作詞:宝野アリカ 作曲:片倉三起也 歌:ALI PROJECT
〜阿修羅道とは〜
強い闘争心と猜疑、嫉妬、執着の心をいう。
地獄、餓鬼、畜生、人間、天上と並んで六道のひとつとされる修羅道の世界。(四字熟語データバンクより)
六道の一。阿修羅の住む世界。我慢強く猜忌の盛んなものが行く世界。
悪鬼の世界で、阿修羅王が梵帝釈天と権を争い、常に闘争が絶えない。(広辞苑より)
PS2用ゲーム『舞−HIME運命の系統樹』OP主題歌。阿修羅姫こと藤乃静留さんが進まれた血まみれの『阿修羅道』を、宝野アリカ様が激壮絶に歌い上げて下さっております。
『運命の系統樹』はPS2版の後に『運命の系統樹〜修羅〜』と名付けられたパソコン版が発売されており、この修羅版では、静留ルートなるものが追加されております。静留ルートとは、なつきルートを静留視点で追いかけたもので、なつきルートを知っている人ならよくおわかりだと思いますが、静留さんの愛と絶望と破滅を一気丸ごとに堪能できる、悪夢のようなルートで御座います。
ゲーム版・静留の悲壮感&悲哀感は本当にハンパ無いです。そして、ゲーム版・なつきの、ワンランク上を行くスカタンぶりといったら(千葉さんの超投げやりな演技が今も気になります)。
この事からも、ここで云う“阿修羅姫”とは“静留”のことを意味していると、納得して頂けるかと思います。まあ、静留オタの間では、阿修羅姫=公式静留ソングということは、基本中の基本であるような気もしますけどNE。
というか、もう、歌詞のどの部分を読んでも全部“静留”のことを云っているとしか思えなくて、なんか恐ろしくなってきます。・・・私だけかな。。40秒〜53秒の歌詞なんかも、なつき(静留)ルートのラストシーンを激ストレートに揶揄していますよね。
では楽曲解説。
歌詞中に出てくる何気ない単語ひとつ取っても、異様に静留指数が高いです。例えば『コクリコ』という言葉。
コクリコとは、ひなげしのことです。ひなげしは、別名を虞美人草(ぐびじんそう)と云います。三国志の時代、絶世の美女と歌われた項羽の妻『虞妃(ぐき)』は、敵(劉邦軍)に囲まれ、最後の宴で項羽の歌に合わせて舞った後、自らの命を絶ちます。彼女の葬られた墓からは、赤く美しいひなげしの花が咲いたといい、それ以来ひなげしは虞美人草と呼ばれるようになりました。
・・・愛する人の為だけに、独り舞い踊って、そして愛する人の為に、命を・・・命をををををを!!!!あああ・・・『コクリコ』の意味を思い出しただけで、思わず取り乱してしまいそうになりますが、こんな処で力尽きていてはまだまだ静留さんの阿修羅道には追いつけません。
また、小倉百人一首の下の句7字を歌詞に取り入れている部分もこの歌の面白い部分です。もちろん、こうした言葉は字数や語呂がいいからという理由で引用されただけかもしれません。しかし、百人一首の引用などは、そうそう思いつくものでもありませんし、そうしたものをセンス良く楽曲に取り込んでいけるのがアリプロの凄みであると思います。
静留ヲタとしては、そうした部分を深く考察しては、いちいち静留さんの影を見る・・・という楽しみ方もできますしね。じゃあ、歌詞で引用された百人一首から静留×なつき妄想(ゲームVer)でもやってみますか(死。
『あふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をもうらみざらまし』
→(意訳)この世に愛なんてものがなかったら、冷たいあなたの仕打ちを恨んだり、ふがいない自分を嘆いたりもしないのに
→(妄想)ずっと一緒に居たにも関わらず、先生が登場した途端にあっさり鞍替えした尻軽なつき。そのなつきに追い縋りたいと心の底から思いながらも、『好きだ』とはどうしても言い出せない静留。なつきを影で守るため、オーファンを倒し続けるだけの自分の“情けなさ”に悔い入る静留さんの苦痛に満ち満ちた気持ち。
『来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ』
→(意訳)約束をしても来ないあなたをずっと待ち続ける私の身は、松帆の海岸で夕凪時に焼いている藻塩のように焼き(想い)焦がれています
→(妄想)いつかなつきは先生を捨てて自分のところに戻ってきてくれる。いつかなつきは自分を好きになってくれる。先生にべったりのなつきを遠くから見つめながら、微かな夢に縋り、崩れ落ちそうな自分を必死で繋ぎとめる静留さんの気持ち。
アリカ様の切なげで狂おしい歌いっぷりも聴き応え満点。アリカ様曰く、阿修羅姫は『和ゴス』の世界を表現した作品だそうです(by声優アニメディア)。ゴスの持つ“絢爛&退廃”の趣と、匂い立つような“和”の趣の融合が、この曲の中では、密やかに挑戦されているのであります。
肝心の楽曲も、壮大なのに妙に禍々しい感じで異様なオーラを放っております。特に前奏や間奏などは、なんというか地獄のマグマが噴出しそうなほどのすさまじい勢いに溢れていると思います。この息つく間もない焦燥感とスピード感には、もう何も云わずに酔いしれるしかないですね。
愛に狂い、愛に堕ち、愛を求めるが故に、地獄を彷徨いながら戦い続ける“阿修羅姫”。彼女はたった一人の愛する“あなた”を手に入れるため、目の前の全てを薙ぎ払い、肉体が滅び潰えるその瞬間まで“あなた”を想い続けるのです。
2、君がため、惜しからざりし命さえ
藤原義孝の詠『君がため、惜しからざりし命さへ 長くもがなと思いけるかな』よりタイトル引用。(意訳)あなたに会うためなら命さえ惜しいとも思わなかったものですが、こうして会えた今は、この幸せの中で末永く生きてゆきたいと思っています
何とも心優しい詠ですが、アリカ様の手にかかれば、もはやそうした元来の意味はどこかに吹き飛んでしまうのでございましょう。いやあ、もう、ひたすらに憂鬱でダウナーな一曲です。聴けば聴くほど、身体がドロドロに溶けそうになります。麻薬でバッドに飛んでしまって、ぐにょぐにょ世界でのたうちまわるみたいな・・・そんな感じの曲ですNE(何。
しかし、歌詞は単体で見ると、阿修羅姫に続く『悲壮な恋愛』を謳っており、なかなかに読み応えがあります。静留ソング・・・として見てみても、悪くないと思います。
ところで、ゲーム版OPの阿修羅姫は何故にこんな微妙な(つーか酷い)音質なんで御座いましょうか。CD版は再録と考えると、プロトタイプかなんかをゲームOPにあてがったんでしょうか??謎ですね。
あと、ゲーム版で最ウザイ妹キャラに『天河朔夜』(cv松来未佑)というのがいるんですけど『〜お兄ちゃん』が入る寸前でクリック(○ボタン)を押せば、アカイイトの桂ちゃんに聞こえなくもないです。名前もサクヤですし(何この楽しみ方。
だいぶ前になりますが『阿修羅姫』は、静留ソング候補として拍手コメントをいただいたものでした。あの時、コメントを飛ばして下さった方、ありがとうございました!
『片恋艶花』に次ぐ公式静留ソング『阿修羅姫』。
4月4日発売のアリプロベストアルバムにも収録予定とのことですので、まだ未聴の方は是非この機会に聴いてみて下さい!