作詞:栗林みな実 作曲:飯塚昌明
歌:栗林みな実
アニメ『舞−乙HIME』後期ED主題歌。栗林さん、ファーストシングル発売より5年目にして、自身の頂点を掠めちゃったかもな記念の一枚。
この曲が出てしまった以上、今後これを越える作品を出していくのは至難の技ではないのかしら・・・と(勝手に)危惧していたんですけど、同年10月に発表された『divergence』が負けず劣らずのビックリ良曲で栗林さんはまだまだ大丈夫と(勝手に)安心致しました。
それでは『Crystal Energy』について事細かに見ていくとしましょう!
まず、荘厳かつ迫力ある前奏が、物語の幕開けを厳かに予感させます。アニメでも、この前奏が聴こえただけでテンションが3段階ぐらい跳ね上がりましたからね。うねるようなギターの音にも惹きつけられます。1:24〜の間奏の入り方なんかは、もうカッコよすぎて・・・ヤバイです。
栗林さんは、歌唱力と表現力をバランスよく兼ね備えた、どちらかというと優等生タイプのアーティストだと思います。歌い上げ系もハッスル系にも幅広く対応できる反面、“ずば抜けて印象的な曲”というのがあまり多くないように感じます。
しかし栗林さんは、どんなに明るい感じの曲であっても、どこかに“深み”のある独特の雰囲気を残される方のような気がします。『Precious Memories』や『Shining☆Days』なんかを聴くと特にそう思います。
この“深み”があるからこそ、“切なさ”を歌に宿す必要があるような(『Crystal Energy』のような)シリアス曲が、栗林さんの歌声と最高に相性がいい音楽なのでありましょうね。
最初のメロディは押し迫るような緊張感に満ちており、46秒の伸びやかな転調を経て、悲壮感と力強さに溢れたサビに突入します。よく聴くと栗林さんは、この三段階で歌い方を少しずつ変えているように感じます。舞−乙HIME後期の転がるような物語展開を暗に表現しているのかな?とか考えてみたり。
アニメを観た方ならば、しかとお分かりでしょうが、これは本作のサブヒロインであるニナちゃんをテーマにした曲で御座います。(*栗林さんは、ニナちゃんの親友エルスティンの声を担当されてました、エルスちゃんが大好きなニナちゃんの気持ちになって歌っているんだ・・・と妄想することも可能)
舞−乙HIMEという作品は、結局のところ、お父様ことセルゲイと義理の娘ことニナちゃんと、主人公ことアリカの三角関係のお話でありました。
お父様に想いを寄せるニナちゃんは、お父様とアリカが接近していくことに嫉妬を隠せず、それがいつしか憎しみに変わって、気付けばダークサイドに堕ちてしまって、友達も仲間もガルデローべもみんな無くして、お父様以外何もなくなっちゃって、でももう引くに引けなくなっちゃって・・・・という泥沼スパイラルにはまりこんでしまいます。
そうした断崖絶壁・逃げ場なしな状況に至るまでのニナちゃんの過程が、歌詞内容には忠実に反映されています。というか、本当にニナちゃんを中心とした後半全部の物語&伏線が、歌詞ぜんぶに詰まってるのですありますよ!
わかる人にはわかると思うんですけど、よくぞここまで・・・と感心してしまいました。やりますね・・・栗林さん・・・。
2『風と星に抱かれて』
『舞−乙HIME』挿入歌。
『Crystal Energy』の激しさからは一転した大人しい曲ですが、テーマは同じく“ニナちゃんの歌”でしょうね。抑えきれない気持ちを、静かに呟いている・・・という感じでしょうか。
ところで、『痛みのない手錠』に『守られる』という歌詞中で一番大切っぽい言葉の意味がいくら考えてもわからないんですけど・・・ま、いいか。
舞乙の前半OP主題歌が『Dream☆Wing』という結構能天気で明るい曲だったので、逆に『Crystal Energy』は引き立った感じがありますね。最初から最後まで『Dream☆Wing』だったら、あまりの物語との乖離っぷりに辟易していたと思うので、後半から新曲を投入したことはなかなかの英断であったと思います!