2008年05月25日

『WHEEL OF FORTUNE (運命の輪)』<島みやえい子>

『WHEEL OF FORTUNE (運命の輪)』(2008/4/16) ジェネオン

作詞:島みやえい子 作・編曲:高瀬一矢
歌:島みやえい子

劇場(実写)版『ひぐらしのなく頃に』テーマソング。

原作は、竜騎士07先生による、八つ墓村&カリガリ博士的SF猟奇サイコサスペンス系青春友情推理同人ゲームです。カルトな人気が全国区に広がり、遂には劇場版公開と相成りました。

映画?ええ勿論鑑賞済みですYO!!あんま巷で感想とか目にしないんですけど、みんな見てんのかな??

劇場版は、すべての始まりである、シリーズ第一作目“鬼隠し編”がベースとなって作られています。

原作のサウンドノベルから生まれ、漫画版・小説版・アニメ版・ゲーム版などで、色んな人が色んなアレンジをしながら描いてきた、この“鬼隠し編”ですが、生身の人間がその“恐怖”をいかに表現するのか・・・という部分に、非常に興味がありました。のどかで平和な日常が徐々に狂い始める瞬間、謎の民間信仰、村の禁忌オヤシロ様・・・。原作1話で背すじをゾクゾクッと這い上がったあの恐怖の奇跡をもう一度!!レッツゴー難波パークスシネマ!!

☆結果→→→お は ぎ は さ い こ う 【完】




ということで、アニメ2作の主題歌でおなじみ'veの島みやえい子先生が、今回の劇場版主題歌&テーマソングを担当されています。

島みやさんは、ひぐらしの世界観など(ヲチ含む)は、ほぼ完璧に把握されている方だと思います。アニメ版主題歌の『ひぐらしのなく頃に』『奈落の花』の歌詞を見ても、それは明らかでしょう。

『ひぐらしの〜』のときは“ひぐらし出題編”、『奈落の花』のときは“ひぐらし解答編”のお話をにした歌詞作りをされていたように感じましたが、今回の『WHEEL OF FORTUNE』では、出題編と解答編、両方の要素混じりこんでいるように思いました。

というのは、ひぐらし〜のすべての結末を知っていないと出てこないような歌詞が、ポンポン飛び出してくるからでございます。

題名の『WHEEL OF FORTUNE (運命の輪)』からしてそのまんまですよね。サビの歌詞“何度あがいて逆らっても 誰も 逃れられない運命の輪は ひぐらしがなく頃 回りだすよ”なんかは、原作を知っている人ならニヤニヤできることうけあいだと思います。はぬー!!はぬー(待!!

でも、ラストの歌詞“今度こそ 明けない夜を切り裂いて”だけは、個人的に蛇足だったんじゃないかと思います。いやー、ひぐらし全体のテーマソングとして歌うならまったくもって正しい歌詞なんですが、“鬼隠し編”のテーマソングとしては、最後まで絶望を貫いて欲しかったな〜・・・なんて。

とはいえ、島みやさんもこのフレーズに関して『かなり絶望的に作りました。でも、最後のフレーズでちょっと救っている部分があるんですよ。じゃないと、あんまりだなという感じだったので』とおっしゃっていますので、すべてを残酷に締めくくるのは島みやさん自身忍びなかったのかな?という感じもします。

楽曲自体の印象は、前2作とはまた少し異なっています。よく見れば、作曲者さんが、中沢氏から高瀬氏に変わっておりますね。

地の底を這うようにうねる曲調に対し、淡々としながらも、どこまでも遠くに抜けていくような島みやさんの表現力爆発な歌声が、“ひぐらし”世界のスケールの大きさを醸し出しているようです。曲全体を流れる真冬の朝のように冷たい、ひんやりとした空気感が何とも言えず心地よいです。

また、今回も1作目同様、歌詞の中に童謡ワードが捻じ込まれているのがポイントですね!“とおりゃんせ”もそうですが“ねんねんころりよ”まで入れてくるとは、さすがのセンスだと思います。

つか“坊やよい子だ ねんねんころりよ 断末魔も 夢の中”とか、マジで怖すぎるんすけどオオオ!!!

ホント、SUGEEEE発想力でございますね・・・。島みやさん自身は『そこで怖さを出すためには、怖い言葉を入れるよりも何かこう甘美なものを入れたり、綺麗なものを入れたほうが怖かったりするじゃないですか』とおっしゃっておりました。美しいものに感じる恐怖・・・。夢野久作的な世界でしょうかね。上手く言葉に出来ませんが、その感覚はすごくよくわかる気がします。

2、ディオラマ

ひぐらしの世界とは関係ないものを・・・という指示のもとで作られたという曲。劇場版ではエンドロールで流れていました。劇場版を見る前に聞いていたときは、エンディングにしてはちょっと地味かなあ〜とか思っていたんですが、見た後ではまた感想が変わりましたね。

癒し・・・とは違うんですけど、一度浮き上がった世界をまた静かに水の底に沈めていくような、それでいて私達を現実にゆっくりと引き戻していくような、非常によくできたエンディングソングだったのだなぁと感じました。

ジオラマ。箱庭の中の閉じられた世界。箱庭の中の世界にいるのは、私でしょうか、それともあなたでしょうか?




<拍手お返事>
>5月18日×1 ありがとうございます!
>5月20日×1 ありがとうございま〜す!!
  

