2007年01月16日

『Roman』<Sound Horizon(サウンドホライズン)>

『Roman』(2006年11月22日)キングレコード

歌:Sound Horizon(サウンドホライズン

異色音楽集団、サウンドホライズン(以下サンホラ)。同人音楽という形態からスタートした集団。複数の歌い手、演奏者がサポートメンバーとして存在し、曲やアルバムによって臨機応変に組み合わされる。集団の中心人物は、作詞・作曲・編曲他を担当するRevo氏。モ娘。で云うところのつんく的存在でしょうか。

1990年代後半、WEBにて活動開始。ライブ、コミックマーケットなどでのCD手売り販売、ネットでのCD販売などの活動を行ううちに、徐々に評判が高まり、2004年メジャーデビュー。近年は活動の幅を更に広げており、ライブなども大きなハコで積極的に行っている模様。

ろむろむは、今まで全くこの方達の存在を知りませんでした。同人系などは、割と興味の範囲外なのですが、そういうものに詳しい友人にみっちりと説明していただき、このような音楽集団がいるということを初めて知りました。


*『同人音楽』とは?

ここでいう同人音楽とは、コミケなどを中心にCDを販売したり、歌の発表をするような形態の音楽活動を指します。メジャー音楽に対するものとして、インディーズ音楽というものがありますが、インディーズにも一応レコード会社(*マイナーな)は付いています。しかし、同人音楽にはそういったレコード会社のような最低限の『後ろ盾』というものもありません。

本当に自分の好きな音楽を追求し、表現できる代わりに、非常に不安定な活動形態であるといえます。しかし、インディーズにも熱狂的なファンが居るように、同人音楽にもまた気合の入ったファンが多く存在しているようです。

確かにヲタク系のファンのほうがスイッチ入った時はマジ凄いと思いますので、特に(コミケに来る気概のあるような)10代の若いファン層を獲得してきたサンホラが、同人からメジャーの階段をトントン拍子に上っていったのも不思議なことではないのです。


また、サウンドホライズンは『アニメソング歌手集団』ではなく、『アニメチックな世界観を軸に、音楽活動を行うアーティスト集団』という方が正しいと思います。

まずはじめに『物語』ありきの(いかにも同人な伏線を張り巡らせた)歌詞作りと、曲作り。『物語』に合わせた歌手の選定に加え、声優さんの語り台詞まで入れてしまう(←この辺がアニメチック)ような自由っぷり。

まー、とにかく一風変わった音楽集団と思ってもらえればいいんじゃないでしょうか。実際、私もあんまりわかってないですけど、多分そうだと思います(オイ。ということで、初めて買った(&聴いた)アルバム『Roman』のレビューをやってみたいと思います。


まずアルバムを開くと、不思議な一通の紙がはらりと落ちてきました。開いてみると5つの囲いの中にそれぞれ数字がビッシリ書き込まれていました。

こんなん→『0101 0501 0401 0505 0401 0602 1004 0601・・・(略』

ええええええええ、何これえええええええ!?!と思って歌詞ブックを開くと、歌詞の中にも、これまた不思議な4つの数字がたくさん紛れ込んでいるではありませんか。

こんなん(例)→『0101けま0302ておめでとうございます(*あけましておめでとうございます)』

これは『0101=あ』『0302=し』と読め。と、いうことです。つまり歌詞を読んで、数字を拾って暗号を解読すべし・・・という意味なのです。おそらくこの暗号をを解読すれば、この『Roman』というアルバムでテーマとされた物語への理解に一歩近づくヒントがゲットできるのだと思います。遊び心に溢れてますなあ。しかし、ろむろむには解読する気力が・・・。

もうひとつ、このアルバムの遊び心が生かされているのは、曲中でそれぞれに語られる物語を、聞いた人たちが後で『これはきっとこういう話なんじゃないか?』『いや、こうじゃないのか??』などと色々語り合えるような謎や伏線が歌詞の中にたくさん入っていると、いう部分だと思います。

『ひぐらしのなく頃に』の謎をみんなでワイワイ考察して楽しむ感覚にも似ているんじゃないでしょうか。一曲ごとに、様々な登場人物の一生や想い、行動などが緻密に描かれていますからね。オムニバス映画を見る感じに似てます。

