2008年07月29日

『blanc dans NOIR 〜黒の中の白〜』

『blanc dans NOIR 〜黒の中の白〜』 (2001/11/7) ビクターエンタテインメント

作詞・作曲・編曲、梶浦由記、他。

アニメ『NOIR』2枚組み企画アルバム。サントラのニューアレンジ他、キャラクターソング等も収録。ディスク2は8㎝CDになっていて、2枚出ているサントラCDに収録されていない曲が混じっていたりします。しかもそれがミレ霧ヲタ的に外せないような超重要な場面で流れた曲だったりして、正直ズルいと思いましたが・・・ま、それはそれで。

アリプロがNOIRの為に作ったイメージソング“赤と黒”も秀逸ですが、桑島さんたちが完全なキャラ声で歌いきっているキャラソンもNOIRヲタ的には感涙ものの完成度です。唯一、ミレイユ役の三石さんだけが、歌無しでセリフのみですが。。三石さんは、歌になると結構イメージが変わる方ですから、ミレイユというキャラのクールな雰囲気を押し通すためにセリフだけになっちゃったのかもしれませんね。また当然のことながら、アニメのBGMを元にした曲が9割を占めているので、NOIRを観まくった人であればあるほど、曲を聞いたときの共感度感情移入度が桁違いに高くなると思います。

それにしても、梶浦由記先生の天才的なお仕事ぶりには、ほんとうに賞賛以外の言葉が出てきません。梶浦先生の楽曲は、アニメのカラーと波長が合ったときに爆発的な威力を見せると思うのですが、NOIRはその点では完璧な相性でしたね。*駄目だった例→アニメ“ツバサ”等。

ハードボイルド百合に初めて心を奪われてから、早7年・・・7年!?いやいやまあまあ、今でもNOIRは大大大好きなアニメなので、たまに見返してはやっぱミレ霧は最高やわああああ状態になるということを、何度も何度も繰り返しています。このアルバムもふとした瞬間に聴き返してみると、やっぱミレ霧は(略。


ディスク:1
1. 赤と黒 (ALI PROJECT)
“汚れぬ心の中 あなたを想っている 汚れたこの世界で 出会える愛はきっと 他の何よりもひかりかがやくだろう”
ああああ、キタキタキタアアア!!独特の美学の元に成り立つアリプロとNOIRの相性は、やっぱ抜群ですわ。血と硝煙と暗黒に彩られた世界に生きているのに、霧香もミレイユも、心は案外まっとうで優しいんですよね。もちろん心の中にどうしようもない闇がある訳ですけど、それでもどちらかがその道から外れそうになったら、必ずどちらかが助けようとしていたような気がします。この歌詞はそうした矛盾美しいものとして愛しているようなものであるように感じました。

2. prelude
NOIRのBGMを混ぜまくったもの。なんか不気味。

3. canta per me (Japanese ver.) (夕叢霧香:桑島法子)
霧香の、何の色にも染まってない真っ白で空虚な心が見えます。ミレイユへの告白手紙にも書いてありましたが、霧香はミレイユと出会うまでずっと、一人ぼっちで何も無い希薄な存在である自分を怖れ、苦しんでいました。NOIR二人でひとつの意味を持つ言葉だと知って、それを密かな喜びにするほど、霧香は孤独であったのです。いつしかミレイユを心の支えにしていた霧香が、それをすべて打ち砕くような真実に、第21話にて直面していましたが、この曲は21話後、ミレイユの元を離れて独り荒野を彷徨っていた霧香の心象風景を歌ったような作品であるように感じました。“さよならを歌って 甘い声で”とか“想いはいつか誰かに届く 遠い時の彼方できっと貴方に”とか、何度考えても霧香→ミレイユへの歌詞としか見えません(23話で、霧香の想いが届いたことを含めて)。

いかにも霧香な感じで、淡々としていますが、透明感の在る綺麗な歌声だと思います。

4. lullaby (Japanese ver.) (アルテナ:TARAKO)
TARAKOさんの名前を見て、どんなちび○子とかありきたりなことを考えている人は、今すぐこの曲を聴いて出直してきてください。とりあえず、その歌声の柔らかさと包容力に腰を抜かすと思います。

しかし、アルテナさんも不遇な人生に色々狂わされた系のキャラでしたね。愛で人を殺せるなら、憎しみで人を救うことも出来るはずだ・・・と、ひたすら信じて生きてきたアルテナさん。彼女の真の願いは、果たして本当にその“言葉”の実現だったのでしょうか?哀しい思い出を雪で白く埋めて、夜明けまで安らかに眠りたい・・・というこの歌詞を読んでいると、アルテナさんが本当に欲しかったものはもっと別にあったような気がします。子供のように可愛がっていたクロエであっても“捧げるもの”としか考えられなかったアルテナさんには、もう自分が何を望んでいたのかもわからなくなっていたのかもしれませんね。今でもラストのあの表情の意味が気になります。

5. エム・モア (夕叢霧香:桑島法子)
霧香再び。この曲では梶浦先生は編曲のみに携わっております。
霧香らしい無機質な歌い方は変わっていないんですが、歌詞や曲調は僅かながら明るさを感じられるものとなっております。ということで、私の妄想的にこの曲は最終話の後、パリに戻ったあたりの霧香の心情を歌ったと見ました。ええ、妄想ですけど何か。でもでも、そう考えると“いけないことを知っても 逃げはしないで いとしさにふれる午後を 探し続けよう”という歌詞が物凄く生きてくるような気がするんですよ。あと、ちょっとエロチックな気も(待。いやー・・・長い戦いの末に、あれだけ強固な絆を築いたふたりが、パリに戻ってからどれほど熱烈な日々を過ごすんだろうと思うと・・・。。罪を背負って生きることを決めた霧香と、彼女を受け入れることを決めたミレイユの“その後”を想像しながら聴くのがベストでありましょう!