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2007年12月24日

『奈落の花』<島みやえい子>

『奈落の花』(2007/8/22)フロンティアワークス
作詞:島みやえい子 作曲:中沢伴行
歌:島みやえい子

アニメ『ひぐらしのなく頃に 解』OP主題歌。先日アニメ二期も無事完結したということで、改めてレビューしてみたいと思います。

『奈落の花』は、Aメロサビのみで構成されている割とシンプルな曲です。それだけに、優しく諭されるように、でも少し不気味に進行する静かなAメロから、強く何かを追い求めるような熱さを持った怒涛のサビへシフトする瞬間などは、非常にメリハリが効いていて聞き応えがあります。

しかし、曲の要所要所に入る独特のアレンジや効果音(ノイズ)ちょっとやりすぎな気がしなくもないです。。ここを一番強調したいのだ!!という製作者の気概は感じられますが、ちょっと自己主張が強すぎる気が致しました。

前作同様、間奏などで聴こえる“何を歌っているのかさっぱり不明なコーラス”(例*イィーエーガナィヤイヤイ・・・みたいなアレ)は、よく分からないフレーズを適当に入れてそのまま歌った・・・らしいですね。とはいえ(さほど意味はなくとも)この変なコーラスによって、どことなくザラッとした異質な雰囲気が曲中に生まれたのもまた事実でしょう。

さて、前作『ひぐらしのなく頃に』は得体の知れない“恐怖”を美しく冷酷に謳ったものでありましたが、本作『奈落の花』は、恐怖からのエクソダス&レッツゴー輪廻打破を目指す雛見沢キャラ全員に向けた応援歌のように感じました。

島みやさんもインタビューで、
『この歌では、奈落に咲く花に向かって向こう側の世界から叫んでるのが私なんです』
『思い切ってサビの部分で「こっちにおいで、そっちじゃないよ」という叫びが感じられるイメージで書いたんです』

と述べています。

ぽっかりと大きく口を空けた真っ暗な奈落に向かって花を咲かせ、花を散らす間際になってそこが奈落であると気付き、次こそは地の上で天に向かって花を咲かせたいと願う儚い草花。それは梨花ちゃんであり、羽入であり、詩音であり圭一でありレナであり、雛見沢に囚われたすべての人間でありました。

彼らは、次こそは必ず・・・と願いをかけながらも、また同じ奈落に向かって種を落とし、同じように芽を出すということを繰り返してきました。しかし、何度も失敗を重ねていく中でも決してあきらめない二度と奈落に落ちたくないというすべての人の強い意思が、最後にはその奈落の連鎖断ち切り、本当に相応しい場所で美しい花を咲かせることに成功するのです。

花や種に例えましたが、これは“ひぐらしのなく頃に解”のすべてだと思います。

己の背負う『カルマ=業』を認め、それらを背負って生きていく覚悟を持った上で、その先の陽の差す未来へ飛び出していくこと。鬼隠し編から祭囃し編までに至る、すべてのキャラとすべてのストーリーをひっくるめて、その底に流れる一つの“想い”を、島みやさんなりの解釈で練り上げ、表現したものがこの『奈落の花』という作品なのだと思います。

2、FLOW

島みやさんの曲の中でも、かなり軽快明るい部類に入る曲ではないでしょうか?ポップな曲調ながら、柔らかな風のような、心地よい暖かさに包まれた作品だと思います。夢の世界でフワフワ飛んでいくような爽快な感じが致します。前作のc/wが、喪失の悲しみを歌っていたことを踏まえて、島みやさん的には『ちょっと希望を入れたかった』らしいですね。その目論見は大成功していると思います。


で、アニメ第二期でしたが、なんでしょうか・・・この微妙に薄っぺろりんな感じは・・・。第一期も最後らへん惰性で見ていたろむろむでしたが、二期もちょっと苦しい視聴でした。最も興味を持って見れたのは、厄醒し編等、オリジナル展開した部分だったかなと思います。

とはいえ先日、アニメ第三期&映画化が決定したということで、相変わらずメディアミックス大爆発の快進撃に変わりは無い模様です。

しかし映画の監督が『富江』の監督とか、あんだけ面白くない怖くないホラー作った人が和風ホラー作るとか、しかもひぐらしに興味なさそうとか、富江で覚えてるのは菅野美穂と主人公の女のkissシーンだけとか、しかし菅野美穂ならレナの完璧な演技が可能な気がする(待て)とか、色んな妄想がろむろむの脳内を駆け巡ったりしたんですけど、ま、楽しみに待ちたいと思います。



<拍手お返事>
>12月20日×2 勉強になります・・・の方
ありがとうございます!!勉強になるとか、あああ勿体無い勿体無いお言葉!!私もまだまだ勉強不足の感は否めませんが、これからも頑張りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします!
>12月21日×1
ありがとうございます!
>12月22日×1
ありがとうございます!


<ひぐらし関連レビュー>
*ひぐらしのなく頃に(島みやえい子)
*かけらむすび(片霧烈火、他)
*嘆きノ森(彩音)
*Thanks / you(M.Graveyard(*dai))
*対象a(anNina)  
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2007年08月22日

『対象a』<anNina>

『対象a』(2007/8/22) フロンティアワークス
作詞:interface 作編曲:inazawa
歌:anNina

アニメ『ひぐらしのなく頃に解』ED主題歌。題名の読み方は『タイショウ・アー』。anNinaは、inazawaさんとAnnabelさんの二人組みユニット。Ann(abel)+ina(zawa)が由来らしいです。

“あなたの亡骸(なきがら)に土をかける それが禁じられていたとしても”歌い出しの歌詞がコレです。しょっぱなから、強烈なインパクトで飛ばしてきますねえ。。歌詞は総じて純文学風で、耽美な犯罪小説を読んでいるような錯覚を覚えます。

また、ボーカル・Annabelさんの淡々とした歌声は、蝋燭の炎のように時折不安定に揺らめいて、独特の妖しさを放っております。無表情な声に紡がれる曲の向こうには、果てしない暗闇が拡がっているようで、聴けば聴くほどに、胸の辺りがザワザワと騒ぎ出します。

に対する焦がれや、美しい“終わり”に対する憧れ・・・というのは、ちょっと内向きに物を考える人ならば、誰でも一度くらいは持つものではないでしょうか。思春期の頃はよく感じていた、自分の中の残酷で暗い部分を、再び呼び起こされるような、そんな歌だと思います。

anNinaインタビューを読むと、『ひぐらしのなく頃に』の世界観を壊さないように、少しでも物語とシンクロするように、大変苦心されて歌作りをされたことが、伺えます。

・ひぐらし第一期ED主題歌『why,or why not』の雰囲気を意識したこと
・曲を構成する3/4拍子は、輪廻転生のイメージであること
・ボーカル(作曲者も?)は、原作を全プレイ済みであること


