2006年10月25日

かけらむすび<ひぐらしのなく頃にイメージアルバム>

『かけらむすび』(2006/9/27)フロンティアワークス

1. 緑の色のやさしい風
2. my home (歌:霜月はるか)
3. M・A・T・S・U・R・I-Meet Your Match!(歌:風葉)
4. when they cry(歌:片霧烈火)
5. 蝕み
6. hymn(歌:片霧烈火)
7. samsara(歌:茶太)
8. you -Visionen im Spiegel(歌:癒月)
9. 月の夜のつめたい風


同人PCゲーム『ひぐらしのなく頃に』のイメージアルバム。
『ひぐらしのなく頃に解(祭囃し編)』のコマンド?の一つに『かけらむすび』と呼ばれるコマンドがあるので、おそらくはそれに題名を引っ掛けているのだと思います。ちなみにこのCDの企画・構成片霧烈火さんです。

この『かけらむすび』というアルバムは、『ひぐらしのなく頃に』が好きで好きで仕方がない人たちの情熱で出来ているといっても過言ではありません。もう、とにかく、一曲一曲にものすごいひぐらし愛エネルギーが注ぎ込まれているので、登場人物の内面(性格)やゲームの内容が、そのままの調子で歌詞に反映させている作品(曲)が非常に多くなっています。

例えばアニソンなどの歌詞というものは、物語の比喩や暗喩、隠喩などを盛り込んでいく方が、スマートに聞こえますし、そうした方が、逆に物語の主題や内容を際立たせることができるものだと思います。そのことを踏まえた上で聞いてみると、この『かけらむすび』に収録されている曲は、『青さ』『うるささ』を感じさせるような表現が幾分多めに含まれているように感じました。

しかしながら『ひぐらしのなく頃に』が、同人ゲーム発祥という、個人の想いや考え方が最も反映される場所からスタートしたという過程を考えると、こうした直情的なイメージアルバムの存在も、また出るべくして出たものという風にも考えられます。

ろむろむ的に幾つか気になるところもありましたが、『ひぐらしのなく頃に』の一ファンとして聞く分には、全くもって申し分なしの素晴らしいアルバムに仕上がっております。できることなら、ゲーム『ひぐらしのなく頃に』をプレイし終わってから聞くことをオススメ致します。

以下、ゲームの致命的なネタバレに抵触しないよう、細心の注意を払いつつレビューしていきたいです。。あー、人間関係等は、微妙なラインでバレてるかも・・・。そういう部分は、CDを聞いた人だけわかるような書き方にします。

*このレビューはすべて、ひぐらしファンとしてのろむろむの感性にのっとってますので、そこんとこよろしく。


1. 緑の色のやさしい風

『ひぐらし』世界への幕開け。目覚めという感じでしょうか。ゲームで言うほのぼの日常パート。そして、ゲームの展開通り、曲の最後(曲が終わる30秒前ぐらい)は、なにか日常が静かに崩れ去るような予感が・・・。

2. my home

どこからどう聞いても沙都子の曲(むしろ沙都子の一人称)。歌詞中に散りばめられてるキーワードは勿論のこと、「 」で囲われている台詞などを見れば、もはや一目瞭然でしょう。霜月はるかさんが、まるで沙都子と一体化しているかのようです。いやー、この歌を聴いてると、トラップ作りに専念し、みんなと夢中で遊び、圭一にからかわれてムキになって、一人になった途端に寂しそうにしている沙都子が・・・沙都子が目の前に浮かんでブロッコリー(何。



3. M・A・T・S・U・R・I-Meet Your Match!

題名が微妙にダサい気がするんですが、歌はこのCD中でも1、2を争うカッコよさです。『祭囃し編』をプレイする直前とかに聞いたら、かなり高揚感が高まると思います。歌っている方は「風葉」さんという方らしいですが、声は伸びやかで、更にアネさんっぽい余裕と魅力を周囲に撒き散らすような歌いっぷりが鬼ナイス。ただ、演奏があまりにもチープすぎて死にかけました。仕方ないかもですけど。電子音ぴーひょろろーは酷い・・・かも。

4. when they cry

作詞:竜騎士07with片霧烈火 作・編曲:大嶋啓之

これはまた、たまらなく良い曲ですね。
何度も何度も繰り返し聞きました。おそらくは、梨花ちゃんの曲ではないかと。アニメ版のEDを歌っていた片霧烈火さんが担当しています。片霧さんの歌声は、最初すごい可愛らしいのに曲が進むにつれて、段々と、熱く、力強くなってくるんです。最後とか苦しいぐらい必死です。え、これってまんま梨花ちゃんじゃないですか?

というか、作詞は原作者の竜騎士07さんも関わってるじゃないですか。これならむしろ『ひぐらしのなく頃に』裏公式主題歌と考えてもいいかもしれません。そして、ほんとに最後の最後、歌詞のラストで大技をキメてきます。私も信じるよ、いや、信じさせてください!!最後まで!!

