『未来形アイドル』キングレコード(1996/5/22)
作詞:原山佳奈子 作曲:名古屋司
歌:宮村優子&氷上恭子
アニメ『VS騎士ラムネ&40炎』OP主題歌。
宮村優子絶頂期の“無敵感”を肌で感じられる一枚。そして、アニオタの心をくすぐり、一度聴いたら10年以上鼓膜が忘れてくれない麻薬アニソン。
勢い良く突っ走る熱気ムンムンな宮村さんの歌声と、可憐かつ落ち着いた雰囲気を持つ氷上さんの歌声。二人のメリハリの効いたツインボーカルが、転げまわるようなハイテンション曲調の中で、せめぎ合い、溶け合うことで、血液が逆流するような高揚感が生まれております。
最初から最後まで、とにかく曲全体がノリノリ。自然と身体がリズムを取ってしまうぐらいノリノリ。あと、所々で泣きまくってるギターのカッコ良さったらないですね(特に34秒〜46秒の間)。
この曲にして、この歌詞、そしてこのボーカル・・・これ思うにプチ奇跡也。このレビューを書くに当たって、久しぶりにじっくりと聴いてみましたが、10年の歳月を経ても一向に古めかしさを感じさせない曲の生命力に、とにかく驚嘆しました。
『未来形アイドル』は、アニメ主題歌であると同時に声優2人組が歌う『声優ソング』でもあります。声優さんならではの個性の強い声に、どこかファンタジーっぽくヲタちっくな歌詞。こうした要素は、アニメ主題歌としては、案外敬遠されがちであります。
しかし、この『未来形アイドル』は、そうしたヲタっぽい要素があったからこそ、多くの人の支持を得ることが出来た音楽であるように思います。もしもこの曲を歌っていたのが、フツーの一般アイドル歌手だったなら、一時的に『いい曲だな』と思っても、きっとすぐに記憶の海に沈んでしまったことでしょう。
そう考えると、改めて、宮村優子さんのエネルギーとインパクト溢るるボイスの凄まじさを感じさせられますね。(*というか、二人でハモっている部分なんかは、宮村さんの声が強すぎて、氷上さんが超押されてます)
ちなみにCD.verはTV.verよりも(再収録の為か?)歌も曲も洗練されており、聴きやすくなっております。
『勇気の引力』歌:Liaison
同、『VS騎士ラムネ&40炎』ED主題歌。Liaisonは、松浦有希さんが94年に結成したユニットです。もちろん、この曲のボーカルも松浦有希さんが務めています。
松浦さんは、多くのアーティストに楽曲提供をされている方で、林原めぐみさんの(ろむろむ的名曲)『Touch and Go!!』や、やまとなでしこの『Trust me,trust you』レヌー、赤チャの『チャチャにおまかせ(カップリング)』レヌーなどを手がけられています。。
派手さはないですが、優しいメロディの印象的な曲を作られる方だと思います。この『勇気の引力』も、松浦さんのそうした感性が生かされている曲であります。どんな僅かなチャンスにも、『勇気』を持って飛び込んだなら、その『勇気』が持つ力に引き寄せられて、何かを手に掴むことができるかもしれない。『勇気の引力』・・・素敵な響きですね。
えー、この『VS騎士ラムネ&40炎』というアニメは後半〜ラストの展開がやたらと凄かったような気がします。というか主人公のラムネードと、ヒロインのパフェ(*異世界人)が最後に結ばれないというのが衝撃でした。
話の流れからしたら、どう考えてもゴールインな二人なのに、ラムネとの“前世からの因縁”がパフェにはないという理由でさよならグッバイバイになってしまうのです。そして、ラムネードは前世から繋がりのある女性と現実世界(元の世界)で結ばれるのです。ラムネ40炎の壮大なSFタイムパラドックスネタとか、正直今でも良くわかってないんですけど、この展開だけは鮮明に記憶に残っています。
前世ネタ&予定調和を突き崩す展開・・・思わず、連想してしまいます。ええ、もちろん神N(略。
更に衝撃の展開は続きます。最大最凶の敵・ゴブーリキを倒せる最後の武器(伝説の剣)は、なんと今まで共に闘ってきた仲間が死ぬことで現れるというシロモノだったのです(しかもそれは、運命によって決定付けられている事項)。仲間を守るため、運命を変えようと必死で闘い続けるラムネード。ですが“その時”は、最早すぐ傍にまで迫ってきていたのでした。
最後の最後に、初代(*カッコ良すぎ)・二代目・三代目のラムネスが揃って(幻っぽいですが)『俺は今、猛烈に熱血している』と声を合わせて、物語は終わります。このシーン、ろむろむはなんかちょびっと感動しました。*ビデオも何も手元に無いので、ここまで全部記憶に頼って書いていますが(死。
熱血馬鹿コメディアニメが、ふと気付けばドシリアスアニメへ・・・。このヒロイン二人(パフェ=宮村優子・カカオ=氷上恭子)が、無邪気快活に『未来形アイドル』を歌うのを聴いて、誰が二人の報われなさっぷりを予想できたことでしょう・・・。
ですが、この意外性もまた『未来形アイドル』の、絶妙のスパイスなのかもしれません。