などなど。。かなり気合が入っています。ひぐらしワールドにどっぷりと浸かり込み、客観性よりも主体性に重きを置いて、この楽曲を作り上げたのでしょう。

“ひぐらし”らしさは、2番目の歌詞の方がより強く感じられると思います。私は、2番歌詞=梨花ちゃんの心情をイメージしたのではないかなと感じました。罪と罰が何故あるのか・・・、その問いに梨花ちゃんが、すべてを振り返りながら答えているようです。

1番目の歌詞は抽象的で何が何だか??という方でも、2番まで聞けば、『対象a』が示すひぐらしワールドというものを、すんなりと理解することができると思います。



ちなみに、題名の『対象a』は精神分析家ラカンが唱えた概念の一つで、“欲望の対象”という意味があります。この曲自体も、ラカンネタが満載の模様。“あなたの亡骸に土を・・・”の歌詞も、ギリシア神話のアンティゴネーのエピソードから引用しているみたいですしね(*アンディゴネーの話はラカンも引用)。

*アンティゴネー→ギリシア神話に登場。オイディプス王の娘。反逆者として埋葬を禁じられ、野ざらしにされていた兄の死体に堂々と土をかけ、仮の葬儀を行う。その後、王命を破った狂女として王に極刑を言い渡され、自らの命を絶つ。

現実の世界(社会)には、ルール(法)というものがありますけど、それは絶対的に正しいものではありません。あくまでも、その時代・その社会・そのコミュニティの中で、上手く生きていくために、みんなが共有しなければならないものというだけのことです。しかし、そのルールとは別の、自分だけの(自分の信じる)ルールで行動しようとするとき、それは現実のルールから見れば“罪”であることがあり、“罰”せられることがあるのです。罪とは何か。罰とは何か。アンディゴネーのエピソードは、それを痛切に突きつけます。



考えてみるとこれは、物語に隠された様々なルール見破るゲームである(?)『ひぐらしのなく頃に』にピッタリなお話であるかもしれませんね。

あと、ラカンは昔ちょっと勉強したんですけど、当時でさえチンプンカンプンだったので、あまり大きなことは言えません。。なんか間違ってる予感も(死。

2、ロートシルト Rh-
作詞:interface 作編曲:inazawa

割と普通の大人しい曲だと思いますが、不気味な編曲っぷりがミョーに不安を煽ります。対象aの雰囲気と似た感じなので、CDとしての統一感もありますね。
歌詞は救いようのない暗さに溢れていますが、反面Annabelさんの歌声には柔らかな明るさがあって、そのギャップが、ちょっと不可思議で面白く感じました。





*拍手お返事*
・8月15日の拍手×1の方、ありがとうございます!
・8月16日の拍手×10の方、ありがとうございますです!
・8月20日の拍手×1の方、ありがとうございます!
みなさまのお陰で、なんとか今でも続けられてます。これからもよろしくお願いします!


<ひぐらし関連レビュー>
*ひぐらしのなく頃に(島みやえい子)
*かけらむすび(片霧烈火、他)
*嘆きノ森(彩音)
*Thanks / you(M.Graveyard(*dai))  
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2007年07月27日

『Thanks / you』<M.Graveyard>

『Thanks / you』 M.Graveyard(dai)

パソコンゲーム『ひぐらしのなく頃に 解』で、BGMなどを提供されたdaiさんによる個人(同人)CD。ひぐらし解収録曲7曲+オリジナル13曲で構成されています。ある意味公式CD。

パソコン版『ひぐらしのなく頃に』の、同人CDのレビューって、何ですかそれ?という方も大勢いると思いますが、たまにはこう、趣味に突っ走りたい瞬間もあるのですよ。需要は、私にさえあればよいのです(何。ということで、ネタばれをギリギリ押しとどめたレビューになりますので、未プレイの方はご注意ください。

1、Thanks

『目明し編』のオープニング主題歌。ふわりとした穏やかな優しさに包まれた曲。落ち着きのある、静かな作品ですが、曲調は一貫して明るいです。

『この先の未来にどんな素敵な出来事が待っているのか?』
宿舎を抜け出した詩音が膨らむ期待と若干の不安を抱えながら、興宮に向かう車の中で眠りに落ちる・・・という最初のシーンには、ピッタリの選曲でございますねえ。

“淡い夢”から始まり、“醒めない夢”で終わる『目明し編』という物語、すべてを象徴するような主題歌であると思います。

“Thanks”がなければ、confessionもyouも生まれなかったということで、この曲はひぐらしの音楽史(?)においては重要な意味を持つ一曲なのではないでしょうか。


2、Iru

例えば、親しい誰かとなんでもない会話を楽しむ瞬間とか、密かに好感を持ってる人とさりげなく過ごす時間とか・・・そんな何気ない日常の中にある、どこか心地よさのある“空気”をじんわりと味わわせてくれる曲です。

3、陰

一人ぼっちの寂しさ・・・それに似たものを感じさせる曲です。
信頼できる相手に、正直な自分の気持ちを伝えたいけれど、それがどうしても上手くできない自分のもどかしさ・・・。そんな何とも言葉に出来ないような、弱弱しさや孤独を表現した曲であるように思いました。

4、Soul scour

某キャラが事件の真相に一歩近づいたシーンにて使用(祭囃子編)。
某キャラが事件の真相から思いっきり遠のいたシーンにて使用(目明し編)。
某キャラが事件の真相から何億光年も遠のいたシーンにて使用(罪滅し編)。
鋭さと緊迫感が同居した一曲です。

5、you (M.Box風)

TIPSを参照する時に流れるyouのアレンジ版。鉄琴を叩くような冷たく固い音色に、初期は特にビビらされました。

6、Confession

詩音の見た、現実の終わり夢の続き
ラストのモノローグにて流れるこの曲に、魂を持っていかれた犠牲者は大量に存在すると思われます。1分19秒辺りから、徐々に“you"の曲に変化していくところとか上手すぎて死ねますね。

あと『目明し編』で最激痛シーン(2度目)の最後にもこの曲が流れてました。恐怖に屈せぬ強さを持ち続けた“彼女”と、その強さの前に敗れ去った“彼女”の対比を思い浮かべながら、この曲を聞くと、また味わいもひとしお違います。

