杯、二期は数話で挫折致しました。あの絵柄と、急展開っぷりが、なんとも。。



でも『白き花びら』は、結構丁寧に作られていて、聖×栞(+お姉さま&蓉子)などにモエモエすることができましたYO。動いて喋ってる栞を見るのは、なんだか感慨深いものがありました。

なんか長くなりましたけど、『マリみて』とは何かが少しでもお伝えすることが出来ましたでしょうか?機会があれば、小説を手にとって、花園の奥に閉ざされた少女の異世界を味わってみて下さい!





☆拍手レス☆
5月8日の拍手コメント下さった方
『昨日初めて来させて〜・・・』
あああ、ありがとうございます!!!そう云っていただけるだけで、嬉しさ満開、やる気爆発で御座います!!本当に!!最近百合系ばっかり取り上げてますけど、まだまだ色んなジャンルのアニソンレビューに挑戦していきたいと思っていますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします!!

5月7日と11日にたくさんの拍手して下さった方
本当にありがとうございます!読んでくださるだけでなく、たくさんの拍手まで!!一生懸命頑張りたいと思います☆


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