2008年08月14日

【第一回“百合系小説を読もう!!の会”】

【第一回“百合系小説を読もう!!の会”】

遂にやって参りました。夏休み!!会社員たる私もさきほどお盆休みに突入、僅かながら浮かれ気分を味わっております。さて、夏休みといえば読書感想文の宿題が定番ですね。学生時代の私は毎年だざい☆おさむたんの小説で勝負してましたけど、今ならもちろん“百合”勝負するでしょうね(何。という訳で、この夏休みの間に是非とも手にとっていただきたい百合系小説を紹介していきたいと思います。ちなみに、私の百合センサーは“精神的な繋がり”などにも激しく反応しますので、普通の百合好きさん的には『?』な作品も含まれることだろうと思いますので、その辺ご了承ください。てかほとんどそうです。

☆『落下する夕方』著*江國香織☆

交際8年目にして、恋人・健吾に振られた主人公・梨果。がらんどうとなった部屋に無理やり押しかけて来たのは、なんと健吾の新しい女・華子(はなこ)だった。自由奔放に見えて、儚げで、掴みどころの無い華子に、梨果は困惑し、怒りをぶつけることもままならないまま、二人の奇妙な共同生活は始まってゆく・・・。すれ違う魂の一瞬の邂逅を、あくまでも静かに美しく描いた物語。

〜じゃあ、梨果さんも一緒に逃げる?〜

一概に“百合”という言葉で括るには複雑なんですけど、梨果の華子に対する見方(思考)が、彼女との生活の中で少しずつ変わっていく部分に、それに近しいものがあるように感じました。華子と一緒にご飯を食べたり、おしゃべりをしていても不愉快を感じることがなく、そのうちに“(健吾と居ても華子といても)どちらでもおんなじみたい”と考えてしまう自分に驚愕したりするシーンなどは、特にそう思います。

とにかく華子の人物造形が秀逸です。物語は梨果の一人称で進むので、華子の話し方・仕草・唇の形・笑い方・考え方などは、基本的にすべて梨果の視線から語られるのですが、読めば読むほどに、その魅力が鮮やかに浮き上がってくるというミステリー。終盤のあたりで、梨果はすっかり華子の虜になってる(ように見える)んですが、その頃には梨果と同化した私達読者も知らず知らず彼女に心を奪われてしまうのであります。突然いなくなった華子を探しに行き、見つけて咎めれば、哀しそうにされ、慌てて弁解すると“淋しかったの?”と返される。恋敵のハズなのに、どうしても嫌いになれず、彼女がいないと妙にがっかりしてしまう。そんな梨果の揺れ動く心情にも注目です。

久々に読み返してみたんですが、後半P279〜280のあたりで涙腺決壊しました。はい。あと、映画版では、梨果を原田知世、華子を菅野美穂が演じていました。菅野さんの演技は寸分の狂いも無く、まさに私が頭の中に描いていた華子そのもので、なんというか・・・圧倒的でした。『淋しかったの?』と云いながら、梨果のお腹にゆっくり抱きつく華子もファイアーでしたが、海岸のシーンでふたりで笑い転げながら走り回るシーンも、たまりませんでしたことよ。



☆『蝶々の纏足』著*山田詠美☆

主人公・瞳美は引っ越した先で、美しい少女、えり子と出会う。ほどなく親友となった二人だが、えり子の異常なまでの独占欲執着心は瞳美を纏足のように強く締め付ける。常に自分の心の中に在り、自分を支配し続けるえり子の呪縛から逃れたい瞳美は、麦男という男に抱かれ、彼を愛することでえり子の影を振り払っていくのだが・・・。二度と戻ることは無い、蝶々の時代を鮮やかに描いた傑作。

〜どうしてあなたを逃がそうとしなかったって?それは私にはあなたしかいなかったからよ〜

落下する夕方の華子とは違い、このえり子は無茶苦茶強引で、我が侭で、自分の思い通りにいかないとカッと激情を吐き出し、何から何まで瞳美を支配しようとします。こういう子って、確かに小学生の頃とかいたような気がします。『ろむろむちゃんの筆箱可愛いね、何処で買ったの?』と聞いてきて、数日後、私のものと全く同じ筆箱を買ってきたことか。他にもハンカチとか、下敷きとか、ことごとく私と同じものを揃えようとするその子に『うっとおしいなあ』という感想を抱いていたような気がします。子供の頃って、それが自分への好意に基づくものであっても、理解できないような行動に嫌悪を抱くことってありますよね。で、だいぶ後になって『ああ、もしかしたらあの子、私と仲良くなりたかったのかな〜?』とか気付いたりして・・・あああああ、もったいない!!!当時の私はなんてもったいないことを(待!!!

しかし、これはヤバイ作品ですよ〜。だって最後の3ページ絶対泣くもん。この前、何の気なしに最後の3ページだけ読みましたけど、その時も一瞬で涙溢れまくりんぐでした。蝶々の時代にはどうしても読み解くことが出来なかった、えり子のどこまでも純粋な想い。かつての自分が憎んでいた、えり子の直情的な言動。しかし、そのすべては、えり子の不器用なまでの一途さの裏返しでしかなかったのです。しかし、取り戻すことは永遠に不可能であるほどに時間が過ぎ去ってしまったとしても、瞳美にえり子の本当の気持ちが伝わったことに、かすかな幸せの欠片を感じずにはいられませんでした。



☆『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』著*桜庭一樹☆

自分を『僕』と呼び、自分を人魚だと自称し、痛々しい言動をさも当たり前のように繰り返す転校生、海野藻屑。彼女に怪訝な視線を送りながらも、何故か離れがたいものを感じ、行動を共にする主人公、山田なぎさ。言葉を交わし、同じ日々を過ごしていく中で、なぎさは藻屑と少しずつ繋がっていくのだが・・・。自分達を押しつぶそうとする世界の中でもがき苦しむ少女達の、ささやかで、大きな抵抗の物語。

