作詞:鵜島仁文・米倉千尋 作曲:鵜島仁文
歌:米倉千尋
アニメ『仙界伝・封神演義(ほうしんえんぎ)』OP主題歌。
米倉さんの歌声が持つ“包容力”の凄さに、激しく心奪われる一枚です。“夢”の実現の為に、ひたすら前に進もうとする“君”に、どこまでも付いていこうとす“私”の熱い心意気が歌詞から読み取れます。
封神演義の主人公『太公望(たいこうぼう)』は、飄々とした雰囲気の中に、どんな困難も自らの手で切り開いて行こうとする強さと、多くの人(仲間)を惹きつける魅力を隠し持ったキャラクターとして描かれています。太公望は、『封神計画』という目的の為に行動していましたが、そのうちにその目的が自分の信じていたものとは異なるものであったと気付きます。その事実を知り、悩み続けながらも、自分を信じてくれた仲間や多くの人たちの為に、彼は自分自身で見つけ出した新しい未来の為、壮絶な戦いの世界にその身を投じていくのです。
封神演義は、たくさんの魅力的なキャラが登場する漫画です。ですが、敵であれ味方であれ、太公望と向き合ったり戦い合った者達は皆、太公望により心の奥にある“何か”を揺り動かされ、変えられていきます。例えば『未来』の為に国を捨て、戦いを決意した黄飛虎も、己の『秘密』の為に、苦しみの中にいた楊ゼンも、『信念』の為に生き、それ故に倒れた聞仲でさえも、太公望の考えや行動に何かしらの影響を受けていたと思います。
ということで、OP主題歌で歌われる“君”とは“太公望”のことであり、“君を信じる私”とは“太公望を取り巻く仲間達”であると考えられます。一介の仙人でしかない太公望が、多くの人の“希望”と“奇跡”になるその日まで、仲間達が彼を見放すことは決してありません。
『WILL』という曲は、戦いに破れ、傷つき、斃れながらも、太公望を信じる気持ちだけは捨てないという仲間達の魂の歌であるように私には感じられました。
また、曲開始後、米倉さんのサビ歌唱直後(20秒〜36秒まで)の前奏のカッコよさは最強だと思いますね。*アニメOPでは、太公望が四不象(スープーシャン)に乗って大空を駆け上る場面で流れてます。全体的に、サウンドは相当力が入ってますしね。印象的なサビも格別です。加えて、米倉さんの明るく、かつ伸びやかな声は、『WILL』の歌世界を更に壮大なものに仕上げております。
この頃(WILL発売時)の米倉さんは、事務所倒産の憂き目に遭い、ちょうど歌手生命すら大ピンチ状態であったと記憶しています。その逆境の中で、この『WILL』が歌い上げられたと思うと、何か感慨深いものがありますよね。。
辛いときや落ち込んでいるときにこの曲を聴くと、優しく励まされているような気分になります。米倉さんの転機となったヒット曲『WILL』。米倉さんが乗り越えてきたものを感じながら聴くのもまた一興かと思います。
カップリング『FRIENDS』
作詞・作曲・歌:米倉千尋
同『封神演義』ED主題歌。『WILL』とはうって変わった穏やかなメロディが続きます。米倉さんは作詞・作曲もこなせる方なのであります。『僕』から『君』に贈る真摯な言葉。ま、この曲は無理に封神演義に絡めなくても良いと思います。君を守り、君と共に生きていきたい・・・。そんな、愛や恋や好きを越えた暖かな“想い”を歌っております。
今回、改めて振り返ってみて、また『封神演義』が読みたくなってしまった私。でも全巻何処に収納したのかわからない私(死。
アニメは(絵と)CGの出来具合が微妙でしたが、原作とは別物と考えていたので、私はそれなりに楽しく見てました。アニメの最終話は妲己と太公望の一騎打ち。太公望が最後に妲己に向けて投げかけた『さらば、最も邪悪にして最も美しき人形よ』の台詞にドキッとしたり(そしてなんか可哀想な妲己ちゃん)。漫画版でも最終話付近とかちょっと『太公望×妲己』っぽくなかったですか??え、違う?妲己ちゃんは、悪役だけどいいキャラしてました。かわいいし。
あとは、普賢(cv.緒方恵美)の色気ムンムンぶりと、申公豹 (cv.石田彰)の妖しさ大爆発度もアニメの見所だったと思います(えー。
ろむろむは、特定のキャラに超ハマるということはなかったんですが、漫画にて登場の『王天君(おうてんくん)』は、ろむろむ的にかなりのヒットでした。ええ、あの顔色の悪い、ダニの宝具を使う、シルバーアクセサリージャラジャラの彼です。冷酷残忍ながら、あの生い立ちやらバックボーンの凄まじさに萌ええええ(待。『太公望』が皆に愛され、いつでも光の中に居られたのは、実は『王天君』が闇の中で永い孤独に耐え続けていたおかげなのです。憎らしい敵キャラかもしれませんが、彼がいなければ、『封神演義』があの結末を迎えることはできなかったと思います。まったく王天君は、とんでもない伏線萌え爆弾だぜ(何。
藤崎竜版『封神演義』は、古典を大胆にアレンジしたファンタジーバトル漫画なので、今でも充分楽しめると思います。まだ未見の方は是非手にとって欲しいです。また、『WILL』の方ですが、2005年にマキシシングルで再発売されております。手に入りやすくなっていると思うので、そちらもおススメしたいと思います。