歌:陰陽座 作詞・作曲:瞬火
アニメ『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』OP主題歌
【甲賀忍法帖あらすじ】
徳川家の治世が始まり、戦乱の世からは遠ざかりつつあった時代。
かつてはいがみ合っていた伊賀と甲賀の忍者一族も徐々にではあるが歩み寄りを進めていた。しかし、徳川家の3代目を決めるにあたり、内輪もめからの内部崩壊を恐れた大御所・家康は、甲賀と伊賀の忍者の忍術合戦(双方が7人の精鋭忍者を選出し、最後の一人になるまで殺し合いを行う)で、3代目の選定を行うことを提案する。最後に伊賀が残れば愚鈍の兄・家光、甲賀の忍者が残れば、聡明な弟・忠長が将軍となる。こうして、血で血を洗う因縁の戦いが幕を開けた・・・。
とまあ、こんな感じの激しい忍術バトル漫画が原作です。
主人公は伊賀の跡取り娘『朧(おぼろ)』と甲賀の跡取り息子『弦之介(げんのすけ)』の二人です。この二人は婚儀間近の恋人同士だったのですが、徳川の絶対的な命令・一族の誇り・仲間たちへの想いの為に、無残にも引き裂かれて行く訳なのです。山田風太郎の作品は奇怪な戦いっぷりと、人間同士の情愛と悲劇の物語が混在しているものが多いので、実にもどかしくも楽しませてくれます。
アニメは『ファンド』?とかいうもので微妙に話題になっていましたが、とにかく物凄く気合が入った作画っぷりでした。ろむろむ自身はアニメ最終回(と一話前)に感動しました。漫画にも小説にもなかったあのほんの少しだけ救われた終わり方。甲賀と伊賀の忍者たちがやってきた戦いは無駄ではなかった。ちゃんと後に続いてゆくものがあったんだ・・・と思えました。
あとね、アニメでは、お幻ばばさまが甲賀弾正じいさまに久しぶりに会えるからって、気合入れて髪を結って、それを夜叉丸たちがみんなで珍しそうに覗き見るホノボノ描写とかが挿入されたりしたんですよ。後の悲劇を考えると死ぬほど切ないんですけど、なんかこのコマ見れただけで嬉しくなれました。アニメの演出は大変ナイスです。
山田風太郎の原作小説→(更に愛憎エッセンス倍増)→せがわまさき版漫画→(+僅かながらの救い)→アニメ
*アアッ!!仲間由紀恵たん主演の映画版見るの忘れてたアアア!!
という訳で、同名のOP主題歌『甲賀忍法帖』のレビューに入りたいと思います。
『甲賀忍法帖』
しょっぱなからバリバリの陰陽座がブッ飛ばしてくれます。しっかし甲賀忍法帖と陰陽座とは、水と牛乳の如き融合っぷりで御座いますなあ。
笛の音から始まる和風ロック。甲賀弦之介も笛を嗜む設定でしたので、もう弦之介が切なく吹いているとしか思えなくなってしまいます。そしてボーカルの黒猫さんの激しく心を打ち付ける声がたまりません。綺麗な声なのに空を翔るように伸びやかで、なんだか不思議な感じがしました。
歌詞も完璧に甲賀忍法帖を理解し尽くした出来になってます。朧と弦之介は共に『瞳』を使った幻術・忍法を使うのですが、歌詞にもそれが暗喩的に登場しています。同時に、戦い合うことを運命付けられた愛し合う二人の悲しみと結末が見事に表現されています。
『卍』
カップリング曲ですが・・・。男女ツインボーカルでライブハウスでシャウトしそうな一曲になっております(何。あまり大衆受けはしなさそうな気がしますが、好きな人は好きかもしれません。男性の声よりもやっぱり黒猫さんの声の方がいいなあ〜とか思ってしまいました。
CDジャケットは、祈りに目を閉じる朧の後ろに、幻術発動中の怖い弦之助の顔のアップ絵になってます。でもよく見ると弦之助は涙を流してます。ほんと怖すぎる顔なんで気づかないかもしれないですけど、細かいな〜とちょっと感心しました。
陰陽座は同じような調子の曲が多いと聞きますが、実際はどうなのでしょうね。とにかく、この『甲賀忍法帖』は聴き応えのある一曲であると思いマス。