強くあり、哀しくあり、脆くある。振り子のように不安定に揺れ動いては、簡単に誰かを傷つけ、同じように簡単に傷ついてしまう。そんな人の“心”の、うつろいゆくあり様が、Confessionという曲の向こう側には存在しているように思います。


7、you

『目明し編』エンディング主題歌。Confession→youという、この凶悪な流れに魂を持って(以下略。しかし、“you”の万能曲ぶりには、改めて感嘆いたします。

“you”は余計な飾りをすべてそぎ落とし、その旋律のみをもって、ひぐらしの大きな世界観を表現しようとした曲であるように思います。

そのような、いわばすっぴん状態に近いシンプルな曲であるからこそ、聴き手(ゲームのプレイヤー)は、ゲームを通して抱いた、物語やキャラに対する様々な感情を、“you"という作品に思うように投影することが出来るのではないでしょうか。

そしてまた、素顔が美しければ美しいほど、さらに素敵な化粧施したくなるのも世の必定ってものであります。

youは、作者であるdaiさん自身が、アレンジを加えたバージョンも存在していますが、それ以上に多くのファンの手によって、色々な姿に変身させられている作品でもあります。daiさん自身が悪意のないアレンジならOKと明言しているからという理由もありますが、こうしたアレンジVerの隆盛は原曲(の魔力)魅せられた人がたくさんいるということの証でございましょう。

歌詞カードの、daiさんによる楽曲解説によると、このyouは『「切なさと優しさ、希望と絶望、強さと弱さ」湧き上がる情感すべてをたたきつけた』作品らしいです。

“あなた”に贈るのは“感謝”なのか、それとも“赦し”なのか。daiさんが込めた渾身の想いと共に、じっくりと耳を傾けてみて下さい☆

8、空夢

月明かりに照らされた屋上での決着シーンが、記憶をよぎります。人が背負う罪、償いと後悔の気持ち。それらをすべてひっくるめて、優しく包み込むような一曲です。

9、そらのむこう

『祭囃子編』のEDロールでは、この“そらのむこう”がボーカルつきで歌われていました。緩やかに空を流れる雲のようなのんびりとした、それでいて温かみのある楽曲には、部活に興じる彼等の楽しそうな日常場面を思い起こさせます。今まで傍観者の側にいた“彼女”が、仲間達に本当の意味で受け入れられるシーンでも効果的に使用されていました。

10、競争

おもちゃ売り場とかで流れてそうな能天気曲。こういうのを聞くと、脊髄反射で沙都子を思い出してしまいますね。

11、月影 (arrange)

純和風な風雅さを感じさせます。

12、夢想

静かに盛り上がり、静かに終わる、線香花火のような曲。

13、夢想(arrange)

daiさんのアレンジ力の凄まじさを肌で感じられる一曲。12曲目の“夢想”を地味な普通の曲だなあとか思ったりしたら、このアレンジverで度肝抜かれること受け合いなのですよ。にぱー☆

いやしかし、歌詞カードでdaiさんが、「アレンジはどちらかというと苦手・・・」ということを匂わせていたので、とても信じられない!!って感じです。このdaiさんらしい、ドラマチックさがたまりません。

14、feel

1分14秒あたりから“Birth and Death”の曲に接続。本編でも使われていましたが、あまり印象には残ってなかったり。。

15、月影

純和風な(略。アレンジVerよりも、祭りっぽいギミックというか、効果音が多用されています。祭囃子編をイメージしたのかな?とか妄想。

16、久遠

まどろみの世界に引き込まれる様な・・・。

17、Birth and Death

もう、ひぐらし解のレナと云ったら、イコールこの曲って感じが致します。レナ手ばなしで慟哭するシーンでこの曲とかマジでヤバ過ぎでしたよ!!

あと圭一がずっと忘れていたことを『思い出し』『悔いる』あのシーンでも使われていましたが、もうこっちは、文章の上手さもあって涙腺爆発かっつーぐらいの破壊力で御座いました。

あと皆殺し編のラストとかも凄まじくキマってましたね。

『生と死』という、ひぐらしの核心に迫るテーマが、この曲には詰めこめられていると思います。40秒〜盛り上げ方とか、もう、感情を揺さぶられまくり。ろむろむ的には、youに次ぐ、深ーく思い入れのある作品です。


18、想い

爽やかな風に頬を撫でられるような、大らかな優しさをたたえた曲です。1分29秒から、youの旋律が徐々に入ってきます。

19、you(vocal)

youのアレンジ+ボーカル版。ボーカルは、癒月(ゆづき)さんという方です。自身が作詞もされたということで、癒月さんの詩音への思い入れが結晶化した作品であると云えるでしょう。

癒月さんの場合はyouを、詩音のテーマソングだと解釈したのでしょうね。(*つーか、一般的にはyou=詩音な風潮なのかしらん?)詞を聞くと、言葉の一つ一つに詩音の気持ちが丁寧に刻まれているのがよく伝わりました。

音の綺麗さで云えば、やはりかけらむすび収録の『you-Visionen im Spiegel』が文句なしに上だと思いますが、この若干音が篭った、ソボクな感じも捨てがたい(?)ですね。

私は、『you』=『詩音の曲』だという認識は今でもそんなにありません。どっちかというと、ひぐらしキャラみんなを表した曲なんじゃないかと、今でも思っていたり。・・・あんまり詩音好きじゃないせいかなぁ(えー。

20、想い(vocal)

こちらも癒月さんのボーカル付きverでございます。“想い”の詞では、『you』=『ひぐらしキャラの曲』という感じが致しますね。

ようやく辿りついた、最後の場所。光に満ち溢れた世界への感謝、すべての人たちへの感謝をこめて、最後に『ありがとう』という言葉を入れているのが素敵です。

21〔data Track〕

*サンプル試聴『Thanks / you』→ココ(daiさん公式HPより)



<ひぐらし関連レビュー>
*ひぐらしのなく頃に(島みやえい子)
*かけらむすび(片霧烈火、他)
*嘆きノ森(彩音)
*対象a(anNina)  
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2007年05月19日

