2006年10月17日

月の呪縛(カース)/みちゆき<翁鈴佳・引田香織>

『月の呪縛(カース)/みちゆき』翁鈴佳・引田香織
(2005/5/25)フロンティアワークス

『月の呪縛』 歌/翁鈴佳  作詞/梶浦由記   作曲/梶浦由記
『みちゆき』 歌/引田香織 作詞/梶浦由記   作曲/梶浦由記

アニメ『LOVELESS』のOP・ED主題歌。OPとEDが一枚に収まっているという、仏のようにありがたいCD。両方ともSee-Sowの梶浦由記さんが作詞・作曲をしています。

CDジャケットは、ドSっぽい美青年が、猫耳付きのいたいけな少年の首に鎖を巻いて喜んでいるみたいな感じですが、LOVELESSの内容的には、むしろ美青年の方が精神的ドMです。いや、時と場合によってコロコロ逆転しまくるので一概には言い切れないのですが(何。

OP『月の呪縛』は疾走感と、追い立てられるような焦燥感に彩られており、翁鈴佳さんのややクセのある、それでいて切なげな声が胸に迫ります。翁鈴佳さんは、九州で活動しているシンガーソングライターらしいですね。

『月の呪縛』は『LOVELESS』を知る人が見れば、にやーりとできるようなキーワードが満載で、これだけでアニメ主題歌としての合格点を軽く飛び越えていると思います。

『月』→『ななつの月』
『言葉』→『スペルによる戦闘』
『傷』→『立夏』
『痛み』→『立夏であり草灯でありLOVELESSの世界そのもの』


少し歌詞を眺めただけでも、ありありとLOVELESSの世界が浮かび上がってくるようです。しかもそれが、全然ワザとらしく聞こえないのは、梶浦さんならの手腕が見事に冴え渡っているからなのでしょう。

ED『みちゆき』は、OPとは対照的で、寂しさと漠然とした孤独を表しているかのようです。引田香織さんの澄んだ声がこれまたいいのですよ。なんだか優しく諭されている子供の気分になれます。

OPが、ああこれはきっと『草灯と立夏』の歌なんだろうなあ、と漠然と感じるのに対して、EDはLOVELESSの登場人物たち、もっと言えばスペルで結ばれた『戦闘機』と『サクリファイス』の歌なんじゃないかと感じました。『江夜と倭』『瑤二と奈津生』などを思い浮かべるのも良し。『清明と・・・』は、なんか違うような気もしますが。*ちなみに私は江夜と倭が滅茶苦茶好きです。

生きていくためには、お互いの存在が絶対的に必要不可欠で、そのことを嫌というぐらい理解している二人なのに、どうしようもない“何か”によってバラバラにされるかもしれないという不安をいつも抱いている。。LOVELESSには、こうした性質を持ったキャラクターが多いのですが、それを踏まえた上で考えると、このEDは彼らの不安定な心を写す鏡のようにも見えます。

OP・ED共に、噛めば噛むほどに味の出る、良質のアニメソングだと思います。

*アニメのオープニング映像も、繊細でアーティスティックで、かと思えば鮮烈なイメージも入っていてりして、これまた一見の価値アリです。ろむろむとしましては、清明と立夏が線から描き出される部分と、サビ(鉄塔?のシーン)から最後までのくだりがお気に入りです。





この記事へのトラックバックURL