〜いいよ。山田なぎさが逃げたいのなら、一緒に行く〜

針が皮膚を突き破るように痛い。小さな傷なのに、身体の神経全てがそこに集中して痛みを発しているような錯覚を覚えます。そして血が止まった後も、ムズムズと痛痒い感覚が止まらない・・・。この本を読むということは、そういうことです。

生きていくのは辛くて難しいことです。悩みは絶え間なくやってくるし、生きるためにお金は必要だし、お金を稼いで自立するまでに、保護者の存在は無視できないし。この物語の人物達は13歳という設定ですけど、その頃の自分を振り返ると、将来とか未来は本当に漠然としたものでしかなくて、テレビドラマや映画が大げさに語る架空の現実に限りなく近いものだったと思います。漫画や小説を読んでは、夢の中を散歩して・・・。世間を上手く渡っていく方法なんて思いつきもしませんでした。だから、藻屑の突拍子も無い行動が、どこか生々しさとリアリティを以って、私の心に突き刺さるんだと思います。

なぎさは、藻屑の異常な様子、例えば身体の異常な部分などを冷静な目で見ていながら、それを必死ではぐらかそうとする藻屑に押されて、何も出来なくなってしまいます。もしも大人だったら、なんとか、なんとでも出来るかもしれない。でもなぎさは藻屑と同じ、無力な13歳の子供です。藻屑をなんとかしてあげたくても、哀しいことに、どうしたらいいのかわからないのです。

藻屑のおかしな人魚発言に、仕方なく納得してあげたとき、藻屑は少し傷ついたようなそぶりを見せます。人魚発言には意味があり、それこそが藻屑のSOSだったからです。しかし、藻屑のSOSはいつだって“砂糖菓子の弾丸”で、現実を射抜くことも、誰かに届くこともありませんでした。ですが、なぎさだけはそのSOSを呼ぶ声に気付き、自分を必要としてくれた友達である藻屑の為に13歳が出来る精一杯の抵抗を試みるのです。たとえそれが間に合わないものだったとしても、その時のなぎさは間違いなく実弾を握り締めていたのだと思います。藻屑を見つけることは、おそらくなぎさにしかできなかった。誰よりもお互いを信じあっていた、それだけは狂った形ではありますが、証明されたのかもしれません。

エピローグは、なぎさの口を借りながらも、作者が腐った世界に放ったひとつの弾丸であるような気がしました。



<拍手お返事>
>8月6日×1 ありがとうございます!
>8月10日×dede様 おおおっ!!NOIRに興味を持たれましたか!!これは是非是非是非に、レンタルしてみて下され〜!!新たな百合世界の幕が上がると思います。“罪を許す”そして“共に生きる”は、確かに静なつにも通じるものがあると思いますわ〜。コメントありがとうございました!!


この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/romrom6656/51246061
この記事へのコメント
ぽーにょぽーにょぽにょごきげんよう(違

パチパチパチ。すごい夏休み特別企画で小説のご紹介なんですね!!!
おいしいポイントをかいつまんで書かれているので、
私も読んだ気分になりました。
砂糖菓子は今でも怖くて小説の方は読めません(ヘタレ
いや、漫画も怖くて開くことができません。
すごく痛くてかわいそうで…。

江國さんの本は多分私一度も読んだことがないと思います。
でもとても惹かれる内容ですね^^

そしてチェキッ娘(笑)
いや、ろむろむさんて奥が深い方だなと。
そしてそしてサクセス神。
Win版つーことは紛れもなくアレですねw
買います、もちろんw
とゆーよりも、アカイイトで出して欲しかった(涙)
したらほら、添い寝のシーンとかおおっぴらに描き込める
じゃないですか!(笑)
そんなこんなで素晴らしい情報ありがとうございました。
Posted by ユリミテ at 2008年08月15日 22:34
どうもどうも!ぽにょ・百合・スキー(待。

ラノベとか、それ以外でも百合っぽい作品を紹介してみたいなー。なんて思いまして。3作紹介文書いて昏倒してしまいましたけど、まだまだいっぱいあるので、また近日紹介したいです。

『落下する夕方』は、個人的にめっちゃ好きな作品なんですけど、世間一般の人がこれを読んで百合と思うかどうかは微妙かもです。でも、私の中の百合センサーは猛烈に反応してましたので、騙されたと思ってユリミテさんにも読んでいただきたいな〜と思います。『砂糖菓子の弾丸〜』は、私はユリミテさんと同様、漫画が怖くて読めません。文章だけでも、こんなに痛切なものが伝わるのに、これが絵になると思うと・・・あああ。いつかは読みたいですが。

チェキッ娘は、モー娘。の完全後追いアイドルグループだったので、密かにライバル視してました。当時のかおりんもライバル視してたような・・・。

そして、出ましたサクセス神!!!
発売後、沈黙が続いてましたが、子会社独立化の次はwin版発表ですかって!!

>とゆーよりも、アカイイトで出して欲しかった(涙)

まさに!!!まさに、ユリミテさんに死ぬほど同意致します!!!アオイシロはキスシーン大有りで、もう充分濃厚だったので、アカイイトを見たい!!添い寝シーンとか大爆発物&吸血だけにとどまらねえぜヒャッホウって感じのアカイイトが見たい!!ああー、この若干ポイントを外してくるのがサクセス神の憎いところなのかも(何。とりあえず、続報を楽しみにしたいですね
Posted by ろむろむ at 2008年08月16日 19:49