2007年04月24日

『ひぐらしのなく頃に』/『all alone』<島みやえい子>

『ひぐらしのなく頃に』 (2006/5/24) フロンティアワークス
作詞:島みやえい子 作曲:中澤伴行 編曲:中澤伴行&高瀬一矢
歌:島みやえい子

胸のあたりがザワザワして、首筋にゾワッと来るあの感じ。怖い話の本を夜中に読んで、マジでトイレやお風呂に行けなくなっちゃうようなあの感じ。“得体の知れない何か”への、説明不可能な“恐怖”を、ここまで見事な音楽に仕上げてしまった作品が、かつて存在したでしょうか?

個人的には、『世にも奇妙な物語』の主題歌以来の心理的恐怖煽りソングだと思う本作は、I'VE所属アーティスト・島みやえい子さん による、アニメ『ひぐらしのなく頃に』のOP主題歌であります。

美しくも、どこか酷薄な冷たさを感じさせるメロディに、何かが乗り移ってるとしか思えないような島みやさんの妖しげな歌唱がジワジワと染み込みまくってます。島みやさんは、かなり手堅い歌唱力をお持ちの方なので、その表現力の見事さは云うまでもないですね。(*2曲目の『all alone』は、その島みやさんの表現力を『ひぐらし〜』以上に強く感じられる一品かと思います)

では、今回はちょっと気合を入れて、この『ひぐらしのなく頃に』という曲を追求・考察してみたいと思います。

『ひぐらしのなく頃に』という曲の、楽曲&歌詞世界は、大きく3つの世界に分けることが出来ると思います。一つは、異界(ハレ)、一つは、現実・日常(ケ)、そしてもう一つは、異界と現実の混合(狂気)です。この3つの世界の繰り返しによって、この歌の世界は成り立っているような気がします。では、1番目の歌詞を中心に、その世界を覗いてみましょう。

 攬朿Α曄礇ープニング〜53秒迄>
今まで確かなものと思っていた現実の枠が、徐々に“何か”によって侵食され、異質のものへ変化していく感覚。幾重にも幾重にも重なったコーラスと声が、夢の中をゆらゆらと彷徨うような感じを醸し出しています。

◆攜充臓曄磽毅管叩腺永13秒>
突然、歌声がクリアに聞こえ出します。それはまるで、曖昧な夢からグイッと現実に引き戻されるかのようです。しかし、もしかするとその現実は、悪夢よりも残酷で恐ろしいものかもしれません。夢の中『雨だれ』に見えていたものは、現実では『血のしずく』なのかもしれないのですから。

【異界&現実】<1分14秒〜34秒(サビ)>
再び、声は多層に重なってゆき、私たちは、あやふやな境界の世界に落とされていきます。日常の世界にいるはずなのに、身体の何処かが異界に引きずられている・・・そんな風に思ってしまったが最後、私たちはその時点ですでに、“狂気”の世界へ一歩、足を踏み入れているのであります。

*『ひぐらしのなく頃に』という歌の構成
^朿Β現実→0朿Α現実→^朿Β現実→?→狂気


“異界”と“現実”を幾度となく行き来するうちに、いつしか狂気の世界から逃げ出せなくなってしまう・・・ということを、もしかしたらこの曲は暗に意味しているのかしら・・・とか思ってみたり。穿った見方ということは百も承知ですが、『ひぐらし〜』という物語世界と照らし合わせてみると、結構ピッタリ来る部分もあるんじゃないでしょうか?

また、幼い頃、何度となく耳にしたお遊戯曲童謡などの一部が、歌詞中に組み込まれていることにも注目です。

“かごめかごめ”の童謡より『後ろの正面、誰?
お遊戯、“目隠し鬼”の決まり文句より『鬼さんこちら、手の鳴るほうへ
お遊戯を呼びかける台詞より『○○する人、この指とまれ

“かごめかごめ”は、日本の農村に伝わる間引きの歌だ・・・とか、神を呼ぶ儀式の歌だとか・・・、女郎の歌だ・・とか、現代においても様々な憶測を呼ぶ、ナイスな不気味ソングですが、この童謡のラストフレーズをあえて歌詞に入れてくる所など、作詞者(島みやさん)は、かなりイイ所を狙ってきていると思います。。

ちなみに、この曲を逆回転をすると、曲の間奏で盛んに流れる不気味なコーラス『ハンニャラハレヒー(歌詞不明)』が、『逃げられない』と云っているみたいに聴こえるらしいです。別の部分は『愛してる』『殺してやる』に聴こえるとかいう噂も・・・。

逆回転でメッセージ!?というのは、ビートルズの楽曲における『ポール死亡説』みたいなもんで、真偽の程はともかくとして、こうした細部にまで何か、ひぐらしの“かけら”が落ちているんじゃないかとみんなに思わせるだけの求心力を、この作品が持っているということの表れなんじゃないかと思ったりしますね。

2、『all alone』
作詞:島みやえい子 作・編曲:高瀬一矢

これ、なにげにすっごい良曲なんですけど、ど、どうしたらいいでしょう(何。いやー、あれだけの恐怖ソングの後だから、これ以上どんな恐ろしい曲がやってくるのかしら・・・と怯えていたんですけど、そんな心配、微塵も必要ありませんでした。というか、実は表題歌よりこっちのほうがお気に入り曲だったり。。