6. 秘密 (クロエ:久川綾)
これはヤバイ・・・。最早、お見事という他ない、素晴らしいキャラソンです。
幼い頃、鮮やかな手つきで仕事をこなした霧香を見て以来、いつかNOIRとして、霧香と共に有りたいと夢見ていたクロエの、純粋で一途な想いが、歌詞の中にギュッとつめ込まれているのです。永遠に叶うことの無かった夢。それでもクロエの中には、いつだって霧香が居たのでしょう。霧香に焦がれ、霧香の背中に生きる意味を見出していたクロエが、心の中で暖めていた気持ち。そして、霧香と交わしたひとつひとつの言葉。それこそがクロエだけの“秘密”だったのだと思います。“あのときあなたが教えてくれたこと 誰にも言わずに秘密にしておくね”どこか嬉しそうに、囁くような声で歌う久石さん。完全にクロエと一体化した歌い方に注目です。

7. salva nos (dialogue remix ver.) (貝田由里子,ミレイユ・ブーケ:三石琴乃)
『あんたと私を結ぶ糸、それはきっと黒い色をしている』ミレイユ最強の口説き文句を皮切りに、おなじみsalva nosが激しく流れ出します。赤い糸ならぬ、黒い糸!!ミレイユさんはどこまで意図して云ってるんでしょうね、ホント。

8. love (chiaki,See-Saw)
ここでSee-Sawとして、石川千晶さん登場。

9. 幻想楽園
歌は貝田由里子さん。NOIRのカラッとした部分抽出したら、こんな感じになるのかも・・・な一曲。NOIRは、ハードな暗殺業ばっかりの話じゃなくて、細かい日常描写とかにも意外と気を配っていた作品でしたからね〜。ベットでスヤスヤ眠る霧香とか、一緒に料理するミレ霧とか、霧香に絵画セットを買ってあげるミレイユとかのシーンも密かに気に入ってたりします。

ディスク:2
1. guests B

2. melody ({salva nos}ver.) (貝田由里子)

21話『無明の朝』の、ラストシーン。閉ざされていた過去を思い出し、自分を殺してくれと嘆願する霧香と、彼女に背を向けて静かに去っていくミレイユ。この超名場面で使われていたのが、この曲でございます。salva nosは、過去の回想シーンから、激しいアクションシーンまで物語で重要となるような部分では必ずといっていいほど使われていたので、耳馴染みの良い曲だと思います。この“melody”では、それを更にメロディアスかつ情感たっぷりに再編曲しております。個人的に超ハードな原曲よりも、こちらのほうが柔らかくて好きですね〜。

salva nosは、ラテン語『(我らを)救い賜え』の意。歌詞自体は、賛美歌などに使われている祈りの言葉を繋ぎ合わせたもののようですね。“主よ平安を与え賜え 彼らの為にレクイエムを奏で賜え 我等を哀れみ賜え 我等を救い賜え(salva,salva nos e)”ソルダの下っ端から、NOIRに片付けられたすべてのターゲット、クロエ、アルテナ・・・。salva nosは、そのすべてのキャラクターに与えられた鎮魂歌だったのでしょう。


21話で、自分を殺してくれと必死でミレイユに追い縋った霧香には、謝っても謝りきれないという罪悪感の想いと、もうこれで二度とミレイユと一緒にいることが出来なくなったという恐怖と絶望があったのではないかと思います。ミレイユの大切なものを奪っていた事実、償いきれない罪、ミレイユの傍に居る権利を永遠に失ってしまった自分。それが霧香に“ミレイユに殺してもらわなければならない”という強迫観念のようなものを生み出させたのかもしれませんね。そんな霧香をどうしても殺すことが出来なかったミレイユは、彼女を殺さないために、彼女の前から去っていきます。引き金に指をかけた瞬間に、初めて霧香と出会ったときに見た、夕焼けを前に寂しそうにしている霧香の姿を思い浮かべるミレイユは、心の底では相当霧香を大切に想ってたんだなぁと思わせます。。

霧香とミレイユのお互いを思う気持ちから生まれた孤独と苦しみが、いつか報われることがあるように・・・。“salva nos”はその祈りの歌でもあるのでしょう。



3. jealousy
4. at dawn
5. black society
6. family affection
7. church
8. at ease



<拍手お返事>
>7月25日×3 ありがとうございます!
>7月28日×1 ありがとうございます☆


この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/romrom6656/51237989