2008年11月10日

『太陽がまた輝くとき』<高橋ひろ>

『太陽がまた輝くとき』(1994/6/17)メディアラモレス
作詞・作編曲:高橋ひろ
歌:高橋ひろ

アニメ『幽☆遊☆白書』ED主題歌。

甘美なまでに切なく、曲が持っている優しい微熱に心を温められるような、そんなアニソンだと思います。アニメ自体も大変ヒットしていたので、この曲を耳にしたことがある人は相当多いんじゃないでしょうか?儚げな少年を思わせる美しい声と、メロディアスで印象的な曲調は、それを聴く者がたとえ子供だったとしても、この曲の中にはジンワリと沁みてくるような“何か”があることを、気づかせることができたんじゃないかと思います。

歌詞の中の“例え”の上手さもズバ抜けています。

“マーキュロ塗った後の しみる感じ そんな懐かしさに あふれた日々”

マーキュロというのは、ヨードチンキ(赤チン)の本当の名前ですね。塗った後にじんわりとしみた感じがあって、空気に触れるとスッとするアレです。小学生の頃とか、すっ転んで怪我したらいつも赤チンを塗られてましたけど、今はもう無いかな?赤チンと聞いて子供だった頃を思い出せる世代には、この“懐かしさ”の“例え方”はかなり胸に来ると思います。勿論赤チンではなく、マーキュロという絶妙に耽美な言葉を、ここで持ってこられる高橋さんの才能も激しく感じられます。あと、下記の2番目のサビ歌詞も忘れられません。

“今も君への想いは 嵐が逆巻く夜の海”

君へと向けられている激しい想いを、嵐が逆巻くほどのものであると例えながら、あえて静かで冷たさに満ちた“夜の海”という情景と絡めているのですね。“嵐が逆巻く夜の海”なんて美しい例えなんでしょう。。。あえて正反対にあるようなモノを組み合わせることで、“僕”の想いがどれほど深くで渦巻いているのかが、ハッキリと見えてくるような気がします。

3:38〜(“愛する人にはいつも照れて〜”)からの盛り上がり方や、後半で続くサビの繰り返しなどは、個人的に好きすぎて、マジたまらんです。徐々にフェードアウトしていく終わり方には、寂しさや懐かしさの中を彷徨っていても、いつか再び太陽の輝きが自分達を照らすだろう・・・という“希望”を匂わせているのかな〜?とか思ったりしてました。

あと、カラオケで歌うポイントとしては“古いメロディ にじむシルエット”の時に、シルエットの『ト』を声に出さず、“シィィルゥゥエッ”で止めるとすごくそれらしくなります(何。そういえば幽助役の佐々木望さんも同曲をカバーしていましたけど、主人公が歌うとあって、なかなかの良い仕上がりになっていたと思います。

高橋さんは、チューリップの第3期ボーカリストとして活動(1987〜89)された後、幽遊白書の別ED主題歌“アンバランスなKISSをして”を担当され、一躍注目を集めたシンガーソングライターでした。所属レコード会社が倒産した後は、活動の範囲を狭め、楽曲提供などに重きを置いていました(*デジモンや瓶詰妖精などのアニメ作品のキャラソン作曲なども手がけていました)。残念なことに2005年、病気の為お亡くなりになりました。




この記事へのトラックバックURL