作詞:Kenn Kato 作曲:渡部チェル 編曲:ats-
歌:嘉陽 愛子
アニメ『ヤミと帽子と本の旅人』OP主題歌。基本的には百合アニメですが、ラストのオチにより“百合”作品としての評価が真っ二つに分かれた物語です。歌い手の嘉陽愛子さんは、モーニング娘。5期メンバー募集オーディション最終選考(*合格したのは高橋・新垣、他)まで残った人です。数枚のシングルリリース後“アニソンの女王”とか云う、大それた二ツ名を日テレのニュースサイトから付けられたりして、すごくかわいそうな気持ちになったこともあります。
ということは置いといて、本作『瞳の中の迷宮』は百合ヲタ的には見過ごすことの出来ない作品でございました。というのも、“ヤミ帽”というアニメの主人公“葉月”の心情を完璧にスライドさせた歌詞となっているからです。葉月は、目の前で消えた愛しい姉“初美”を探すため、初美の痕跡を辿り、太古の世界、孤島の世界、未来の世界、おとぎ話の世界などなど、様々な世界を旅します。愛する初美を求め、ひたすらに探して探して探しまくる葉月。そんな葉月の思いつめた気持ちが、この作品の歌詞世界には広がっているのです。以下、アニメを見てない人には何を書いているのかも理解不能な電波レヌー。
<ヤミと帽子と本の旅人 簡単あらすじ>
主人公、東葉月は義理の姉、初美が好きすぎてヤバイ女子高生。しかし16歳の誕生日に初美は目の前で消え去り、葉月は人語を喋る黄色い鳥とリリスと名乗る能天気な少女と共に、初美を探す旅に出る。この世界のあまねく事象は、すべて1冊1冊の本になっているらしく、リリスはそこの図書館の管理人だという。葉月は本から本へ、世界から別の異世界へと初美の面影を求めてさ迷い歩くのだが・・・。

渡辺チェルさんの異様に耳につくキャッチーな曲調もさることながら、やたらと壮大な前奏やサビ部分など、気合の入った編曲には圧倒されます。特に“会いたい会えない〜”の後の前奏とか好きですね。。変にワクワクします。また、嘉陽さんの歌い方は実にストレートなアイドル歌唱って感じで、深刻そうな歌詞を物ともしないペラペラさ加減が逆にいい味を出しているというか何と言うか。新人ですけど勢いあります頑張りますな感じが好感持てました。
それでは、以下歌詞考察。まず出だしのインパクト歌詞から見ていきましょう。
『会いたい 会えない 思い募るほど この祈りが届かないのは なにかをきっと見失ってるから』
何故、初美は自分の前からいなくなってしまったのか?何故、初美の居る幸せだった時間を取り戻すことができないのか?葉月の中で燻る、初美への想いと悩みと混乱、それらは元々何処から来たものだったのか?・・・という疑問に対し、この歌詞部分ではヒントを出しているように思いました。初美を見つけて、元の世界に戻って、また二人で一緒に暮らしたいと、自分で確かめるように何度も繰り返し願う葉月の祈りが届かない訳は、歌詞で云うならば“なにかを見失っているから”なのです。
では、葉月が見失っていたものとは何なのか。色々考えましたが、それはつまり“自分自身”だったのではないかと思います。これは2番の歌詞を参考にしました。
『そうキミを 見つけるのが 自分を見つけること』
葉月はずっと、初美に対する過剰な愛情ゆえに“初美以外はどうでもいいし、(傷つけようが何しようか)関係ない”という閉じた世界の中で生きていて、初美を自分のものだけにしたいという欲望ばかりを膨らませ、本当の初美の気持ちに気付かなかった(気付こうとしなかった)のではないでしょうか。葉月は、長い旅の終わりになっても『初美を殺してボクも死ぬ』という言葉が飛び出してしまうような人です。彼女は初美の何を愛していたのか、初美とどうなりたかったのか。葉月が初美のすべてを愛していたのは間違いないと思いますが、それはあまりにも盲目的なものであり、初美(イブ)は葉月に“それではいけない”・・・ということを伝えたかったのかな〜とか思いました。そして、それが『すべてが勇気になる わたし一人きりじゃない』という歌詞にも繋がっていくのかもしれませんね。
盲目的な愛にしろ何にしろ、葉月は初美に“好きだ”と伝える前に、初美が消えてしまった訳で、そのやり場の無い思い、自分が初美を愛しているということを、一度でいいから初美に知ってほしかったのではないでしょうか。
『会いたい 会えない 悔やみきれないよ この思い伝えるまで 負けない 投げない この身を捧げても 見つける』
どうにかこうにか、その一途な愛だけは初美にも伝わったようで、最終話近くで“ここまで私を愛してくれた人がいたかしら”と、初美は心の中で呟きます(つーか喋れるんだから本人に言えよ)。そして、巻き戻った世界で葉月のことを受け入れ、自分の思う最良の方法で葉月の想いに応えるのです。
まあ、私はこのラストに納得してないクチなのですが。。だって葉月は初美の心も体も込みでハアハアしていた訳で、むしろ初美は欲望の対象だった訳じゃないですか。でもこの結末だと、葉月が望んでいたものとはかなり違うものになりそうなんですよねえ。。葉月は初美と家族になりたいとか、これっぽっちも思ってなかったと思うんですけど・・・。

あと、初美(イブ)は、葉月と綺麗にお別れした後、さっ、次の旅にトライしよ〜みたいな感じでめっちゃ素早く切り替えてやがるんですけど、なんですかこの女は。つか、元はと言えば全部お前がアアアア!!とか、最終回を見た後は色々と悶々としましたが、まあそれはそれでいいとしましょう。とにかく本作は、色々突っ込みたい事もあり、かなり際どいシーンも盛りだくさんですけど、百合好きならば一度は目を通さなければならない物件だと思います。更に百合ヲタとしては、この主題歌を何度も聞き返しながら、色んな妄想をふくらませていかなければならないと思います。以上。
“ボクは、この幸せがいつまで続かと思うと、泣きたくなるほど悲しかったよ”