『嘆きノ森』<彩音>

『嘆きノ森』 (2007/2/22) ジェネオン・エンタテイメント
作詞・作曲:志倉千代丸
歌:彩音

プレイステーション2版『ひぐらしのなく頃に〜祭〜』OP主題歌。

氷のような冷ややかさを感じさせる声が、繊細で危うげなメロディと絡まり合い、何とも言いようのない不安感を煽ります。薄暗い森の中で道を失い、ひとりぼっちで彷徨い歩くような心細さ。聴けば聴くほど、深い暗闇にゆらゆらと落とされていくような錯覚を覚える歌ですが、それでいて妙に耳障りが良く、何度も何度も聞き返してしまいます。さすが『ひぐらしのなく頃に』の血脈を受け継ぐ曲だけあって“怖気(おぞけ)をふるう美しさ”の表現には力がこめられていますね。

またこの作品は、以前に島みやえいこさんが歌ったアニメ版主題歌を、良い意味で意識して作った作品であるようにも感じられました。島みやえい子さんの歌った『ひぐらしのなく頃に』(レビュー)において、私はこの楽曲と歌詞の世界を『異界』『異界+現実』『現実』の3つに分けることができると、考察しました。それと全く同じことが、この『嘆きノ森』にも云えるのではないかと思ったわけです。

<嘆きの森.Ver>
^朿Βオープニング〜1:03
現実→1:04〜1:18
0朿Α現実=狂気→1:19〜2:05(サビ)

くぐもった声が突如クリアに聴こえる部分や、重なり合うコーラスによるミステリアスな雰囲気など、何気なく聴いた感じでも微妙に通じている部分があるような気がしませんか?双方とも、“こっちの世界”“あっちの世界”を行き来するような狂気的イメージ(*ひぐらしイメージ)を持つ楽曲ですから、そうしたものが呼び合ってるのかもしれませんね。

歌詞も和製ホラーっぽさが滲み出ていて実にいいです。特に、日本人の心性の奥をくすぐる様なキーワードに注目です。

昔話や民間伝承を読むとよく書かれていることですけど、日本人は昔から“山”を畏れ、山には神様が住むと考えてきました。神様は普段は山に住んでいて、お祭りの日だけ山から降りてきて人々と交じり合い、お祭りが終わるとまた山に帰っていく・・・。山に囲まれた村落などでは、こうした風習や信仰が長く続けられていると聞きます。

神様と人間が楽しく交歓出来る、唯一の非日常空間『祭』です。祭りの日は多少の羽目を外しても、酒に酔って酩酊しても、踊り狂ったとしても、何にも問題はありません。ですが、祭り以外の日にそんな奇異な行動を取ると、それは狂気の沙汰として受け取られてしまいます。

そして結局、“祭りの日”から逃げられなくなった狂人は、共同体の空間で生きていくことが困難になり、物の怪の類に取り付かれた人として周りに受け入れてもらうか、神様を追って山へ入るしか道がなくなってしまうのです。

こうした日本古来の風習と重ねて、『嘆きノ森』の歌詞を見てみましょう。

・ひぐらしのなく深い(嘆きの)森とは、神の住む山=非日常の異界
英字の部分は、その異界から二度と(日常に)戻れないという意味か。
・子供が消える=“神隠し”も、山と関わる逸話が多い。
・詞の所々に出てくる『祭』は、ゲームの副題ともかけていると思われるが、非日常世界への誘いとも考えられる。
・祭りの後で消える炎→祭りの後で現実世界に戻れなかった『誰か』のこと。もしくは、その誰かの命の炎

もちろん志倉さんが勢いで書いただけの歌詞という可能性も捨て切れませんが、ま、それはそれとして。歌詞の面から、新しいひぐらし世界を探求してみるのも、面白いんじゃないでしょうか!?

2、『コンプレックス・イマージュ』

『ひぐらしのなく頃に』澪尽くし編OP主題歌。

『嘆きの森』のテイストとは正反対のハードで、力強さに満ち溢れたナンバー。歌詞の一つに“オヤシロ様に最後の祈りを捧げ、光の向こうへ赴く”みたいなことを書いている部分があるんですけど、ここにノックアウト。あえて意識して入れたとは思いますが、素晴らしくナイス歌詞。

全ての力を合わせ、全ての迷いを断ち切り、大切なものを守る為に最後の戦いに赴く部活メンバーの為にあるような歌ですね!!オールフォーワンワンフォーオール!!!みんなはひとりのためにひとりはみんなのために(落ち着け!!すんません。なんかこの曲聴いてると、すごくテンション上がりますんで。ホントに。

結局私はパソコン版しかゲームやってないんで『澪尽くし編』がどーゆー話なのかわからないんですけど、祭り囃子編に近いものと思っていいんでしょうかね?とりあえず、私の中で『コンプレックスイマージュ』は祭り囃子編主題歌ぐらいの勢いになってます。ああー、また上がってきたあああ!!!


ところで、この曲を歌っている彩音さんって何者なのでしょうか?
これまではメモオフ作品やプレステゲーム作品の主題歌などを担当されていて、最近ではファーストアルバムも発売されていましたけど、あまり詳しい情報は見かけませんねぇ。『嘆きノ森』のCD表紙はちょっとギャル系のお姉さん(?)って感じがしますけど、他の写真とかを見ると、案外普通の可愛らしい女の子っぽいです。ブログもほんと普通でした。

これからの活躍に期待です!



『ひぐらしのなく頃に〜祭〜』OP<嘆きの森>

*普通のOP映像なのに何もかもがネタばれに見えるミステリー注意



<拍手レス>
・『5月8日に拍手させて・・・』
こんばんは!!いえいえ、もう拍手をいただいた上に、暖かいコメントまでいただけるなんて、本当に感謝感謝でございます!!お褒めの言葉、ありがたく受け取らせていただきます。私の頬もむっちゃ緩みまくってますYO!!こんな謎サイトですが、ちょっとでも楽しんでいただけたら、これ以上嬉しいことは御座いません(^▽^)。トロい更新ですが、これからもよろしくお願い致します☆


<ひぐらし関連レビュー>
*ひぐらしのなく頃に(島みやえい子)
*かけらむすび(片霧烈火、他)
*Thanks / you(M.Graveyard(*dai))
*対象a(anNina)  
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2007年04月24日

『ひぐらしのなく頃に』/『all alone』<島みやえい子>

『ひぐらしのなく頃に』 (2006/5/24) フロンティアワークス
作詞:島みやえい子 作曲:中澤伴行 編曲:中澤伴行&高瀬一矢
歌:島みやえい子

胸のあたりがザワザワして、首筋にゾワッと来るあの感じ。怖い話の本を夜中に読んで、マジでトイレやお風呂に行けなくなっちゃうようなあの感じ。“得体の知れない何か”への、説明不可能な“恐怖”を、ここまで見事な音楽に仕上げてしまった作品が、かつて存在したでしょうか?

