2007年12月24日

『奈落の花』<島みやえい子>

『奈落の花』(2007/8/22)フロンティアワークス
作詞:島みやえい子 作曲:中沢伴行
歌:島みやえい子

アニメ『ひぐらしのなく頃に 解』OP主題歌。先日アニメ二期も無事完結したということで、改めてレビューしてみたいと思います。

『奈落の花』は、Aメロサビのみで構成されている割とシンプルな曲です。それだけに、優しく諭されるように、でも少し不気味に進行する静かなAメロから、強く何かを追い求めるような熱さを持った怒涛のサビへシフトする瞬間などは、非常にメリハリが効いていて聞き応えがあります。

しかし、曲の要所要所に入る独特のアレンジや効果音(ノイズ)ちょっとやりすぎな気がしなくもないです。。ここを一番強調したいのだ!!という製作者の気概は感じられますが、ちょっと自己主張が強すぎる気が致しました。

前作同様、間奏などで聴こえる“何を歌っているのかさっぱり不明なコーラス”(例*イィーエーガナィヤイヤイ・・・みたいなアレ)は、よく分からないフレーズを適当に入れてそのまま歌った・・・らしいですね。とはいえ(さほど意味はなくとも)この変なコーラスによって、どことなくザラッとした異質な雰囲気が曲中に生まれたのもまた事実でしょう。

さて、前作『ひぐらしのなく頃に』は得体の知れない“恐怖”を美しく冷酷に謳ったものでありましたが、本作『奈落の花』は、恐怖からのエクソダス&レッツゴー輪廻打破を目指す雛見沢キャラ全員に向けた応援歌のように感じました。

島みやさんもインタビューで、
『この歌では、奈落に咲く花に向かって向こう側の世界から叫んでるのが私なんです』
『思い切ってサビの部分で「こっちにおいで、そっちじゃないよ」という叫びが感じられるイメージで書いたんです』

と述べています。

ぽっかりと大きく口を空けた真っ暗な奈落に向かって花を咲かせ、花を散らす間際になってそこが奈落であると気付き、次こそは地の上で天に向かって花を咲かせたいと願う儚い草花。それは梨花ちゃんであり、羽入であり、詩音であり圭一でありレナであり、雛見沢に囚われたすべての人間でありました。

彼らは、次こそは必ず・・・と願いをかけながらも、また同じ奈落に向かって種を落とし、同じように芽を出すということを繰り返してきました。しかし、何度も失敗を重ねていく中でも決してあきらめない二度と奈落に落ちたくないというすべての人の強い意思が、最後にはその奈落の連鎖断ち切り、本当に相応しい場所で美しい花を咲かせることに成功するのです。

花や種に例えましたが、これは“ひぐらしのなく頃に解”のすべてだと思います。

己の背負う『カルマ=業』を認め、それらを背負って生きていく覚悟を持った上で、その先の陽の差す未来へ飛び出していくこと。鬼隠し編から祭囃し編までに至る、すべてのキャラとすべてのストーリーをひっくるめて、その底に流れる一つの“想い”を、島みやさんなりの解釈で練り上げ、表現したものがこの『奈落の花』という作品なのだと思います。

2、FLOW

島みやさんの曲の中でも、かなり軽快明るい部類に入る曲ではないでしょうか?ポップな曲調ながら、柔らかな風のような、心地よい暖かさに包まれた作品だと思います。夢の世界でフワフワ飛んでいくような爽快な感じが致します。前作のc/wが、喪失の悲しみを歌っていたことを踏まえて、島みやさん的には『ちょっと希望を入れたかった』らしいですね。その目論見は大成功していると思います。


で、アニメ第二期でしたが、なんでしょうか・・・この微妙に薄っぺろりんな感じは・・・。第一期も最後らへん惰性で見ていたろむろむでしたが、二期もちょっと苦しい視聴でした。最も興味を持って見れたのは、厄醒し編等、オリジナル展開した部分だったかなと思います。

とはいえ先日、アニメ第三期&映画化が決定したということで、相変わらずメディアミックス大爆発の快進撃に変わりは無い模様です。

しかし映画の監督が『富江』の監督とか、あんだけ面白くない怖くないホラー作った人が和風ホラー作るとか、しかもひぐらしに興味なさそうとか、富江で覚えてるのは菅野美穂と主人公の女のkissシーンだけとか、しかし菅野美穂ならレナの完璧な演技が可能な気がする(待て)とか、色んな妄想がろむろむの脳内を駆け巡ったりしたんですけど、ま、楽しみに待ちたいと思います。



<拍手お返事>
>12月20日×2 勉強になります・・・の方
ありがとうございます!!勉強になるとか、あああ勿体無い勿体無いお言葉!!私もまだまだ勉強不足の感は否めませんが、これからも頑張りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします!
>12月21日×1
ありがとうございます!
>12月22日×1
ありがとうございます!


<ひぐらし関連レビュー>
*ひぐらしのなく頃に(島みやえい子)
*かけらむすび(片霧烈火、他)
*嘆きノ森(彩音)
*Thanks / you(M.Graveyard(*dai))
*対象a(anNina)

この記事へのトラックバックURL

この記事へのトラックバック
島みやえい子の「奈落の花」の歌詞、試聴感想文です。 
奈落の花(ひぐらしのなく頃に解OP) - 島みやえい子の歌詞と試聴・視聴レビュー【和洋風◎】at 2009年02月24日 23:22