2007年02月01日

『蝶』<天野月子>

『蝶』(2003/11/12)ポニーキャニオン

作詞・作曲・歌:天野月子

PS2用ゲーム『零〜紅い蝶〜』主題歌。
ゲームのエンディングムービーに重ねて、この曲が響いてきたときの衝撃は今でも忘れられません。

確かにゲームの結末自体も、ろむろむの想像を遥かに越えたものであり『嘘オオオオオォォォオオ!?!』と、あまりの驚きに腰を抜かしてしまうようなものでありました。

しかし、この『蝶』というテーマソングは、その結末を鮮やかに彩るばかりか、『零』をクリアしたプレイヤーの心に、『零』で体験した全ての思い出をキリキリと刻み込んできます。主人公、澪(みお)の最後の絶叫。澪の姉、繭(まゆ)の秘められた願望と独白。二人が心の奥底で温めていた気持ちと、その気持ちが混じりあった瞬間に訪れた物語の終焉。

さざ波が砂山を少しずつ崩していくかのように、この主題歌は主人公達の気持ち、しいては『零』の世界すべてをゆっくりと昇華させていくのであります。このゲームにして、この主題歌あり。ゲームの主題歌として、これほど非の打ち所のない音楽が他にあるでしょうか?

天野月子さんは、この『蝶』という曲を作るにあたって、まずディレクターが書いたあらすじを渡されたそうです。そのあらすじはファンブック(*『恐怖ファンブック・怨霊の刻』)で読むことが出来ます。あらすじの内容は、『歌のイメージの参考に・・・』ということで澪と繭の二人に焦点を当てた内容になっていました。つまり、『蝶』はまさしく『澪と繭』二人だけの為に作られた曲だったのであります。

天野月子さんのイメージソングへの思い(『怨霊の刻』p84より引用)
孤独感は恐怖に等しい。その時差し伸べられた手のぬくもりは、今でも覚えている。ならばその、差し伸べてくれた手を失う時、繭の手から澪から離れてしまう時、その状況の中で、わたしだったら何を願うだろうか。そんなことを思いながら書いた曲です。

・・・素晴らしい意気込みですね。
零の歌詞は、零の世界観と天野さん自身の感性が共鳴しながら響き合った事で、生まれたのです。これを奇跡と言わずして何としましょう。天野さん、本当にありがとうございました(?。

歌詞自体は、天野さんもおっしゃっているように、澪の視点がメインになります。しかし突然、繭の視点に切り替わったりもします。澪と繭の二人が各々の心情を吐露し合っているような不思議な感覚に囚われる歌詞なのです。

一番目の歌詞は、ノーマルエンディング『終わりの刻、紅い蝶』二番目の歌詞は、ハードモードエンディング『零の刻、虚』に対応していると思います。

とりあえず、サビの歌詞が凄すぎてヤバイです。これは、ゲームをクリアした人じゃないと、絶対にわかってもらえない凄さなのですが、何というかもう・・・あのエンドを見た後に聞くと、強烈すぎて失神しそうになるのです。

ついでに私自身は、二番目の歌詞を爆推ししたいと思います。もう五重丸の花マルに茎と葉っぱを付けて植木鉢を書いてあげたいぐらいの見事さでございます。この素晴らしさを理解していただくには、ハードモードの結末を見て貰わなければならないのが、非常に悩ましいところなんですけれども。。クリアさえ・・・クリアさえしてもらえば、きっと私の気持ちがわかっていただけると(必死!!

決して派手な曲調ではないんですが、サビの静かな盛り上げ方は秀逸ですし、何より非常にこだわりを感じさせる細かな音を作ってらっしゃいます。曲が始まって30秒〜50秒の間に流れる前奏なんかは、本当に蝶がひらひらと舞っているような感じが致しました。3分55秒〜4分38秒あたりの転調の流れとかは本気で痺れましたよ。何かもう、遠いところに攫われていきそうな勢いです。

『蝶』は、天野月子さんのアルバム『天龍』にも収録されています。天龍は、個人的にもおススメのアルバムですので、機会があったら是非聴いてみてください。特に2曲目の『鮫』なんかは、あまりにカッコ良過ぎて一瞬で天野さんのファンになっちゃうかもな危険曲です。



さて、肝心のガールズラブ視点ですが、この作品は百合ゲームとしても頭ひとつ飛びぬけている作品(*名作)です。まぁ兎にも角にも、澪(みお)のお姉ちゃん想いっぷりを見るがよいのです。実際ろむろむは、このゲームは恐怖系ホラーアクションゲームという命題の裏に、『究極の姉妹愛』という副題が隠されているように感じました。

OPムービーを見てもらえば、それだけで一目瞭然なのですが、とにもかくにも澪のお姉ちゃんっ子ぷりは凄いです。お姉ちゃんが大切すぎて大変なのです。しかし実は双子のお姉ちゃんである繭の方が激しく妹にゾッコンLOVEというステキっぷり。

澪から繭への愛は結構健全(?)な感じなんですが、繭から澪への愛は狂気寸前愛しさマックスハートな感じ。。気の弱そうな姉のほうが、心に煮えたぎる激情を抱いているって・・・お、美味しすぎませんか!?!一見逆に見えますが、実際は繭の方が澪に強く依存しているというわけなのです。

☆天倉澪(あまくらみお)
主人公。活発系。健気。お姉ちゃん大好き。眉毛が逆ハの字になっている方。ゲーム中何度もフラフラっと消えるお姉ちゃんを、忠犬の如き情熱で何処までも探しにいく。