・・・・と、ここまで書いといてなんですが、これ書いた後、歌詞カードひっくり返したら片霧さんが『竜宮レナのテーマソングです』っておっしゃってました。プー!!ろむろむの読解力の浅はかさを思い知らされますね。ろむろむもはじめ、梨花ちゃんにしては『これからもひとりでがんばる』っぽい歌詞が合ってないと思ったんですよおおお(苦しい言い訳)。

いつぞやの、レナの台詞『幸せになるには、どこまでの努力が許されるんだろう』。これと同じ意味の言葉がサビにもちゃんと入っていますね(よく聴けば。強くて優しくて、どこか危うい。それでいて、誰よりもひたむきなレナ。彼女に捧げられた歌を、もう一度、静かに噛み締めてみたいと思います。



5. 蝕み

いかにも『ひぐらし』な一本。ひぐらしをプレイした人なら、なーんとなく聞いたことがあるような不気味な音が満載です。作曲者さんの歌詞カード裏コメントがすごく変なんですけど、まあ・・・こういうのもアリですか。。

6. hymn

何だか心が圧迫されるような曲。片霧烈火さん担当。どことなくオドロオドロしいのに、歌声は透き通るようで逆に怖いです。歌詞がエラいことになってる箇所があるんですが、歌の中で聞くとあまり気になりませんでした。

7. samsara

静かに淡々と進む曲。前までの曲が濃すぎる奴らばかりなので、この大人しさには、ちょっとホッとできます。とりあえずひぐらしは遠くの方でガンガン鳴いてます。ヤケクソ気味になってる梨花ちゃんの心象風景っぽい歌詞です。

8. you -Visionen im Spiegel

作詞:癒月 作曲:dai 編曲:Morrigan

『you』が来たよ!!『you』が来たよ!!ひぐらし作曲家daiさん作、名曲中の名曲の『you』が来たよおおお!!歌詞と歌が付いて、更に魅力UPです。

ひぐらしプレイ中に何度も耳にし、何度も涙を誘われ、何度も無意味に懺悔したくなった、まさにひぐらしを象徴する一本。

ちなみにゲーム中では音楽のみで、声付きで歌われてはいませんでした。ゲーム中の『TIPS』というコマンド選択中に、この曲のアレンジが流れるんですが、何故アレはあんなにも怖く聞こえるんでしょうね。。同じ曲なのに。。

で、歌詞はどう考えても『詩音』のテーマです。『アレ』が起こる前の詩音の心境って感じですね。プレイ中は、あまり彼女に共感できなかったんですが、こうやって聞くと、ちょっと考えが変わりました。彼女も他のキャラクター達同様、ただただ真っ直ぐで、純粋で必死だったんだなあ・・・と。

歌は癒月さんという方です。じんわりと心の中に染み込んでくるような歌声でyouを歌い上げて下さってます。こちらのアレンジもかなーり気に入りました。サビから最後にかけての盛り上がり方が凄いです。

*daiさんの同人CD『Thanks / you』に入っているものと歌詞は同じですが、アレンジが大幅に変わっています。『Thanks / you』版の方が、手作り感が溢れているだけに、『ひぐらし』の雰囲気をより深く味わえるような気がします。『かけらむすび』版は、商業用な分、曲がより美しく洗練されており、聴きやすいです。

daiさんの公式HPにて、『you』(曲のみ)がダウンロードできますので是非。

9. 月の夜のつめたい風

1が全ての幕明け。そしてこの9で幕は厳かに引かれる。
しかし、幕は引いても、本当の物語はこれからはじまる。


観客である『私たち』の中からはじまるのだ。


<以下蛇足、ネタばれなし、ひぐらし賛歌>

『ひぐらしのなく頃に』は、ろむろむの人生で初めて『寝食を忘れてゲームをする』ということを教えてくれた偉大なゲームです。既に有名すぎるぐらい有名になっている感はありますが、アニメ化やコンシューマ化決定などの情報を聞く度に「本当に素晴らしいゲームだったからなぁ・・・」と何度も感慨にふけってしまいます。

独特な絵柄に及び腰になる気持ちはわかりますが、ご安心下さい!!
ゲームをやり終えると、もう竜騎士さんのこの絵柄じゃなきゃ絶対駄目だアアア!!とまで思えてしまいます。このキャラクター絵だからこそ発揮できる恐怖があるんです。ほら、警察の犯人コラージュ絵も大雑把な方がやたらリアリティが伝わって検挙率が高いって云うじゃないですか。あれと同じです。あの絵には、ほんの一瞬で奈落の底へ突き落とされる恐怖が隠されているのです。

あとは、前半1時間半〜2時間ぐらいまでを、取りあえず耐えてください(はじめの方一寸ダルいんです)。しかし、その先には恐怖と感動と世界がひっくり返る様な未知の展開があなたを待っています。

竜騎士さんの文章が踊って踊って踊りまくる。私たちもその文章に踊らされまくる。

そして衝撃の結末へと祭りは進む。。

このCDは2625円ですが、ゲームは1000円ぐらいでちょっとアレなお店で売ってます。というか、ろむろむはひぐらしの後編を買うために生まれて初めてゲーマーズに行きました。

新しい人生の幕も開くかも!!とにかく買って損は無しよ!!!



<関連>
島みやえい子『ひぐらしのなく頃に』→レビュー

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