それぞれの曲(小さな物語)の中で核となるキーワードを見つけ、繋げることで、ひとつの『大きな物語』を構成(想像)していくワクワク感。それがこのアルバムの魅力でもあるのでしょう。

以下、ろむろむのテキトーな解説入りレビュー

1、朝と夜の物語

すべての物語の夜明け、プロローグに相応しい壮大な曲調。そして突然の台詞。。甘い声の男性がメインボーカルを張り、儚い少女風の声の女性ボーカルとサビなどで滑らかにハモっております。サウンドホライゾンの作品は、曲中に台詞を語らせるものが多いので、これを受け入れられるか否かでその後のハマり度も変わってくるかと思います。『踏み絵』みたいなものですね。
この曲は、おそらくアルバム表紙の3人(少女二人&銀髪の青年)をテーマにした作品かと思います。ヘッドフォンをして聴いてみるとよく分かるのですが、この作品、女性ボーカル2人いるのです。

2、焔

『見えざる腕』と同じぐらい物語性の強い作品ですが、『見えざる腕』よりも歌詞に比喩暗喩が多いため、ほとんどの解釈を聴き手の想像力にお任せしているように見受けられます。正直歌詞はよくわかりませんけど、ろむろむはこの曲にちょっと惚れました。女性ボーカルの繊細かつ力強い声が、とてもいい味を出しております。

3、見えざる腕

最も物語性が前面に出された作品です。この曲を聴くことは、ちょっとした漫画・小説を読むことと同義のような気がします。。つまりこの曲の中には、ひとつの物語の起承転結が全て詰め込まれているのです。曲調もその起承転結に合わせて激しく変化(転調)します。それはもう『あれ?いつの間に別のトラックに飛んじゃったんだろう??』と勘違いしてしまうほどの変わりっぷりなのです。さすがにマニアックなことをしてくれますね。

【起】最初(プロローグ含)〜1分57秒
【承】1分58秒〜3分38秒
【転】3分39秒〜4分44秒
【結】4分45秒〜ラスト(エピローグ含)


(見えざる腕あらすじ)
金髪の騎士(ローラン)と、赤髪の騎士(ローラン)。二人が刃を交えたことからはじまった因果の物語。敗北、憎しみ、悪夢に苦しめられる金髪の騎士が苦難の日々の果てに見た『運命の結末』とは!?

4、呪われし宝石
妹に迷惑ばかりかけ過ぎて嫁にもやれない駄目な兄が、人生の一発大逆転を賭けて『ある宝石』を手にしようとするが、その宝石はとんでもないシロモノだった。宝石にまつわる伝説と謎・・・。とんでもなくソプラノ声な女性が『トゥルトゥルトゥル〜』ってな感じで高らかに歌っております。

5、星屑の革紐

また違う女性ボーカルが登場してきました。アイドルっぽい声質ですね。
そしてもう一人の女性ボーカル・・・って、ええっ!?井上あずみさん!?何気にすげえ!!歌詞はマジでブッ飛びすぎてて、何かもうわけわかりません。何も考えず歌詞を素直に受け取ると『犬×人間=犬』という話のような気がするんですけど、そ・・・それはさすがに違いますよね。『犬=犬と称される人間?』と考えたらいいんでしょうか・・・。3曲目『見えざる腕』の登場人物がチラッと見える伏線あり。5:06〜のラスト転調が素敵すぎて危険です。

6、緋色の風車

激しいバイオリンの演奏に感情が高ぶってきます。何か今までに無い微妙な語りが入ってますけど、『サビ』や『曲の盛り上げ方』は爽快感があり、とても良いアニメソングに(も)なれそうな一曲であると思います。物語は、漫画で云うところの主人公(もしくは強大・凶悪な敵)の『悲劇の過去編』みたいな感じでしょうか。馬のいななきや、人々の悲鳴など、バックに時折混入している効果音が物語の臨場感を出しております。

7、天使の彫像

声に独特の癖のある男性ボーカルがメイン。物語は5曲目、星屑の革靴の続き?ですかね。

8、美しきもの

綺麗な声の女性ボーカルがいれば、もう、あとは何でもよくなっちゃう私。。ということで、これまた透明感のある歌声の女性がメインボーカル。これまでの曲が結構ドロドロ血みどろな激しいもの多めだったので、バラード系の優しげな作品が来ると心が安らぎます。つかもう、旋律が美しいのなんのって。5分38秒後あたりに来る、最後の曲の盛り上がりも、不思議と記憶に残ります。そして最後の台詞に皆口裕子・・・不意打ちながらたまらんです。