個人的には、『世にも奇妙な物語』の主題歌以来の心理的恐怖煽りソングだと思う本作は、I'VE所属アーティスト・島みやえい子さん による、アニメ『ひぐらしのなく頃に』のOP主題歌であります。

美しくも、どこか酷薄な冷たさを感じさせるメロディに、何かが乗り移ってるとしか思えないような島みやさんの妖しげな歌唱がジワジワと染み込みまくってます。島みやさんは、かなり手堅い歌唱力をお持ちの方なので、その表現力の見事さは云うまでもないですね。(*2曲目の『all alone』は、その島みやさんの表現力を『ひぐらし〜』以上に強く感じられる一品かと思います)

では、今回はちょっと気合を入れて、この『ひぐらしのなく頃に』という曲を追求・考察してみたいと思います。

『ひぐらしのなく頃に』という曲の、楽曲&歌詞世界は、大きく3つの世界に分けることが出来ると思います。一つは、異界(ハレ)、一つは、現実・日常(ケ)、そしてもう一つは、異界と現実の混合(狂気)です。この3つの世界の繰り返しによって、この歌の世界は成り立っているような気がします。では、1番目の歌詞を中心に、その世界を覗いてみましょう。

 攬朿Α曄礇ープニング〜53秒迄>
今まで確かなものと思っていた現実の枠が、徐々に“何か”によって侵食され、異質のものへ変化していく感覚。幾重にも幾重にも重なったコーラスと声が、夢の中をゆらゆらと彷徨うような感じを醸し出しています。

◆攜充臓曄磽毅管叩腺永13秒>
突然、歌声がクリアに聞こえ出します。それはまるで、曖昧な夢からグイッと現実に引き戻されるかのようです。しかし、もしかするとその現実は、悪夢よりも残酷で恐ろしいものかもしれません。夢の中『雨だれ』に見えていたものは、現実では『血のしずく』なのかもしれないのですから。

【異界&現実】<1分14秒〜34秒(サビ)>
再び、声は多層に重なってゆき、私たちは、あやふやな境界の世界に落とされていきます。日常の世界にいるはずなのに、身体の何処かが異界に引きずられている・・・そんな風に思ってしまったが最後、私たちはその時点ですでに、“狂気”の世界へ一歩、足を踏み入れているのであります。

*『ひぐらしのなく頃に』という歌の構成
^朿Β現実→0朿Α現実→^朿Β現実→?→狂気


“異界”と“現実”を幾度となく行き来するうちに、いつしか狂気の世界から逃げ出せなくなってしまう・・・ということを、もしかしたらこの曲は暗に意味しているのかしら・・・とか思ってみたり。穿った見方ということは百も承知ですが、『ひぐらし〜』という物語世界と照らし合わせてみると、結構ピッタリ来る部分もあるんじゃないでしょうか?

また、幼い頃、何度となく耳にしたお遊戯曲童謡などの一部が、歌詞中に組み込まれていることにも注目です。

“かごめかごめ”の童謡より『後ろの正面、誰?
お遊戯、“目隠し鬼”の決まり文句より『鬼さんこちら、手の鳴るほうへ
お遊戯を呼びかける台詞より『○○する人、この指とまれ

“かごめかごめ”は、日本の農村に伝わる間引きの歌だ・・・とか、神を呼ぶ儀式の歌だとか・・・、女郎の歌だ・・とか、現代においても様々な憶測を呼ぶ、ナイスな不気味ソングですが、この童謡のラストフレーズをあえて歌詞に入れてくる所など、作詞者(島みやさん)は、かなりイイ所を狙ってきていると思います。。

ちなみに、この曲を逆回転をすると、曲の間奏で盛んに流れる不気味なコーラス『ハンニャラハレヒー(歌詞不明)』が、『逃げられない』と云っているみたいに聴こえるらしいです。別の部分は『愛してる』『殺してやる』に聴こえるとかいう噂も・・・。

逆回転でメッセージ!?というのは、ビートルズの楽曲における『ポール死亡説』みたいなもんで、真偽の程はともかくとして、こうした細部にまで何か、ひぐらしの“かけら”が落ちているんじゃないかとみんなに思わせるだけの求心力を、この作品が持っているということの表れなんじゃないかと思ったりしますね。

2、『all alone』
作詞:島みやえい子 作・編曲:高瀬一矢

これ、なにげにすっごい良曲なんですけど、ど、どうしたらいいでしょう(何。いやー、あれだけの恐怖ソングの後だから、これ以上どんな恐ろしい曲がやってくるのかしら・・・と怯えていたんですけど、そんな心配、微塵も必要ありませんでした。というか、実は表題歌よりこっちのほうがお気に入り曲だったり。。

歌詞は、二度と戻らない恋人との日々を、どこか突き放したように見つめつつ、振り切ることができない『わたし』の独白で綴られております。手放しのまま、『あなた』との思い出に身を晒し、『あなた』のいない寂しさを噛み締める空白の時間。。
一人ぼっちの閑散とした部屋の真ん中で、ぼんやりとへたりこんでいる女性の姿をなんとなく想像。・・・はい、萌えました(何。

絶望的な悲しみをどうしたらいいのか自分でもわからないまま、ただ『あなたを失ってしまった』という事実だけで心をいっぱいにしてしまってるような、アタマ真っ白な感じが、曲全体の雰囲気にもかかっていますので、ウジウジ・メソメソ・・・な、感情的な鬱陶しい部分は上手く取り除かれているように思います。