☆天倉繭(あまくらまゆ)
主人公の双子の姉。儚い系。弱弱しく、おしとやか。眉毛がハの字になっている方。世界に澪と自分の二人だけがいればいいというぐらい、澪を溺愛している。

公式完全攻略本『鎮魂の書』より。

繭『今日は、澪とふたりで子供の頃によく遊んだ秘密の場所に行きます。(略)。でも、澪が一緒だから平気。澪はいつだって私を守ってくれる。ずっと一緒だって約束したから(略)』

澪『小さいころ、お姉ちゃんと一緒に遊びに行っていた秘密の場所に久しぶりに行くことになりました。(略)お母さんには内緒。だって秘密の場所だもん。もし何かあっても大丈夫。私がお姉ちゃんを守るから。小さい頃から、私がずっと守ってきたんだから。もう、何があってもお姉ちゃんを置いていったりしないよ・・・・・・』

SUGEEEEEEEEEEEE!!!ちょっともう何ですか!?!この相思相愛の姉妹は!?!素晴らしすぎますよ。ここでは書きませんが、ラストバトルの時に聞こえてくる繭の台詞の百合度の突き抜けっぷりも正直、凄いです。繭にここまで云わせる、澪の愛されっぷり(とスタッフの狂いっぷり)には感動すら覚えます。

さて、衝撃のエンディングについても少々。。
【注意】軽くネタばれいくよ〜!!【注意】

◎『終わりの刻、紅い蝶』
最初は驚きのあまり、何も考えることが出来ませんでしたが、冷静に考えるとやはり『零』の真エンディングはこの終わり方以外にはあるめえな・・・と、思います。アメリカ向けのエックスボックス.Verでは全くことなるエンディングが作られており、それが一応、本当の結末という位置づけになっているようです。
しかし私が、零というゲームをプレイして、心からシックリ来て納得できたのは、この終わり方しかないです。結局、繭の愛、繭の希望、繭の望みというものは、澪なくしては永遠に叶うことのないものなのです。二人だけの世界の補完という意味において、この物語の終わり方は、最高ではなくても、最上のものであったと思いました。

◎『零の刻、虚』
もう、ラストに一瞬見せた繭の表情がすべてを語っております。紅い蝶エンドと同等の重みを持つ、異なった結末を描くとなると、こういう終わり方しかないような気もしますね。ある意味、至高の倒錯支配END。そちらかというと、このエンドの方が妄想力は高まります。
『・・・これからは、ずっと一緒だよね』

◎『バッドエンディング』
澪の願いも、繭の願いも何も叶わなかった、ENDがこれなのでしょう。代償を払ってでも、叶えなければならなかった願い。それを振り切ってしまった先にあるのは、希望ではなく、永劫の孤独なのです。澪にとっても、繭にとっても。


あ、ああっ!!肝心の『零』というゲームが、どーいうものなのかを説明し忘れていました(えええ。『零』というゲームは簡単に云うと、襲いかかってくる幽霊や、障子の裏なんかに隠れている地縛霊を、幽霊専用カメラ(射影機)で撮影して倒していくホラーアクションゲームです。

主人公の澪は、双子の姉の繭と共に地図から消えた村(皆神村)に迷い込んでしまいます。彷徨える幽霊たちの攻撃をかわしながら、澪は姉の手を取り、なんとか脱出の糸口を探し出そうとしますが、皆神村の謎を探るうちに、二人は怖ろしくも哀しい運命の輪に飲み込まれていってしまうのです・・・。

云っときますが、これ、すっっごく怖いゲームです。ヘッドホン着用して、電気を消して深夜にプレイすると心臓破れます。『あーあああ、なんかいるなんかいる・・・あ・・ああああああ出た出た出た出たああああああ!!!キャアアアアアアア!!!』みたいな展開がテンコ盛り盛り。バイオハザードとはまた違った、日本古来、純和風の恐怖を骨の髄から堪能できるのです。皆神村を襲った惨劇の原因を突き止め、呪われた村からお姉ちゃんと逃げ出すのだ!!

廉価版でもいいから、とにかく(騙されたと思って)やってみて下さい!!
澪と繭は最高双子姉妹です!!!






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この記事へのコメント
こんばんわー。実はこれプレイしてみたいんです。
かなりお勧めされた百合だったもので。
でもですね、ホラーものすっごく苦手なんです。
全くもってだめ。
あのアカイイトですらビクビクしながらプレイしてたくらいですから(笑)
あー。でもやってみたいなぁ…。
ろむろむさんのレビューを読ませてもらって激しくプレイしてみたくなりました。
みんなの元気をオラに少しずつ分けてくれたら…(違
Posted by ユリミテ at 2007年02月03日 20:03
こんばんは!!
おっと!ユリミテさんは未プレイだったんですね。

大丈夫!!ユリミテさんならホラーでも怨霊でも、きっと乗り越えられます。私、信じてます(おいおいおい)!!

でも、確かにホラー苦手な人にはキツい試練になるかもです。私も結構大丈夫な方だと思ってたんですけど・・・時折、心臓が口から飛び(略。

でも音量を出来るだけ落として、部屋を明るくして、関係ないアニソンを大音量で流しておけば、恐怖は充分やわらぎますよ。そして重要なムービーの時だけしっかり聞くとかでオッケー☆

私のレビューで心が傾いて来ましたと!?
やはは〜、嬉しいですねえ!!この調子で次は、澪と繭の良さについて語り合えるまでになりたいですね(←鬼。機会があったら、是非是非プレイしてみて下さい!マジ萌えを約束いたします☆☆☆
Posted by ろむろむ at 2007年02月04日 04:36