9、歓びと哀しみの葡萄酒

没落した名門貴族の夫人が主人公。この女性の波乱の人生を、彼女が半生をかけた『葡萄酒作り』の観点から眺める、一風変わった作品。時代や逆らいがたい大きな力に呑み込まれながらも、強く気高く生きた女性の潔さが美しいです。『見えざる腕』の主人公(男)が、そうした力に屈し、自暴自棄の半生を生きたのとは対照的ですね。あえて対にしてるのでしょうか?

10、黄昏の賢者
男性ボーカル。曲調含め、なにやらファンタジックな作風ですね。

11、11文字の伝言
『Roman』という大きな物語全体のエピローグ。大人の雰囲気充分な女性ボーカルがメインです。母性愛あふるる死に際の女性(?)が主人公。大量の数字の羅列が台詞として入っています。歌では『ららら〜』になっているので、どうやら自分で解読するしかないようです。これが、題名でもある『11文字の伝言』です。ラスト曲ということで、伏線っぽいのもガッツン×2入りまくっていますね。

5分3秒ぐらいから、1曲目同じ旋律が流れ出します。つまりここから1曲目に戻る(繋がる)ということなのでしょう。なるほど。


ハマる人は、おそらく命かけちゃうぐらいハマりそうな集団。それがサウンドホライズン。私はもうこのアルバムで充分お腹いっぱいなのですけど、一度ぐらい、この濃厚な世界を楽しんでみるのも面白いんじゃないでしょうか。

アニソン好き、ファンタジー好き、中世西欧風の物語が好き、その他マニアックなもの好きの方などなどに是非おススメしたいアルバムです。

*『Roman』参加ヴォーカリスト
Hiver Laurant、RIKKI、KAORI、REMI、YUUKI、井上あずみ、じまんぐ

*『Roman』参加声優、ナレーター、楽団
大塚明夫、緑川光、田村ゆかり、能登麻美子、ゆかな、皆口裕子、他7名。十楽器隊。総勢70名。

参考*『クロニカ学習帳』
気合の入った考察サイト。なんかすごい賑わってます。。

見えざる腕




<追記>
“かしまし〜ガールミーツガール”の桂遊生丸先生によってRomanがコミック化されましたぜ!!アルバムを漫画化ってどんなもんなん?って、思ってましたけど、こ・・・これは凄い!!!Roman公式解説本(?)として、その世界魅力が余すところ無く表現されておりますし、ひとつの漫画作品としても、非常に面白く読めました。この曲って、つまりこういう話だったのか!という新たな発見がありまくりました。ちなみに、漫画中での一番のお気に入りは“星空の革靴”でした。エトワールとプルーの“絆”の“ほんとうの意味”がわかるラスト数ページには、もう堪え切れず、ろむろむマジ泣き。。絵も可愛く読みやすいと思いますので、一度手にとってみられては如何でしょうか?



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この記事へのコメント
はじめまして!累といいます。
私もサンホラ大好きです。私がサンホラの存在を知ったのは、とあるネット声優さんからです。その人がとてもハマっていらっしゃって、「どういうものだろう・・・?」と思い公式サイトを訪ねて、視聴いたしました。あっという間に心をおば割れてしまいました(笑)
ところで、ボーナストラック(2つあります)は入手されましたか?・・・入手されていると思いますが。
Posted by 斎木 累 at 2007年07月02日 15:03
累様、こんばんは!初めましてで御座います!!

ネットを漂っていると、結構サンホラ大好きっ子(?)ってたくさんいるんだなあ〜と思ったりします。ものすごく熱心な人もいますよね。

最初は私も色モノ覚悟で購入したんですけど、杞憂でした。1ヶ月ぐらいドハマりましたからね。

ボーナストラックは、暗号を解いて(?)ネット上でゲットできるというアレですね。いやあ〜、私、実は手に入れてないんです。。上でもチラッと書いているように、謎解きをする気力が足りなくて。でも、そういう曲を用意しちゃうところが、サンホラの凄い部分であると思います。

コメントのほう、ありがとうございました!!
これからもよろしくお願いいたします!
Posted by ろむろむ at 2007年07月02日 21:50