1曲目の恐怖・狂気ワールドを壊すことなく、2曲目に喪失の歌をソッと入れてくる所なんか、製作者の方は空気読んでるな・・・とか、妙な部分で感心もしてしまいました。地味かもしれませんが、ろむろむが自信を持っておススメ出来る素敵な失恋ソングです。



『ひぐらしのなく頃に』という作品について考えたとき、いつも私の頭を駆け巡る一つの問いがあります。それは、『人を殺して掴んだ未来の先に、果たして本当の幸福は存在するのか?』というものです。遥かな昔から、多くの哲学者や宗教家、芸術家がその問いに挑んできましたが、未だそれに対する明確な答えは出てきていません。人類が築いてきた歴史を振り返ってみても、答えはますます遠ざかるばかりです。その中で、『ひぐらし〜』という作品は、その問いかけに対して、鬼隠し編から始まる全ての物語において、終始変わらぬ主張を貫いています。曰く、

『人を殺して掴んだ未来の先に、本当の幸福は存在しない』

それは正解でも不正解でもなく、ただこの長い物語が辿りついたひとつの答え(解)なのだと思います。

ただの殺伐としたホラーな物語。もしもアニメを観てそんな感想を持ってしまった方がいらっしゃいましたら、もうこれは手遅れになるまえに素早くゲームを手にとって頂きたいと思います。そして、ひぐらしの登場人物達が必死の努力の果てに“本当の幸福”を手に入れられるか否か、その運命と結末をその目で確かめて欲しいと切に願います。

*以上は本編準拠の意見です



youtube周辺は、窓やら動画やら題名やら、ネタばれ要素がメガトン多いので、プレイ予定の方はあまり見ないほうがいいですYO。



<関連>
『ひぐらしのなく頃に』イメージアルバム『かけらむすび』→レビュー  
Posted by romrom6656 at 22:12Comments(5)TrackBack(0)clip!

2006年10月25日

かけらむすび<ひぐらしのなく頃にイメージアルバム>

『かけらむすび』(2006/9/27)フロンティアワークス

1. 緑の色のやさしい風
2. my home (歌:霜月はるか)
3. M・A・T・S・U・R・I-Meet Your Match!(歌:風葉)
4. when they cry(歌:片霧烈火)
5. 蝕み
6. hymn(歌:片霧烈火)
7. samsara(歌:茶太)
8. you -Visionen im Spiegel(歌:癒月)
9. 月の夜のつめたい風


同人PCゲーム『ひぐらしのなく頃に』のイメージアルバム。
『ひぐらしのなく頃に解(祭囃し編)』のコマンド?の一つに『かけらむすび』と呼ばれるコマンドがあるので、おそらくはそれに題名を引っ掛けているのだと思います。ちなみにこのCDの企画・構成片霧烈火さんです。

この『かけらむすび』というアルバムは、『ひぐらしのなく頃に』が好きで好きで仕方がない人たちの情熱で出来ているといっても過言ではありません。もう、とにかく、一曲一曲にものすごいひぐらし愛エネルギーが注ぎ込まれているので、登場人物の内面(性格)やゲームの内容が、そのままの調子で歌詞に反映させている作品(曲)が非常に多くなっています。

例えばアニソンなどの歌詞というものは、物語の比喩や暗喩、隠喩などを盛り込んでいく方が、スマートに聞こえますし、そうした方が、逆に物語の主題や内容を際立たせることができるものだと思います。そのことを踏まえた上で聞いてみると、この『かけらむすび』に収録されている曲は、『青さ』『うるささ』を感じさせるような表現が幾分多めに含まれているように感じました。

しかしながら『ひぐらしのなく頃に』が、同人ゲーム発祥という、個人の想いや考え方が最も反映される場所からスタートしたという過程を考えると、こうした直情的なイメージアルバムの存在も、また出るべくして出たものという風にも考えられます。

ろむろむ的に幾つか気になるところもありましたが、『ひぐらしのなく頃に』の一ファンとして聞く分には、全くもって申し分なしの素晴らしいアルバムに仕上がっております。できることなら、ゲーム『ひぐらしのなく頃に』をプレイし終わってから聞くことをオススメ致します。

以下、ゲームの致命的なネタバレに抵触しないよう、細心の注意を払いつつレビューしていきたいです。。あー、人間関係等は、微妙なラインでバレてるかも・・・。そういう部分は、CDを聞いた人だけわかるような書き方にします。

*このレビューはすべて、ひぐらしファンとしてのろむろむの感性にのっとってますので、そこんとこよろしく。


1. 緑の色のやさしい風

『ひぐらし』世界への幕開け。目覚めという感じでしょうか。ゲームで言うほのぼの日常パート。そして、ゲームの展開通り、曲の最後(曲が終わる30秒前ぐらい)は、なにか日常が静かに崩れ去るような予感が・・・。

2. my home

どこからどう聞いても沙都子の曲(むしろ沙都子の一人称)。歌詞中に散りばめられてるキーワードは勿論のこと、「 」で囲われている台詞などを見れば、もはや一目瞭然でしょう。霜月はるかさんが、まるで沙都子と一体化しているかのようです。いやー、この歌を聴いてると、トラップ作りに専念し、みんなと夢中で遊び、圭一にからかわれてムキになって、一人になった途端に寂しそうにしている沙都子が・・・沙都子が目の前に浮かんでブロッコリー(何。



3. M・A・T・S・U・R・I-Meet Your Match!

題名が微妙にダサい気がするんですが、歌はこのCD中でも1、2を争うカッコよさです。『祭囃し編』をプレイする直前とかに聞いたら、かなり高揚感が高まると思います。歌っている方は「風葉」さんという方らしいですが、声は伸びやかで、更にアネさんっぽい余裕と魅力を周囲に撒き散らすような歌いっぷりが鬼ナイス。ただ、演奏があまりにもチープすぎて死にかけました。仕方ないかもですけど。電子音ぴーひょろろーは酷い・・・かも。

4. when they cry

作詞:竜騎士07with片霧烈火 作・編曲:大嶋啓之

これはまた、たまらなく良い曲ですね。
何度も何度も繰り返し聞きました。おそらくは、梨花ちゃんの曲ではないかと。アニメ版のEDを歌っていた片霧烈火さんが担当しています。片霧さんの歌声は、最初すごい可愛らしいのに曲が進むにつれて、段々と、熱く、力強くなってくるんです。最後とか苦しいぐらい必死です。え、これってまんま梨花ちゃんじゃないですか?

