『幽☆遊☆白書ミュージックバトル編3〜魔界伝説〜』(1994/12/16)MEDIA REMORAS
ヲタ・一般の垣根を越えて、広く人気を博した、超有名アニメ『幽☆遊☆白書』のキャラクターソングアルバム第三弾。幽助や飛影をはじめ、戸愚呂、黄泉、躯から美しい魔闘家鈴木までゴールデンメンバーが次々とマイクを握ります。
しかしこの節操の無さ・・・ある意味お見事です。
正直ちゃんと“聞ける”ような曲はほとんど無いんですけど、この『やっちゃった感』はなかなか他のキャラソンでは味わえないような気もします。『幽白』はOP主題歌やED主題歌が、かなりの名アニメソングだっただけに、このキャラソンの出来映えにあれれ?と肩を落としたファンも少なくはないでしょう。・・・いや、もしかすると『仙水がこんなカワイイ歌を歌うなんて素敵!!』と思ってた人もいたのかもしれませんけど。というか、それ以前に、このアルバム聞いたことある人とかいるのかしらって感じですけど。
歌詞は『少年バトル漫画テイスト大爆発!!』という、私が最苦手とする雰囲気の物なのですが、『キャラクターソング』の意味はしっかりと理解して作られているように思いました。例えば『躯ソング』には『痛々しい過去/素顔への誇り/憎悪からの解放』など、躯というキャラに密接に関連するキーワード(言葉)が歌詞中にしっかりと入っています。
このキャラソンアルバムにおける『キャラクターを反映した歌を作ろう』という意気込みと頑張りは、たいへん良いものであります。どうせアレな音楽系作品を作るなら、せめてこういう部分だけには気を入れてほしいですよね。最近の無闇矢鱈に乱発されているようなキャラソンも見習うべきでしょう。
また、このアルバムは歌詞カードがやたら豪華です。巻末に全魔族・悪役キャラデータ集が11ページに渡って収録されています。アニメからセル画抜いて、はっつけました〜なキャラ絵が気になりますが、データのほうは超詳細で、キャラの補足には持って来いです。こういうオマケ的なものの充実は嬉しいですね。データには、各キャラの最後の台詞と最後の台詞まで載っていて、なかなかに楽しめました。
えー・・・やはりわたくし、女性歌手や女性声優の歌でないと、どうしても情熱に翳りが出てしまうみたいなので、今回は短めにレビューさせて頂きます(我ながら自分に正直←死)。
1、dead or alive〜闘神〜 歌:浦飯幽助(佐々木望)
ギター、ドラムの激しい演奏っぷり・・・。かなりロックを意識した曲であるように思います。歌詞からは幽助の戦い大好き☆っぷりがひしひしと伝わってきます。
2、dark side stories 歌:妖狐蔵馬(中原茂)&飛影(檜山修之)
盛り上がりどころがさっぱりわからない曲。一番目は蔵馬(過去)テーマソング、二番目は飛影(過去)テーマソングな歌詞になっており、それぞれがバラバラに歌っています。ちなみに二人の声は一度もハモッ(重なっ)ていません。『&』の意味が全く無いと思うんですけど。
3、霧の中の狙撃手 歌:刃霧要(関口英司)
英語歌詞部分がすごく変なんですけど、リズミカルな曲調が妙に気になります。あと、サビからなんか妖気出てます。
4、LOVE SONGをあなたに 歌:小兎(折笠愛)&樹里(遠藤勝代)、瑠架(鈴鹿千春)
妖怪少女3人組。折笠さん以外、誰?っていう感じですねえ。声優界は厳しいトコロなのですねえ。ちなみにこの曲だけ故・高橋ひろさんの作詞作曲です。さすがに聞きやすい作りになっています。やたら可愛らしいアイドルソングなので、他の濃すぎる曲と比べると激しく浮いていますが、ここで軽く心を休めないと、このアルバムを最後まで平常心で聞くことは永遠にできないと思います。
5、美しすぎて・・・・・ 歌:美しい魔闘家鈴木(曽我部恭一)
千の姿と技を持つ美しい魔闘家鈴木さんの為だけに存在する曲。曲だけはこのアルバム屈指のまともさ。旋律も綺麗。これで歌詞と歌さえなければ。
6、まぁ、飲めよ 歌:酎(若槻規夫)
こんなところにクレイジーケンバンドが!!クレイジーケンバンドがいるよおおおお!!!ああああ、若槻さんはクレケンの生まれ変わりやったんやね(感涙←何。激渋の曲調に、惚れたハレたの歌詞、酔っ払いがクダを巻いてるような歌い方(*そのまんま)。良ネタ曲です。
7、つむじ風でフライアウェイ 歌:陣(山口勝平)
良い子の番組の、優しい歌のお兄さんチックな歌いっぷり。やたらとスッキリ爽やか。流石に歌は上手いです。
8、GLEAM〜闇に光る〜 歌:凍矢(松本保典)
妖しいロック風曲。サビは、松本さんが特に力強く歌っていますが、あまりノリは良くないです。
9、Cry Lonely Cry 歌:戸愚呂(玄田哲章)
なんというか・・・もう・・・凄すぎますね。納豆よりも粘り気のある歌いっぷりに、身体を絡め取られそうです。に、逃げてー!!っていうか、戸愚呂ですよ!?戸愚呂が『Cry Lonely Cry』と超アルト声で歌いながら追いかけてくるんですよ(えー!?恐怖刺激としておススメ。
10、永遠のレクイエム 歌:仙水忍(納谷六朗)&樹(辻谷耕史)
2分ぐらい普通にしゃべり続けてます・・・この人たち・・・。その後は、樹さんの甘く妖艶なヴォイスを堪能・・・ううう。仙水さんは、間奏の間だけ台詞を云ってます。歌詞には、樹から仙水への熱い想いの丈が綴られていますね。曲全体を通してみると、なんとなく樹と仙水が会話しているようにも感じました。
11、REBIRTH 〜再生〜 歌:躯(高山みなみ)
(歌手としての)高山さんの使い方を完璧間違っている一曲。曲調に起承転結が全く無いですし、サビすら無いです。
12、千年の闇の果て 歌:黄泉(江原正士)
パパの子守唄。激しくミュージカル調で、ある意味聴き応えはあります。
〜『キャラクターソング』それは、ディープなヲタクのマストアイテム〜
だからこそ、幽白をそれほど激しく愛してはいなかった(好きでしたけど)私にとって、このアルバムはなかなかの強敵でありました。舞HIMEのキャラソンなら、あんなにノリノリで楽しくレビューできるのにね。かつて幽白が大好きだった方は、この曲を聴いてどんな感想を持ったんでしょう。とても気になります。。