歌詞は、二度と戻らない恋人との日々を、どこか突き放したように見つめつつ、振り切ることができない『わたし』の独白で綴られております。手放しのまま、『あなた』との思い出に身を晒し、『あなた』のいない寂しさを噛み締める空白の時間。。
一人ぼっちの閑散とした部屋の真ん中で、ぼんやりとへたりこんでいる女性の姿をなんとなく想像。・・・はい、萌えました(何。

絶望的な悲しみをどうしたらいいのか自分でもわからないまま、ただ『あなたを失ってしまった』という事実だけで心をいっぱいにしてしまってるような、アタマ真っ白な感じが、曲全体の雰囲気にもかかっていますので、ウジウジ・メソメソ・・・な、感情的な鬱陶しい部分は上手く取り除かれているように思います。

1曲目の恐怖・狂気ワールドを壊すことなく、2曲目に喪失の歌をソッと入れてくる所なんか、製作者の方は空気読んでるな・・・とか、妙な部分で感心もしてしまいました。地味かもしれませんが、ろむろむが自信を持っておススメ出来る素敵な失恋ソングです。



『ひぐらしのなく頃に』という作品について考えたとき、いつも私の頭を駆け巡る一つの問いがあります。それは、『人を殺して掴んだ未来の先に、果たして本当の幸福は存在するのか?』というものです。遥かな昔から、多くの哲学者や宗教家、芸術家がその問いに挑んできましたが、未だそれに対する明確な答えは出てきていません。人類が築いてきた歴史を振り返ってみても、答えはますます遠ざかるばかりです。その中で、『ひぐらし〜』という作品は、その問いかけに対して、鬼隠し編から始まる全ての物語において、終始変わらぬ主張を貫いています。曰く、

『人を殺して掴んだ未来の先に、本当の幸福は存在しない』

それは正解でも不正解でもなく、ただこの長い物語が辿りついたひとつの答え(解)なのだと思います。

ただの殺伐としたホラーな物語。もしもアニメを観てそんな感想を持ってしまった方がいらっしゃいましたら、もうこれは手遅れになるまえに素早くゲームを手にとって頂きたいと思います。そして、ひぐらしの登場人物達が必死の努力の果てに“本当の幸福”を手に入れられるか否か、その運命と結末をその目で確かめて欲しいと切に願います。

*以上は本編準拠の意見です



youtube周辺は、窓やら動画やら題名やら、ネタばれ要素がメガトン多いので、プレイ予定の方はあまり見ないほうがいいですYO。



<関連>
『ひぐらしのなく頃に』イメージアルバム『かけらむすび』→レビュー

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この記事へのコメント
ひぐらしいいですよね(๑→ܫ←๑)
僕は最近友人に勧められれてアニメを見て音楽に引き込まれたって感じです。
島みやさんのひぐらしのなく頃にだけとっても世界観が非常によく伝わってくる作品だと思います。

余談ですが、ED歌ってる片霧烈火さんは
これ以外にもかなり良い曲歌ってますよ(*´丱`)
Posted by k-太 at 2007年04月29日 22:29
連レスに加え文字化け申し訳ありません。
文字化けの謝罪ですΣ
Posted by k-太 at 2007年04月29日 22:36
はじめましてk-太さん!こんばんはです!!

k-太さんは、アニメのほうから入られたんですね。
アニメはサントラといい、OP・EDといい、音楽に気合が入りまくっていて良いですよね〜。
とりあえず、島みやさんの主題歌起用は大大大成功だったと思います。

片霧さんの作品は、アルバム収録の曲などチラホラ・・・ぐらいしか把握しておりませんが、ドシリアスから激トリッキーなものまで、幅広く何でも歌いまくる方という印象があります。ひぐらし〜から片霧さんに興味を持たれた方もきっとたくさんいるでしょうね。

あ、文字化けとかは、全然気にしないで大丈夫ですよ!
ではでは、コメントありがとうございました〜☆
これからもよろしくお願いいたします!!
Posted by ろむろむ at 2007年05月02日 10:05
こんにちは〜♪初めてお邪魔します!1曲目はもちろんおどろおどろしい感じでひぐらしの世界観ぴったりで良いですが、何よりall aloneですね。名曲どころか神曲です。もちろん失恋ソングなんでしょうが解釈のしようによってはひぐらしの登場人物とも上手く絡んでいて、とても奥の深い、深すぎる曲だと思います。歌詞だけでなく曲自体もすばらしく、また島みやえい子さんの歌声もまた素敵なので本当に良い曲だな、と。聞き始めて半年経ちますがまだ飽きません笑。
Posted by k1 at 2008年03月26日 03:47
こんにちは!!K1さん、初めまして!!

おおおお!!K1さんもall aloneにゾッコンでございますか!や〜、私もこの曲にハマりまくりでしたので、同意見の方がいらっしゃって、すごく心強いです☆

この曲は、K1さんのおっしゃる通り、ただの失恋ソングだけではなく、大切な人を失う辛さや哀しさを訴えかける“ひぐらし”の世界や、ひぐらしキャラたちに、深い部分で絡んでいる作品だと思います。

あと、この独特の曲調はすごくクセになりますね。明るさと暗さが混同している不思議な曲です。あんまり目立たない曲ですけど、本当にいい曲ですよね〜。。半年聴いても飽きない・・・よくわかります!
Posted by ろむろむ at 2008年03月26日 23:32