というか、作詞は原作者の竜騎士07さんも関わってるじゃないですか。これならむしろ『ひぐらしのなく頃に』裏公式主題歌と考えてもいいかもしれません。そして、ほんとに最後の最後、歌詞のラストで大技をキメてきます。私も信じるよ、いや、信じさせてください!!最後まで!!

・・・・と、ここまで書いといてなんですが、これ書いた後、歌詞カードひっくり返したら片霧さんが『竜宮レナのテーマソングです』っておっしゃってました。プー!!ろむろむの読解力の浅はかさを思い知らされますね。ろむろむもはじめ、梨花ちゃんにしては『これからもひとりでがんばる』っぽい歌詞が合ってないと思ったんですよおおお(苦しい言い訳)。

いつぞやの、レナの台詞『幸せになるには、どこまでの努力が許されるんだろう』。これと同じ意味の言葉がサビにもちゃんと入っていますね(よく聴けば。強くて優しくて、どこか危うい。それでいて、誰よりもひたむきなレナ。彼女に捧げられた歌を、もう一度、静かに噛み締めてみたいと思います。



5. 蝕み

いかにも『ひぐらし』な一本。ひぐらしをプレイした人なら、なーんとなく聞いたことがあるような不気味な音が満載です。作曲者さんの歌詞カード裏コメントがすごく変なんですけど、まあ・・・こういうのもアリですか。。

6. hymn

何だか心が圧迫されるような曲。片霧烈火さん担当。どことなくオドロオドロしいのに、歌声は透き通るようで逆に怖いです。歌詞がエラいことになってる箇所があるんですが、歌の中で聞くとあまり気になりませんでした。

7. samsara

静かに淡々と進む曲。前までの曲が濃すぎる奴らばかりなので、この大人しさには、ちょっとホッとできます。とりあえずひぐらしは遠くの方でガンガン鳴いてます。ヤケクソ気味になってる梨花ちゃんの心象風景っぽい歌詞です。

8. you -Visionen im Spiegel

作詞:癒月 作曲:dai 編曲:Morrigan

『you』が来たよ!!『you』が来たよ!!ひぐらし作曲家daiさん作、名曲中の名曲の『you』が来たよおおお!!歌詞と歌が付いて、更に魅力UPです。

ひぐらしプレイ中に何度も耳にし、何度も涙を誘われ、何度も無意味に懺悔したくなった、まさにひぐらしを象徴する一本。

ちなみにゲーム中では音楽のみで、声付きで歌われてはいませんでした。ゲーム中の『TIPS』というコマンド選択中に、この曲のアレンジが流れるんですが、何故アレはあんなにも怖く聞こえるんでしょうね。。同じ曲なのに。。

で、歌詞はどう考えても『詩音』のテーマです。『アレ』が起こる前の詩音の心境って感じですね。プレイ中は、あまり彼女に共感できなかったんですが、こうやって聞くと、ちょっと考えが変わりました。彼女も他のキャラクター達同様、ただただ真っ直ぐで、純粋で必死だったんだなあ・・・と。

歌は癒月さんという方です。じんわりと心の中に染み込んでくるような歌声でyouを歌い上げて下さってます。こちらのアレンジもかなーり気に入りました。サビから最後にかけての盛り上がり方が凄いです。

*daiさんの同人CD『Thanks / you』に入っているものと歌詞は同じですが、アレンジが大幅に変わっています。『Thanks / you』版の方が、手作り感が溢れているだけに、『ひぐらし』の雰囲気をより深く味わえるような気がします。『かけらむすび』版は、商業用な分、曲がより美しく洗練されており、聴きやすいです。

daiさんの公式HPにて、『you』(曲のみ)がダウンロードできますので是非。

9. 月の夜のつめたい風

1が全ての幕明け。そしてこの9で幕は厳かに引かれる。
しかし、幕は引いても、本当の物語はこれからはじまる。


観客である『私たち』の中からはじまるのだ。


<以下蛇足、ネタばれなし、ひぐらし賛歌>

『ひぐらしのなく頃に』は、ろむろむの人生で初めて『寝食を忘れてゲームをする』ということを教えてくれた偉大なゲームです。既に有名すぎるぐらい有名になっている感はありますが、アニメ化やコンシューマ化決定などの情報を聞く度に「本当に素晴らしいゲームだったからなぁ・・・」と何度も感慨にふけってしまいます。

独特な絵柄に及び腰になる気持ちはわかりますが、ご安心下さい!!
ゲームをやり終えると、もう竜騎士さんのこの絵柄じゃなきゃ絶対駄目だアアア!!とまで思えてしまいます。このキャラクター絵だからこそ発揮できる恐怖があるんです。ほら、警察の犯人コラージュ絵も大雑把な方がやたらリアリティが伝わって検挙率が高いって云うじゃないですか。あれと同じです。あの絵には、ほんの一瞬で奈落の底へ突き落とされる恐怖が隠されているのです。

あとは、前半1時間半〜2時間ぐらいまでを、取りあえず耐えてください(はじめの方一寸ダルいんです)。しかし、その先には恐怖と感動と世界がひっくり返る様な未知の展開があなたを待っています。

竜騎士さんの文章が踊って踊って踊りまくる。私たちもその文章に踊らされまくる。

そして衝撃の結末へと祭りは進む。。

このCDは2625円ですが、ゲームは1000円ぐらいでちょっとアレなお店で売ってます。というか、ろむろむはひぐらしの後編を買うために生まれて初めてゲーマーズに行きました。

新しい人生の幕も開くかも!!とにかく買って損は無しよ!!!



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島みやえい子『ひぐらしのなく頃に』→レビュー  
Posted by romrom6656 at 23:56Comments(0)TrackBack(0)clip!